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魂のレッドライン  作者: ギン次郎
1章 夢を見た天使
68/316

64話 ショートオブショート

光達のささいな日常を集めたショートショートです。

どうぞお楽しみくださいな。

【争いの調停】

「てめぇ、もういっぱい食っただろ!?」


「いいじゃない! まだ食べたいんだから!!」


「ちょっと……! 薫もシナトスも落ち着けって!」


 しかし、二人は光の言葉には聞く耳持たず。

 コーヒーゼリーをめぐる戦いはどんどん激化していく。


「ん? どうかしたのかね?」


 と、そこにリームが帰って来た!

 光はリームに助けを求める。


「リーム! 薫とシナトスが喧嘩を止めてくれないんだ!」


「そうか……。城内 光よ、君に良いことを教えよう」


「良いこと?」


 すると、リームは四本の矢を取り出した。


「いいかい? この矢の一本一本が君達だと思うんだ」


「うん」


 まずは一本だけ手に取る。


「矢は一本だと……このように簡単に折れてしまう」


 リームは実際に矢を折りながら、話を続ける。


「では? これが三本になると?」


「知ってるよ。折れなくなるんだろ?」


 しかし、リームは手に取る三本の矢をぐっと持つと……。

 バキッ!!

 と、三本まとめて折るではないか!


「いいや、折れる。いかなる争いも力さえあれば調停が可能だ。分かったかな?」


「脳筋じゃねぇか!!」



【ドドンパの力】

 以前、八雲神社に訪れた時に現れた『化け猫 ドドンパ』

 彼はあれ以降もあの神社に居座っているそうな。


「……なあ。お前ってさ化け猫なんだろ?」


「そうだけど……なんでそんなことわざわざ聞くにゃ?」


「いやさ。こないだ化け猫らしいこと何もしてこなかったから」


「疑うのかにゃ!? いいにゃ……おいらの力見せてやるにゃー!!」


 すると、ドドンパが光に包まれ……!

 目の前にいたのは……アリサさん!?


「おいらはこのように人に化けることが出来るのにゃ。まあ、若干不完全だけどにゃ」


 なるほど。

 確かに語尾は直っていないし、ネコミミと尻尾も出てしまっている。

 しかし……


『これはこれで……いいかも』


 光は何かに目覚めかけていた。



【ドドンパの力2】

「お、おいドドンパ! それはアリサさん以外にも変身出来るのか!?」


「もちろんだにゃ!」


「な、なら! こ、この娘に変身とか出来るか!?」


 ドギマギしながら光は、シナトスの写真を見せる。


「ちょっと!? ご主人!?」


 そんな光を見かねて、村正ちゃんはすぐさま木刀から姿を変える。


「いいんですか!? それをしてしまったら、ご主人は何か越えてはいけないラインを越えることになりますよ!?」


「村正ちゃん……止めないでくれ。男は時にレッドラインを越えなきゃいけない時もあるんだ!」


「リスクが大きすぎませんか!?」


「それでも俺は! ネコミミ尻尾付き語尾にゃシナトスが見たい! ドドンパ、やってくれー!!」


 光は気づかなかった。

 背後に冷たい雰囲気が迫っていたことに……。



【ドドンパの力3】

「おお……。なんて力強いパンチなのにゃ……」


 シナトスのゲンコツを思い切りくらった光は余裕で気絶。


「貴方……確かドドンパと言ったわね……」


「ひっ! 違うのにゃ! これはコイツに無理矢理……!」


「ねえ? 貴方、光に変身出来る?」


「にゃ?」


「シナトスさん!?」


 シナトスにも欲はあった。



【呼び方】

 学校。

 放課後のとある日。


「薫……ちょっといいか?」


「うん?」


「薫ってさ、俺のことは『ヤケッパチ』。シナトスは『死神娘』。リームは『鎌』。ヒナは『生徒会長』って呼ぶじゃん」


「ああ」


「アウラさんはまあなんとなく分かるとしてもさ。なんで宇水さんだけ、『宇水』なの?」


「……」


「薫?」


「……。二度とその話題を口にするな」


「あ、はい」


 何か悟った光だった。



【アドバイス】

「薫、まあ俺は事情を知らないからこれ聞き流してくれてもいいんだけど」


「あん?」


「もし内に秘めた思いがるなら、それを秘めっぱなしにするのは良くないぜ?」


「……」


「いつどうなるか分かったもんじゃないからな、チャンスがある内に攻めておく方が良いと思うよ?」


「……具体的には?」


「宇水さん……都会慣れしてないだろ? で、いつも同じような服を着ている」


「つまり?」


「一緒に服でも買いに行ったらどうだ?」


『……光くん。ヒナちゃんと同じようなこと言ってる』


 似た者(疑似)姉弟だった。



【雄馬の恋路】

 光の同級生、鹿立 雄馬はヒナに恋心を抱いていた。

 ある日、彼はヒナと仲良くなるための作戦を一つ思いついたのだった。


「ね、ねえ……。生徒会長?」


「ん?」


 英語の教科書を広げながら、雄馬が聞く。


「俺さ、ここがよく分からなくて……良かったら教えてくれないかな?」


「いいよ」


『よっしゃ!』


 そう、雄馬は敢えて分からなかったところを授業中に聞かなかったのだ。

 頭が良くて、優しい生徒会長(雄馬の個人的な意見です)なら教えてくれるだろう。

 そう思っていたのである。


「で……ここはこうすると分かりやすいでしょ?」


「ありがとう! よく分かったよ!」


「うん! じゃあ、今度テストするからその時までに本文をノートに写して、日本語訳。それと単語練習それぞれ1単語づつ100回やっておいてね」


「うん!……え?」


「大丈夫! ちゃんと完璧に理解できるまで、教えてあげるから!」


『ぬええええええええ!?!?』


 雄馬は知らなかった。

 ヒナはメチャクチャスパルタであることを。



【独特の悩み】

「な、なあ宇水!」


「なんですか? 薫さん?」


「お前……まだこっちに慣れてないんだろ? だからもし例えば服……とか買いに行くとかなったら……俺がついていってやらないこともないって言うか……」


 恥ずかしさとプライドがぐちゃぐちゃになって素直に言えない薫。

 しかし、宇水はそんな薫の言葉にも和やかに返す。


「あ、気持ちは嬉しんですけど……。服は大丈夫ですかね……」


「え?」


「私、よっぽどちゃんとした生地の服じゃないとかぶれちゃうんです……。その敏感なので……」


「あ、そう……」


 触覚の特異器官ならではの悩みだった。



【独特の悩み2】

「ま、まあ! あれだ! 服じゃなくても! なんかこう出かける用とかないのか?」


「そうですね……。花粉が少なければいろんなところ行きたいのですけど……」


「花粉……? 最近はそんなに飛んでないだろ? 花粉症なのか?」


「いや、そうではなくて……。花粉が飛んでると肌が痒くて……。普通の人ならなんでもないんでしょうけど……」


「……」


 これまた独特のお悩みだった。



【無間地獄】

「……単語練習終わらねー!!!!」


 1ページに出てくる新出単語は約10個。

 つまり1ページ1000回だ!

 頑張れ雄馬、あと472回だぞ!!



【らしさ】

「シナトスってさ」


「うん?」


「シナトスってさ、死神なのにグロ系苦手だよね」


「そうね」


「死神なのに人殺したりしないよね」


「それもそうね」


「てか傷つけるのさえ嫌がるよね」


「そうね」


「死神のアイデンティティ死んでね?」


「こないだ『俺は人間じゃない』とか言ってた光には言われたくないわ」



【らしさ2】

「ていうか。じゃあアナタが考えるような死神はどんな感じなの?」


「黒いローブ着た鎌持ってる髑髏で、人殺し大好き!みたいな感じ」


「そんな感じのほうが良かった?」


「……いや、今のシナトスのほうがいい」


「じゃあ、何で聞いたの!?」


 そんなシナトスはイヤだけど、気になりはするのであった。



【姉】

「……はあ」


「どうしたんだい? エルメ君」


「シナトスに……会いたい……」


「……」


 美紀 正路は『ああ、またいつものか』

 そう思い無視しようと思いもしたが、そうすると今後に支障をきたしかねない。


「携帯電話でも買えばいいのではないかね?」


「……! それよ!!!」


 エルメは基本頭はいい。

 所々抜けているが……。



【妹】

「あれ? シナトス、スマホ持ってたっけ?」


「ううん。姉さんがこないだくれたの」


「へえ~」


 スマホくれるって凄いな。

 俺は自分で買ったのに……。


「便利でしょ、スマホ」


「そう? 一、二時間置きに姉さんが電話かけてくるから私としては結構迷惑なのだけど」


「……エルメさん。それはダメでしょ」


 電話するときは相手のことも考えよう。


 〈終わり〉

次回 65話「村正ちゃんの小さな大冒険」

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