TAXI。
合間 隙間か それともーー
七色の現象は見られなくって
どぼどぼ ゴボゴボ ざぁぁぁぁ
水飛沫は舞う 視界が乱れ 揺れるワイパー
メトロノームみたいに チクタクと
鍵盤は無い ピアノも無い ただリズムを取るだけの指先
ミュージシャン気取りの 運転手
ハンドルはきつく握らずに 添えただけ
カーラジオから流れてきたバラードに
軽やかに口ずさみ タカタカと弾く
鼻歌にもなってやいないし 音程は乱れていて
ただーー 天使の梯子だけが柔らかく 迎えてきたから
「着きましたよ」
お代は要らない とは言い出せず
送り届けるという 合間の趣味
たった一杯の缶コーヒーで見出だした