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魂のレッドライン  作者: ギン次郎
1章 夢を見た天使
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46話 誓いの石碑

「のどかでいい所だな」


「そうですかね。私がお爺さんと過ごしてた時はこれが普通でしたよ?」


「お爺さん?」


「千字村正お爺さん」


「ああ」


 まあ、千字村正が生きていたのは室町の中期頃だったはずだから、それなら自然豊かで当たり前だろう。


「この村も結構歴史ある村なんですよ? それこそ、室町時代ぐらいからある村みたいで……」


「そんな昔から!?」


「はい……。私達の先祖がここに移り住んだのは、天界との交流を断ってからだそうです。それから、特異器官だからなのかは分かりませんが、いつの間にか村のリーダーになっていたそうで……」


「へえ……」


 だから武慶さんに『宇水様』って言われてたのか。

 まあ、特異器官だとは言わなくてもなんとなくこの家の人が特別なのは分かる気がするが。


「それにしても……今の時代は本当に自然が少ないんですね~。ご主人の記憶にも殆ど緑がないんですもん」


「まあ、そうだな」


「どこもかしこも灰色ばっかり。私が押し入れに籠っている間にこんなことになっていたとは」


 ……。

 もしかしてだけど、村正ちゃんはずっと押し入れに仕舞われていたことを根にもっているんだろうか?

 なんとなくだが、若干トゲのある言い方だった気がする。


「すみません……。知らなかったんです、まさか生きてるって本当にこんな風だなんて……」


「ほえ? 別に気にしてないので謝る必要はないですよ~?」


 絶対嘘だ。

 そして、ずっと仕舞われていたストレスを発散するべく、俺でこの娘は遊んでいるのだ。

 皆さんもたまには押し入れを整理しましょう。

 もし生きているものを仕舞いっぱなしにすると後が大変です。




「美味い!」


 さて、一通り村を見て回わり今は昼時。

 朝出る時に武慶さんがくれたおにぎりを3人でほおばる。


「シナトス達も来れば良かったのに」


「シナトスさんとリームさんは天界に報告。アウラさんと薫さんはまだ怪我の様子が良くないそうです」


「あ、そうか。アウラさんは結構傷深いんだっけ……」


「なんで一番弱いご主人が一番傷浅いんですかね」


「ごめんね!? 役立たずで!!」


「そこまでは言ってないです! 止めさしたのもご主人ですし!」


 まあそうなのだが。

 確かにもう少し強くならないといけない気がする。

 今の俺をRPG風で表すと、



 スキル 【見切り】:回避率上昇

 技   【カマイタチ(偽)】:威力は本家の30%ほど

 必殺技 【地天反逆】:カウンター技、受けたダメージを倍にして返す



 使いにくすぎる……。

 これじゃあどこぞの虎武将(第2形態)みたいじゃないか!

 これは今度本格的な特訓をしなければ……。


「ん?」


 そんなことを考えていた時、森に繋がる道を見つけた。

 一見ただの道なのだが……。


「ご主人? どうなさいました? 可愛い女の子でも見つけたんですか?」


「違うわい! あれだよ、あの道……」


「道ですね。それがどうかしたんですか?」


「いや……。なんかこう気になるって言うか……」


 なんだろうか、この感覚は。

 その先に何か大事なものがあるような気がしてならないのだ。

 もしかしたらこれも次元眼の作用かもしれない。


「宇水さん!」


「はい……?」


「あの道の先には何があるんですか!?」


「えっと……、石碑が一つ立っているだけですが……」


「ちょっと行ってみたいんですけど!!」


「分かりました……」


 おにぎりを口に詰め込み、道に向かって走っていく。

 そのまま道を進んだ先にはー


 小さな広場があった。

 森の木もそこにだけは生えておらず、木と木の間から太陽の光が差し込んでとても神々しい。

 広場の真ん中には、言われた通り石碑がポツンと一つ。

 そして不思議とこの広場はとても静かな気がした。

 時折、鳥のさえずりが聞こえるだけで後は何も聞こえない。


「……なんて書いてあるんだろうか」


 石碑には文字が記されていたが古くて読めない。


「ちょっといいですか、ご主人。こういう時こそ私の出番です」


 そうか、村正ちゃんなら読めるか。


「ええと……。

『約束しよう。いつの日か、君の望んだ楽園を私が作り上げてみせると』

 って書いてますね。

 なんです? これ」


「私達にもよく分からなくて……。なんでも、村ができるずっと前からあったそうです……。私達はこの石碑を『誓いの石碑』と呼んでいますが……」


「誓いの石碑……」


 分からない。

 何が、どうこれが大切なのかは一切分からない。

 それでも言えることが一つ。


 この石碑は絶対何か重要なものだ、と。




 ー宇水邸前ー

 さて、石碑の謎は結局解けず帰りの時間。

 何でもリームが酔わないように、宇水さんが乗り物を用意してくれたそうな。

 なんとなくスルーしていたが、こんなデカい家作ってる時点で宇水さんは大金持ちなんだろう。


「……確かに、吾輩はおそらく酔わないな」


「そうね……。リームは大丈夫ね……」


 しかし、この場にいる全員がその乗り物に顔をしかめる。

 正確には俺を気遣って。

 つまり、そこに来た乗り物は……


「すみません……! 光さんが高いところが苦手だとは知らずに!!」


 ヘリコプター。

 いや、飛行機か?

 ヘリと飛行機の中間みたいな、大きいヘリがやって来た。

 ええと……俺だけバスと電車って言うのはー


「もうバスも電車もないみたいですね……。何分田舎なので……」


 絶望しかないです。

 俺は今日ほどヘリを生み出した人間を恨んだ日があっただろうか。


「いいじゃないですか、ご主人。どうせ、途中で気絶して膝枕なんですから」


「何がいいのかな!? 怖いのは怖いんだよ!?」


 だからといって徒歩にするわけにもいかない。

 多分、途中で野垂れ死ぬ。

 なら……これに乗るしか……。


「あ、そうだ光さん」


「ん?」


「私も後日、そちらに行きますね。少しでも力になるために」


「……転校したりします?」


「いいえ? 私はもう、飛び級で大学まで終わってますので」


 飛び級って日本にある制度だっけ?

 まあ、本人がしたって言ってるんだししたんだろう。


「それでは、また後日!」


「あああああああああああ!!!!!!!!!!!!」


 なんだろうか、最近帰りに毎回叫んでる気がする……。




 ー後日ー

 さて、村正ちゃんが住み着いたことで我が家は二人暮らしになりました。

 剣のくせに大食らいなので食費がヤバいです。


「ご主人~」


「ん?」


「なんか、隣に誰か引っ越してきたみたいですよ?」


 ……。

 デジャブ。

 前にお向かいに引っ越してきたヤツがいたような……。


「あ、光さん」


 ですよねー。

 やっぱり宇水さんですよねー。


「これからよろしくお願いいたしますね……」


 俺の周りはどんどん賑やかになっていきます……。

 本当に……。


次回 47話「シスタークライシス!」

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