ep98.白の実る恋
祝 1ページ目ラスト!
遂にこの作品の投稿話が100を迎えました!!本編の話数的には98ですが、100話記念と言っても過言ではないでしょう!
これからも頑張って描いていきますのでどうか宜しくお願い致します!!
――ラルの街のホワイトの実家にて…
「…まだ…家は残っていたんだね」
「うん…」
ホワイトとソレイユが写真を見る。
「この写真も…残ってる」
「…うん」
「…ホワイト、お母さんは…リュンヌさんはあの時…ジハに…」
「…うん。お父さんを庇って…ジハにやられて…ラッシュ師団の人達にはそう言われてた…」
「…そっか」
ソレイユが写真を持つ。
「あの人も…俺の事を庇ってなければさ………今頃生きてて…」
「…でも、お母さんがお父さんを庇ってくれてなかったら…今頃お父さんがこの世にいなくて…それで………」
「そう…かもな」
「……お父さん、もう一つ話さないと行けない事があるの…お兄ちゃんの事…」
「ブラック…か」
「お兄ちゃんは…ネオカオスに入ってジハのボディガードをしていたの…。そして…ある日を境にネオカオスを裏切って…それが原因で…ネオカオスに殺されたの………」
「…そう…か」
「…あの時…お兄ちゃんが殺された時…私が傍にいたのに…私が…私が弱くて………守れなかった…」
ホワイトが涙を流す。
「私が…お兄ちゃんを殺したの…私が――」
「…それは違う」
ソレイユがホワイトを抱く。
「…ブラックは…兄としてホワイトを守った。ホワイトが殺したんじゃない…ホワイトを守るために…」
「お父さん…」
「…去ってしまった二人とも、俺達を生かしてくれた。生かしてくれたお前のお母さんと兄のためにも…精一杯生きてくれ。父として…娘への一生のお願いだ」
「…お父さん」
「…お前を一生、父として愛してる――」
ソレイユがホワイトの頭を撫でる。
――その日の晩…
「…!」
ホワイトの夢の中…ホワイトは真っ白な世界に立たされていた。
「…繋命の…夢…」
「ホワイト…!」
「…!」
ホワイトの後ろからソレイユがやってくる。
ソレイユもまた、ホワイトの繋命の世界に入っていた。
「お父さん…!」
「もしやここ…あの時の…」
「久しぶり」
「………!」
ホワイトとソレイユの隣からリュンヌが現れる。
「…お母さん…!」
「リュンヌさん…!」
「やっほ、二人とも」
リュンヌがそう言うと、ホワイトとソレイユがリュンヌを抱く。
「お母さん!」
「リュンヌさん!」
「ちょちょちょ…二人とも、一気にがっつかれたら重いよ?そんなに私と会えて嬉しいの?」
「嬉しいよ…!繋命の世界とはいえ…また会えたんだから…!!」
「ふふっ、きっとあなたの私に会いたいって気持ちが、私とホワイト…そしてソレイユ君を会わせてくれたんだね」
「っ…なんか…恥ずかしい……」
ホワイトが顔を赤くする。
リュンヌがホワイトの目を見る。
「その様子だと…繋命の力にも覚醒して、お父さんも連れ戻せたみたいだねホワイト」
「うん…!」
「それにその魔力の気配…さてはナギサちゃんに会ったな?」
「っ…どうしてそれを…」
「魔限突破…でしょ?」
「っ…バレてる…」
「あははっ、大丈夫。魔限突破を知ってるのは私やナギサちゃんとかごく一部しか知らないから。秘密を共有する仲だね」
リュンヌが微笑む。
「リュンヌさん、まさかまた…会えて嬉しいです」
「そうだね、私も会えて嬉しいよ」
リュンヌがソレイユの頬にキスをする。
ソレイユが少し照れたような顔をする。
「…リュンヌさん」
「お母さん…久々にこうやって会えたから…お母さんにもいっぱい話したい事があるの。お母さんに――」
ホワイトが言葉を続けようとすると、リュンヌの身体が光り出す。
「っ…!」
「…あら、もう時間みたいね」
リュンヌの身体は薄くなっていく。
「…そうですか、リュンヌさん」
「そんな…!まだ話が…!!」
「…あの時使った魔力がさ…まだ戻り切ってないみたいなの。今会えたのはホワイトが魔力に覚醒したから一時的に戻れただけで…長い時間いれるまではもう少し時間はかかりそうだなぁ」
「あの時…ジハの時の…」
「そう…だからまた暫く…お別れだね――」
「っ…お母さん…!!」
「ソレイユ君」
「リュンヌさん…?」
「ホワイトはもう大丈夫。きっとこの子なら…やってくれる。信じてあげて」
「…!」
リュンヌの言葉を聞いて、ソレイユは嬉し涙をする。
「…そうか…そうなんですね…」
「ふふっ」
「待ってお母さん…!」
リュンヌの身体が少しずつ薄くなっていく。
「…ホワイト、ソレイユ君、ありがとう。次は…ブラックも一緒に…ね?」
「っ…そうだお兄ちゃん……あ…でも…今ここにいない…えっと…」
「きっと恥ずかしくて来れてないだけだよ。ホワイト、繋命を使って定期的に会ってあげて?」
「っ…勿論…!!」
「じゃあ、私もう行くから。二人とも、後は頼んだよ…!」
「…任せて下さい」
「任せて…!」
二人がそう言うと、リュンヌの身体は消えていく。
消える前のリュンヌの顔は………安心した顔だった――
――それから数日後…ラルの街の外にて…
「お父さん、行ってきます」
「行ってらっしゃい、気を付けて」
ホワイトが実家から出る。
「…あ」
「よう」
ホワイトの実家の前…
ジンが立っていた。
「ジン君!」
「迎えに来た」
「そっか、ありがと」
ホワイトが微笑む。
「ソレイユさんは?」
「お父さんは暫くこの街にいるみたい」
「そうか。…親父さんと一緒にいなくていいのか?」
「うん、もう大丈夫。勿論お父さんも大事だけど…強くなるためにも…外に出る。ラッシュ師団の仕事もあるし…そしてお兄ちゃんともお母さんとも再び会って…それで…――」
「…そうか。そんなお前に…伝えたい事がある」
「…伝えたい事?」
ホワイトが首を傾げる。
「…俺と、付き合ってくれ」
「!!」
ホワイトが顔を赤くする。
ジンが手を差し伸べる。
「…一人の人間として…お前の事が好きだ。俺と正式に…恋人になってくれ」
「っ…恋人…」
「…嫌なら嫌でいいんだ。このまま仲間と言う関係でも…」
「…お願いします――」
ホワイトが頭を下げる。
ホワイトがジンの手を掴む。
「…ホワイト?」
「あなたの…彼女になります…!」
ホワイトはそう言うと、ジンに飛び込む。
そして…唇にキスをする。
「……!」
「…これからも、宜しくね」
「…あぁ、此方こそ」
――カルム師団基地の団長室にて…
「ゲホッ…ゴホッ………」
ナギサが咳をする。
「ナギサ…大丈夫か?」
ルドがナギサの目を見る。
「大丈夫…ちょっと風邪をひいたみたいで…ゲホッ…ゴホッ…」
「…ホワイトさんの親父さんが見つかったのは良い事だけど…そこで戦闘になったと聞いたぞ…」
「…悪魔族…悪魔族が…」
「悪魔族…あぁ…かつて人間に無理矢理悪魔の子を孕ませようとした存在…か」
「…そうだね。あの存在が…現代にやってきたの――」
「現代に…」
「ゲホッ…ゴホッ…」
ナギサが咳をする。
ナギサの身体中に痛みと苦しみが襲う。
「大丈夫…か?」
「っ…ホワイトちゃんに回復して貰ったのに…身体が言う事を聞かない…」
「回復をしたのに…か………」
ナギサが腹を押さえる。
腹を押さえるナギサを見てルドが何かを思い出すかのように喋り出す。
「…ちょっと待て」
「…何…?ゲホッ…」
「お前…また腹をやったのか…?」
「…やったよ…しかも随分深く刺された…猛毒も体内に入って来た…私の魔力を以てすれば猛毒なんて効かないけど………」
「…お前………」
ルドがナギサの肩に手を触れる。
「…暫く戦闘は避けろ」
「っ…そんな事言われなくても…暫くは避けるつもりだよ…」
「特に腹には気を使え。特にだ」
「っ…まさか食事制限…」
「そこまでしろとは言っていない。だが…内傷や外傷には気を付けろ、絶対にだ」
「…ルド?」
ルドがナギサの目を睨む。
「…なんか、顔怖いよ?」
「っ…兎に角…お前は身体を休めろ…!」
「分かったよ…」
「…それにしても悪魔族か」
ルドが通信機を操作する。
「悪魔族…一応カルム師団のデータには載っているが、現代には目撃例が全くない存在だな」
ルドが腕を組む。
「そういえば…悪魔の神を信仰する…ゼトラ教団らしからぬものもあったっけか…?」
――それから約一か月後…ホワイトはシェールにラッシュ師団の基地に呼ばれた。
それはホワイト達がネオカオスの一件が終わった際に貰った休暇の終わりを告げる事となっていた。
ラッシュ師団に…新たな任務が舞い降りる事になった。
――ラッシュ師団の基地にて………
「ホワイトちゃん、ミカちゃん、ジン君、集まってくれて感謝するわ」
シェールが腕を組む。
シェールの前にはホワイトとミカとジンが立っていた。
「…やれやれ、休暇組が休暇終わって早々呼ばれるなんてね…」
ミカが頭を掻く。
「それで、どういう用なんですか?」
「今回…ラッシュ師団にとある場所から新たなお願いが入っているの」
「とある場所からお願い?」
「場所は…ここから電車で1時間半程の北にある極寒の地とも言われる場所…『ゼッヒョウの地』」
「ゼッヒョウ…」
「初めて聞く場所の名です」
「そうね、私も行った事は一度しかない。そして…かつて悪魔族とも縁があった街みたい」
「悪魔族…!」
悪魔族という言葉に反応するホワイトとジン。
「そう。そこで悪魔族と接触経験があるホワイトちゃんとジン君、そして…その二人を指導するミカちゃんと…ロキ君を向かわせようと思うの」
「なるほど、だからあたし達なんですね」
ミカが腕を組む。
「今ここにはいないけれどロキ君にも話は付けてあるから大丈夫」
「…聞いてもいいですか?」
「どうしたの、ホワイトちゃん?」
「その…どういう目的で…どういう理由でラッシュ師団が呼ばれたんですか…?」
「…救助要請よ」
「救助…?」
ホワイトが首を傾げる。
救助という言葉にしっくり来ていなかったホワイトだが、ホワイトは救助をしていた頃があった。
そう…ネオカオスの一件の時…ネオカオス四天王が現れる前である。
「ほら…ホワイトちゃん、かつてはあなたも回復の魔力で街の人々を回復させたことがあったでしょう…?」
「…はい」
「今回…ゼッヒョウの地周辺にて突如異常な吹雪が起こってしまったの…」
「っ…!」
「異常な吹雪のせいで街の外に出てた人々は遭難者が続出…街にもいつ被害が行くかは分からない…」
「っ…ネオカオスと言い、魔力の根源と言い…苦労させられたと思ったら今度は天候…星そのものかよ…」
ジンが頭を掻く。
「ホワイトちゃんの回復の魔力は当然救助を必要とする方には恵みの雨。そして…ジン君の炎の魔力もきっと極寒の地では必ず役に立つ。ミカちゃんとロキ君には二人の補佐をお願いしたいの」
「…なるほど」
「本当は私達も行きたいのだけれど…ネオカオスの過去の件を追っていたり…カルム師団とも今後の連携を取ったりしてる関係で多くの団員がバタバタしているの…」
「なるほど…」
「お願い…できるかしら…?四人の実力者が揃えば、きっと…!」
シェールの頼みにホワイト達が答える。
「…私は、皆を助けたいです。だから…行きます…!」
「俺も、ラッシュ師団として…誰かを助けるって道もあると分からされた。だからこそ…!」
「…あたしも…!」
「ありがとう…助かるわ…!」
シェールが微笑む。
「今日からもう既に向かって欲しいの。既に行方不明者が何人も出ているわ…。電車を使って…向かって欲しいわ」
「了解です!」
「承知…!」
――ウィッシュ城下町の駅にて…
「…よし、防寒具はばっちりね」
ホワイト達は冬用の団服を着ていた。
一か月ほどしか経っていないが、肌寒い季節になっていた。
「それにしても…ここ数か月で一気に寒くなったね…」
「そうね。この寒さはなかなか厳しいわ。けれど…あっちではもっと寒いわ。気を引き締めていきましょ」
「…そうだな」
「お待たせ、お前等」
ロキが三人の元へ走る。
「ロキ君…!」
「ロキ…!」
「副団長」
「ミカ…その呼び方硬いな。ロキでいいぞ?」
「別にどっちでもいいでしょ、副団長?」
「…なんか距離感ある気がして嫌だな。まぁ…いいか」
ロキが頭を掻く。
「シェールさんから聞かされていると思うが、ゼッヒョウの地周辺では今異常な吹雪のせいで街の外に出てた人々は遭難者が続出…街にもいつ被害が行くか分からない状況だ」
「…あぁ」
「こんな状況でも電車は動いているが…残念な事にゼッヒョウの街直通の電車は今…ゼッヒョウの街前の駅までしか行けない」
「…そうか」
「そりゃ…当然…か」
ロキの言う通り、ゼッヒョウの街までは吹雪の影響で途中下車しないといけない。
「だからこそ…ラッシュ師団の出番だ。ゼッヒョウの街に住む人々を…助けるぞ…!」
「あぁ…!」
「うん…!」
「…ん」
「…行くぞ、新たな街へ…!」
――ホワイト達は電車に乗り、ゼッヒョウの街前の駅まで向かう事となった。
青く燃える炎の中に、少年が歩く。
「………この世界は…地獄だ」
「いっそのこともう…俺も…死のうかな…」
「――………人間なんて、クソだな。やっぱり奴等との共存なんて…」
後書き~世界観とキャラの設定~
『月神の族』
…ホワイトの母、リュンヌが分類される謎多き種族。一応元は人間である。
一族を通して右手を中心に月神の力が備わっており、月を模した力が使える。主に闇や夜、月光と言った聖なる闇の魔力がメイン。
リュンヌはその一族の中でも最強と呼ばれるほどに強かったらしい………。
『太陽神の族』
…ホワイトの父、ソレイユが分類される謎多き種族。一応元は人間である。
一族を通して左手を中心に太陽神の力が備わっており、太陽を模した力が使える。主に熱に関する魔力がメインだが、練度次第では太陽光にも似た早すぎる動きをする事も可能。




