85話 未知なる剣士、既知なる炎魔
見事ルークに勝った光達。
一方、火炎のオンネンと闘う沖田、薫、宇水は……
「はああああ!!!!」
剣を前に構えながら、火炎のオンネンに向かっていく沖田。
流れるように距離を詰め、鋭い突き技をオンネンに放つ。
【……】
「固いな……」
ガキン!っと甲高い金属音が鳴り響くが、オンネンの鎧には傷一つ付かない。
【燃エロ! 焦ゲロ!! 灰ニナレ!!!】
槍に纏わりつかせる炎を一層強くして、オンネンは沖田に向かっていく。
しかし、そう簡単にはオンネンも攻撃できない。
「させるかよ!!」
薫が横から斬りかかり、オンネンを吹き飛ばす。
そして、その僅かな隙に沖田は再び攻撃を仕掛ける。
「……!」
再び繰り出される突き。
力強く、空間すら穿ちそうなその一撃も、オンネンの鎧は無慈悲にかき消す。
再び金属音が鳴り響くだけで、ダメージを与えるには至らない。
「ちくしょう! どんだけ固いんだよ、コイツ!」
「……」
「おい、沖田! なんか策はないのか!?」
「策? 別にそんなものは必要ない、現状を維持し続けるぞ」
「はぁ!?」
全くダメージが与えられないのに、現状を維持するとはどういうことなのか。
薫が疑問に思うのももっともなのだが、沖田はそれには答えず三度突き技を放つ。
【無駄ダ……。オ前ノ剣ハ、儂ニハ届カヌ!!】
「……」
オンネンの言葉に耳を貸すことはく、さらに突き技。
懲りずに沖田は同じ行動を繰り返し続ける。
【ウザッタイ!!!】
熱気を纏った槍で目の間を薙ぎ払うも、沖田は避けることすらせず。
細身の刀で打ち払い、五度目の特攻。
しかし、それでもやはり結果は同じ。
オンネンにダメージは入らない。
「沖田さん……なんでずっと同じことしかしないんでしょうか……」
「分かんねぇよ。馬鹿なのか、何か策があるのか……」
戦況を見守りつつ、必要になればいつでも援助できるように構える二人。
以前沖田と戦ってその強さを知っているからこそ、今の沖田の真意がまるで分からない。
何故、攻撃しても意味がないのに同じことを続けるのか。
【コレデドウダ!!!!】
今度は槍を地面に打ちつけ、熱気を地面に沿って走らせる。
凄まじい速度と威力で熱気は駆け巡っていくが……。
「遅い、そんな速度で何が出来ると思っている?」
沖田はその熱気すら『遅い』と切り捨てる。
迫りくる熱気を前に、その場で剣をこれまたあり得ないほど速く振り上げる。
すると、それによって生まれた突風が駆け巡る熱気を切り裂く。
オンネンの大技すら、沖田はその場から動くことなくかき消してしまった。
【……!】
そして沖田はもちろん大技直後に出来る、刹那の硬直時間を見逃さない。
これが速いというものだ、と言わんばかりの速度で再び……特攻。
しかし、いくら速くてもやはりダメージは入らない。
【無駄ダ、我ガ鎧ニ傷ヲ付ケルコトナド出来ハシナイ】
「……」
沖田はやはり答えず、再び剣を構える。
「おい、沖田! がむしゃらに攻めたって勝てやしねぇ!! 何か他に策を考えねぇと!」
一向に進展しない状況を見かねて、薫も口出しするも沖田はそれに従うことはしなかった。
「黙って見ていろ。すぐに分かる」
「なッ!?」
【……】
理解できない沖田の行動に、だんだん不安になって来たのか。
今度はオンネンが沖田に向かっていく。
【燃エ尽キロ!!】
沖田に向けて槍を、振るい、突き、斬りかかる。
次々と連撃を繰り出すも、沖田は最低限の動きで訳もなく避けていく。
【ヌウウウウ!!】
「ほら、隙だらけだぞ!!」
槍と槍の一瞬の合間を縫って、また突き技。
が、今度は今までと結果が違った。
【ゴハッ!?】
固い鎧に包まれているはずのオンネンが呻く。
自分でも訳が分からないといった感じだ。
フラフラと後ずさるオンネン。
すると……
ピシピシと鎧にヒビが入る!
【!?】
「やっとか……。おい、まさか私が本当に意味もなく何度も特攻しているとでも思ったのか?」
【何!?】
「薫さん……どういうことですか!?」
状況が理解できず、混乱する宇水。
薫はその一瞬で全てを理解していた。
「沖田のヤツ……がむしゃらに特攻しているように見えて、ずっと同じ場所を狙ってたんだ……。いくら固い鎧でも何度も何度も攻撃を受ければいつかは壊れる」
【ア、アリエン! ソンナコトガアルハズガ!!】
「原理としてはあり得ることだろうよ。私の場合、壊すまでに必要な回数が極端に少なかっただけだ」
【ヌウウウウ……】
「で、でもあんな小さな傷じゃあ……」
薫の言う通りだった。
確かに鎧に傷は付いたが、それはやはり小さな傷に過ぎない。
もちろん他の部分に攻撃をしてもダメージはなく、他も壊すとなるといくら沖田でも耐えきれるかは分からない。
「問題ない」
「え? でも、お前の三弾突きでもあんな狭い範囲は……」
剣を構える沖田はニヤリと笑い、オンネンに向き合う。
「まさかこの私が死んだぐらいで、剣の鍛錬を怠るとでも思ったのか?」
「なッ!?」
足を引き、技の構えに入りながら、沖田は高らかに叫ぶ!
「オンネンよ。お前の強さに免じて見せてやろう、歴史には名を残さぬ沖田総司の新しい『奥義』を!!」
瞬間移動かと見間違う速度で、距離を詰める。
それは今まで通りの『三弾突き』のように……見えた。
その直前まではー
「喰らえ! 新撰無心一弾!!!」
次回 86話「無心の境地」




