52話 狂いし騎兵、再び
ある休みの日、目が覚めて2階から降りてくると居間にはなぜか皆がいた。
シナトスにリームに薫にアウラさんに宇水さん。
いつもなら俺よりも起きるが遅いはずの村正ちゃんまで起きている。
「……え? どしたの?」
「おはよう、ヒカル。早速で悪いけどちゃっちゃと着替えてもらっていいかしら?」
「何かあったのか?」
「また出たのよ、『騎兵のオンネン』が……」
なッ!
騎兵のオンネン……それは俺とシナトスが初めて戦ったオンネンだ。
あの時倒しきれず、逃がしてしまったアイツがまた現れたのか!!
「分かった! すぐに着替える!!」
と、言うわけで作戦会議。
今までと違って急に開かれたのは、オンネンが急に現れたからである。
「じゃあ、現状分かってることを説明するから。騎兵のオンネンは昨日の夜、何の前触れもなく突然現れたの」
「どこに?」
「それがね……前に私とヒカルが戦った場所。つまり、以前に発見された場所と全く同じ所に現れたのよ」
「同じ場所……? 今までにそういうことはあったのか?」
「ねぇからこんなに困惑してるんだろうが」
薫が口をはさむ。
「そう。今までにないのよ、同じ場所に同じオンネンが再度現れるなんてこと」
「じゃあ、どうして……?」
「……誘っているんでしょうね」
と、こんどはアウラさんが。
「誘っている……?」
「おそらくですよ、おそらくですけども。多分、黒幕に指示されて同じ場所に現れたんじゃないでしょうか。つまり、私達を誘い込んで倒させるために」
「なるほどな。同じ場所なら我々も感知がしやすい。つまりこれは黒幕と騎兵のオンネンからの宣戦布告というわけだ」
「宣戦布告……」
わざわざオンネンを一体失うかもしれないリスクを冒してまでするということは……。
黒幕たちは本格的に俺達を脅威として認識し始めたことになる。
2体のオンネンの討伐、2度にわたるルークの迎撃、そしてこないだの戦いでの新技の会得。
特異器官も5人中3人が集まった。
確かに、これはそろそろそう認識されてもおかしくはないだろう。
しかし、そう認識したにも関わらずこんなハイリスクなことをするからには、敵には絶対の自信があるというわけでもある。
一体何を用意したのかは分からないが、今回の戦いで絶対に俺達に勝利できるという自信が。
そうでもなければもう残り3体しかいないオンネンを下手に使いはしないだろう。
なら、ここは引くべきか……? いや、違う。
「面白い。その挑発のってやろうじゃないか」
「ヒカル……?」
「分かってるよ。リスクが大きいのは分かってる。でも、だからってここで逃げるか?」
「……」
「どうせいつかは倒さなきゃいけないヤツなんだ。なら、ここでやっつけて敵の作戦をみだしまくってやろうじゃんか!」
しばし沈黙が続いたが……。
「……そうね。危険だからといって先に進まないと、何も変わらないって言ったのは私だもんね」
シナトスが立ち上がり。
「そういうわけだ。吾輩はあくまで道具なのでね、持ち主に従うよ」
リームもニヒルに笑う。
「まあ俺はお前らが行かないって言っても行くつもりだったけどな」
薫はいつもの感じで。
「もちろん若が行くなら私もというわけです」
アウラさんも変わらぬ調子で呟く。
「私もそのためにここに来たのですから、もちろんご一緒させていただきますよ……!」
宇水さんはちょっと緊張した感じ。
「どうやら。皆さんご主人に賛成のようですね!」
最後に村正ちゃんがにっこりと笑う。
皆が立ち上がり、俺が一言。
「よーし! 絶対に騎兵のオンネンに勝つぞ!!」
「おー!!!」
ー夜、懐かしい場所ー
「もうすぐだ。気を抜かないように」
「分かってるさ」
それぞれ、ビルの中や木の陰に隠れオンネンを待つ。
日が落ちてしばらくたった、リームの言う通りもう少しで現れるはず。
だから戦いが始まる前に、シナトスに一言。
「約束……」
「へ?」
「あの日の約束。今日ここで果たさないとな」
「……そうね」
その時、夜の街に響く狂った叫び声。
忘れるはずもない恐怖の声が聞こえた。
【生者……生者】
するとリームが大声で叫ぶ!
「行くぞ!!」
「おう!!」
まずはそれぞれリームと村正を持った、シナトスと俺がオンネンの前に出る!!
【生者? 生者? 生者デアルカ? 生者デアルカ?】
前と全く変わらないセリフ。
懐かしさを感じてしまうのが少し複雑だが……。
「会いたかったぜ、騎兵のオンネン!! 今日こそお前に勝つ!!!!」
躊躇うことなく斬りかかる!!!
〈続く〉
次回 53話「戦士たちの追走曲」




