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魂のレッドライン  作者: ギン次郎
1章 夢を見た天使
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47話 シスタークライシス!

「じゃ、私今日も学校だから。また今度ね、姉さん」


「あ、うん」


 パタンと扉を閉めて出ていくシナトス。

 その背中を姉、エルメは見守っていた。


「そうよね……。学校があるのよね」


 エルメ・メヒウ・キウリノ。

 シナトスの実の姉である。

 妹とはもっと仲良くしたいと思っているのだが、性格の違いから空回り気味。

 そんな彼女にだったが……。


「ああ……。どうすればもう少し仲良くなれるのかしら、カフェとか行ってみる? でもな……」


 と、エルメは机の上に置かれた見慣れぬものを見つける。


「これってもしかして……シナトスの忘れ物?」


 と、ここでエルメは気づく!!



 忘れ物届ける

  ↓

 好感度UP&下界を出歩く口実ゲット

  ↓

 カフェでも行って会話

  ↓

 さらに好感度UP!!



「そうよ! これよ!!」


「エルメ君、この書類だが……」


「美紀さん……」


「ん?」


「あと任せました!!!」


「え? ちょ!? ええ!!!!!」


 こうしてエルメは意気揚々と下界へ!!

 自分が人間が苦手なことも忘れ一人で……。




 ー下界、六音時高校ー

「……どうしましょう」


 さて学校までやって来たは良いが、エルメはこの先どうすればいいのかをまるで知らない。

 別に「妹の忘れ物を届けに来ました」で済むのだが、知らないと思いつかないものなのだ。

 と、その時。


「どうしました?」


「ふぇ!?」


 誰かに声をかけられた。


「あ……えっと……その! い、妹の忘れ物を……!」


「あ、そうなんですか。なら私が届けておきますよ。誰のお姉さんですか?」


「え!? いや、その、そんな悪いですよ……」


「ああ、それは気にしないでください! 私はこの学校の生徒会長なので」


 六音時高校生徒会長、となればその声の主は一人しかいない。

 すなわち菅野字 日菜子である。


「あの……えっとですね」


「?」


「身勝手なのは分かるんですけど……その出来れば私が渡したいなって……」


「何か事情が?」


「妹とそんなに仲が良くなくて……それで……」


 この時、普通の生徒会長がどうするかは知らないが、ヒナの場合は一味違う。

 流石は才色兼備の擬人化、こんなイレギュラーにも柔軟に対応してみせる!

 え? 言わされてないかって? まさか。


「それなら、私が学校を案内するのでついてきて下さい」


「! ありがとうございます! わざわざ……」


「いいえ、いいんですよ。で? 誰のお姉さん何ですか?」


「えっとシナ……じゃなくて白井 サキの」


「白井さん!? ああ、そうだったんですね」


「えっと?」


「ああ、すみません。クラスメートなんですよ」


「ああ、そうなんですか」


 と、ここでエルメは前のシナトスとの会話を思い出す。


『あ、そうだ。あとねいろいろあってヒカル以外にも2人知られちゃったの。茉子っていう子と、生徒会長のヒナっていう子』


 生徒会長……。

 あれ? もしかしてこの人って……。


「あのすみません」


「はい?」


「えっと、ヒナさんですか?」


「あ、やっぱり白井さんから聞いてたんですね」


 何という偶然。

 しかし、エルメからすればやりやすいのは事実なのだが。




 さて、休日の学校をエルメとヒナは歩いていく。

 休日だからと言っても学校に人は多い。

 部活動に勤しむ生徒達がたくさんいるのだ。

 シナトスもそうなのかと思い、オカルト部の部室に向かったが……


「あれ? 誰もいない……」


 オカルト部の部室には誰もいなかった。


「うーん……。どこかに外出してるのかな……」


「どこにいるかは分からないんですか?」


「流石にそこまでは……よし、光達に聞いてみよう」


「光っていうのは城内 光さん?」


「そうです」


 何故、彼が知っているかもしれないのだろうか。

 仲が良いのは、まあいいことなのかもしれないが姉としては少し気になるところでもある。


「でも、エルメさんって妹想いなんですね」


「へ?」


「あんまりいませんよ? わざわざ届けに来るような人、まして親じゃなく兄弟姉妹でなんて」


「そうなんですか。なんか、どうしてもほっとけないって言うか」


「あはは。それは私も分かりますけどね」


「ヒナさんにも弟か妹がいるんですか?」


「いないですけど、それっぽい子ならいますよ。同じ年ではあるんですけど、どこかほっとけなくて」


 それが先ほど会話に上がった城内 光であることにはまったく気づかず、剣道場に到着。


「はああ!!!」


「あああ、惜しい!」


 剣道場では茉子と光が何かの練習をしていた。


「光、何してるの?」


「え? ああ、新しい技の練習をちょっと」


「へえ。ねえさ、白井さんどこ行ったか知らない?」


「あ、私知ってる」


 その質問に答えたのは、光ではなく茉子だった。


「なんかね、部活がOFFなの知らなかったみたいで、『え! 今日ないの!? ええ~、じゃあ花蓮ニュータウンに遊びにでも行こうかしら』って言ってたよ?」


「オカルト部ってまだ生きてたんだな……。てか、シナトス一人で行ったの!?」


「ううん。先生と行くって」


 もちろんこの先生はリームである。


「そう……ありがとう」


 さて、と言うことでシナトスは花蓮ニュータウン。


「エルメさん、どうしますか?」


「もう、ここまで来たら引き下がれません! 私、行きます!」


「そうですよね、なら私も邪魔じゃなければ一緒に行きますよ」


「ええ!? でも、そんな迷惑じゃないですか?」


「いいんですよ、たまには私だって生徒会長の仕事から抜け出したかったですし。それに、死神は下界にはあまり慣れてないんでしょう?」


「あ、ありがとうございます!」




 ー花蓮ニュータウンー

 てなわけで姉さんコンビは花蓮ニュータウンにやって来た。

 しかし、ここも決して狭くはない。

 果たしてシナトスがどこにいるのか……。


「とりあえず、手当たり次第に探すしかないですね……」


「そうですね」


 と言うわけでなるべくシナトスが行きそうなところを二人で探すことになった。


「ヒナさんは弟さん擬きとは仲はいいんですか?」


「擬きって、そうですね。まあ悪くはないんじゃないかな」


「羨ましい……私は喧嘩ばっかりで」


「心配だとたまについ強く当たっちゃいますよね。分かります」


「ヒナさんもなんですか?」


「結構そうですね。たまには竹刀振り回しちゃったりすることも」


「ええ!?」


「でも、やっぱり大切なんですよね。嫌われてもいいから正しい道を歩んで欲しいって」


「私はどうですかね……。もしかしたらシナトスの言うことが正しいかもしれないからなんとも言えなくて……」


「なら、なおのこと見つけないとですね! そういう時はゆっくり会話してみるのが一番ですよ!」


「そうですね!」


 が、広い街を二人で探すというのは大変なことでなかなか見つかる気配がない。

 とりあえず、休憩も兼ねてベンチに座り飲み物を飲んでいた時だった。


「ん? あ、やっぱりだ。死神娘の姉貴さんだろ?」


「え? 貴方は日比谷さん」


「生徒会長も……何してんだ?」


「えっと……薫さん知合いですか?」


 薫と宇水に出会った。

 二人は買い物をしていたらしく両手にレジ袋を持っている。


「ああ、宇水は知らねぇのか。えっと、うちの学校の生徒会長と、死神娘の姉だ」


「そうなんですか……。宇水 撫華です。」


「どうも、姉のエルメです」


「で? あんたら何してんの?」


「シナトスを探してるんです……」


「死神娘? それなら、さっきすし屋で見かけたぜ?」


「本当!?」


「なんで嘘つくんだよ」


 すると、ヒナとエルメは残りをぐっと飲み干すと一目散にすし屋に向かう。

 花蓮ニュータウンにすし屋は一軒しかない。

 ガラッとドアを開けると。


「アリサさん、なかなかやるじゃない!」


「シナトスも凄いのですよ!」


「アリサさん、金大丈夫なの?」


 寿司の食べ比べをする、シナトスとアリサ(+雄馬)がいた……。




「何してたの?」


「何って……ヒカルに前々から聞いてた寿司を食べに行こうと思ってたから行ってみたのよ?」


「いや、そうじゃなくて」


「そしたら、クラスメートのアリサさんと雄馬君と一緒になって……あとは成り行き」


「あ……そう」


 なお、大量の寿司代は全部ちゃんとアリサさんが払っていた。


「で? 姉さんは何しに?」


「これ、貴女忘れていったでしょ?」


「あ、私の本……。わざわざ届けに来てくれたの?」


「まあ……その……」


「ありがとう」


 ああ、このセリフのためだけにどれだけ苦労したものか。

 しかし、今日はまだここで終わりじゃないのだ。

 ヒナも応援してくれている!


「あのね……シナトス……」


「ん?」


「良かったら……その下界について教えてもらえないかなとか……。例えばカフェとか……」


「いいよ。いい所を知ってるの、姉さんにもコーヒーゼリーの偉大さを教えてあげる」


「!」


 このために、このために今日はこんなに頑張ったのだ。

 苦労が大きかった分、エルメの嬉しさも大きい。

 そしてそれは陰で見守るヒナも同じ。


「はあ! 良かったですね、エルメさん!」


「あれは……もしかして告白なのですか!?」


「ええ!? それってあれか!? 百合ってやつか!?」


「雄馬君、アリサさん?」


 相変わらず笑顔の迫力は鋭く。


「じょ、冗談のなのですよ……。ね、ユーマ?」


「もちろん!」


 それでも、今日の迫力はちょっと弱かったかもしれない。

 誰かの幸せを喜んでいる時は、どうしても怒りづらいものなのだ。


「ふふ……。今日は私も光の家で、夕ご飯食べさせてもらおうかな」


 そして生徒会長だって、本当の姉弟じゃなくても……。

 やっぱり姉弟のぬくもりに、たまには甘えたくなるのです。


次回 48話「アリサ&雄馬 日本漫遊記」

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