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魂のレッドライン  作者: ギン次郎
1章 夢を見た天使
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72話 未来の科学者 ロメリア

「ボタン……?」


「そう、名付けて『天界瞬間転送ボタン』だ。君が天界に来るたびに気絶していると聞いてね。開発しておいたのだよ」


「へぇ……って! 出来てるじゃん! なんで出来てないって言ったんだよ!!」


 俺はリームに怒鳴りつけるが、冷静に俺の言葉を返す。


「もちろんそれには理由がある」


「理由?」


「それが出来ていたという事を、吾輩も今知ったのだ」


「おい!!」


 そこら辺の伝達ちゃんとしておいてくれませんかね!?

 ここの伝達ちゃんとしてたら俺気絶しないで済んだじゃん!


「だってまだ完成していないからね。帰り用が出来ていないから」


「……」


 なんかもう、ツッコミ入れるのも疲れたな。



 さて、実質もう用はないのだが。

 シナトス置いて帰るわけにもいかないので、ここでしばらく待機せざるを得なくなった。

 ただボケーと座ってるのもつまらない。

 少しロメリアさんと話してみるか……。


「ロメリアさん?」


「なんだい?」


「ロメリアさんはいつから発明をしているんですか?」


「ぬぬ! 意外と君は難題を吹っ掛けるんだね。うーむ……300、いや400年前だったかな?」


『いつからしてるんですか?』ってそんな難しい質問だろうか。

 あと、少なくとも300年前からずっと発明ばっかりしているって時点で、もう怖いんだが。


「どうして? そんな長いこと発明を……?」


「今度は急に簡単な質問だね。そんなの私が発明が好きだからに決まっているじゃないか!」


「……」


「自分のアイデアと努力の結晶が、誰かの役にたつ物になる。これ以上素晴らしいことがあると思うかい!?」


「え、えっと……」


「それに人に限らず『生きる物の願い』は永遠に不滅だ。まあ、捉え方によっては『貪欲』とも言えるが……。私はからすればそれは永遠に終わりが来ないという事でもある」


「終わりが来ない……」


「人によってはそれは恐ろしいことかもしれない。しかし、私はそうは思わない! いつまでもいつの日までも私は『未来へ憧れ』を持ち続けられるという事だからね!」


「なるほど……」


 未来への憧れ。

 確かに『夢』、言い方を変えれば『欲』は無限に続くものだ。

 便利になっても、裕福になっても、幸せになってもさらに上を目指し続ける。

 それを彼女は『未来への憧れ』だと言うのだ。


 この人は俺とは全く違う考えを持っている。

 深くは分からなくとも、これだけはよく分かった。


「光くん。君も『未来へ憧れ』を忘れてはいけないよ? 向上心を失った生き物は、それはもう生き物ではない」


「……」


「まあ、『夢』が強すぎるのも良くはないと思うけどね……」


「へ?」


 一瞬、違う雰囲気を感じた。

 それを確かめようと思ったのだが……。


「城内君! ここに居たのか」


 美紀さんが入って来た。


「ん? どうしたんだい、正路。光くんに何か用でもあったのかな?」


「いや、大した用ではないんだが。暇になったら部屋に誘うと約束していたのでね」


「ほう……。正路がそこまで人間を気に入るのも珍しいね。なら、私はここで身を引くとしよう。何、正路とは違って私は年中暇だからね」


「まったく……。まあ、君らしいと言えば君らしいがね。それじゃあ行くとするかい?」


「あ、はい! ロメリアさん、それじゃあまた今度」


「ああ、いつでも来たまえ!」


 という事で、俺達はロメリアさんの部屋を後にして美紀さんの部屋に向かうことになった。


「あ、待ったリームは部屋の片づけを手伝ってくれ」


「おい!?」


 リームを残して……。




「美紀さんとロメリアさんはお知り合いなのですか?」


 部屋に向かう途中、村正ちゃんが質問する。


「ああ。天使としての同期でね。彼女とはたまに会話したりしているんだよ」


「へえ。美紀さんの同期の天使がリームとも旧友なのか」


「ああ、そうみたいだね。まあ天界でも人間関係は複雑なのさ」


 果たしてこれを複雑な人間関係というのかは別にして。

 久しぶりに美紀さんの部屋へ。


 相変わらず綺麗なカエデと大きな池が風流だが、こないだと違って部屋の中は夜になっていた。


「夜になったりもするんですね」


「ああ。星や月を見たくなった時はこうしているんだ」


「へえ……。凄い、本物みたいだ」


「まあ、適当にかけてくれ」


 カエデの葉っぱのが絨毯のようになっていて、とても気持ちいい。

 綺麗な星空の下に居るせいかなんだか寝てしまいそうだ。


「って……」


 とか思っていたら村正ちゃんは早速寝てるし。

 まあ、今日はちょっと朝が早かったし眠かったのかもしれない。


「さて、城内君。ちょっと話をしてもいいかな?」


「え?」


「少し重い話ではあるが、どうしても君に聞いておきたくてね」


「俺に……?」


 いつもの美紀さんの雰囲気と少し違う。

 なんだろうか、俺に聞きたいことって……。


「いいですよ。俺が答えられることなら」


「ありがたい。では、質問しよう」


「はい」



「君は『生きる』ということに意味があるとは思うかね?」


次回 73話「命の意味」

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