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魂のレッドライン  作者: ギン次郎
1章 夢を見た天使
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38話 Super Fantastic Girl ー1st-

「ご苦労様。明日もお願いね」


「はーい」


早朝、まだ夜が明けて間もない時刻。

俺は自転車を走らせ、街を周っていた。

何をしているのか、その答えはバイトだ。

一応、家には諸々の事情で高校生が一人で生きていく分ぐらいのお金はある。

しかし、別に人生高校時代で終わりなわけでもないし、時間も余っている。

なので、俺は毎朝新聞配達のバイトをすることにしたのだ。


「……寒い。まだ、朝は冷えるか」


なお、俺はバイクの免許は持っていないので、配達は自転車だ。

別に今の俺なら免許なしで安全に運転できるとは思うのだが。


「おお、光君。毎朝精が出るの」


「あ、どうもです」


最後の一軒はここ『八雲神社』だ。

都会な花蓮ニュータウンとは、全く反対の雰囲気を放つ神社。

なんでも、350年ぐらい前からあるとかで超歴史ある建物らしい。

実際、このあたりの人は初詣にはここに来るし、夏祭りなども行われたりと結構活気がある。

ここの神主さんは、婆ちゃんの旧友で俺も昔から世話になっている人だ。


「うむ。一時期は落ち込んできたりもしたが、すっかり元気になったようでなりじゃよ」


「ははは……。その節はご迷惑をお掛けしました」


「まあ……。落ち込むのも無理はないがの」


まあ、俺が元気になったのはいろいろとあるわけなのですが。

それを説明すると、大変なことになるのでここは適当に誤魔化しておく。


「それじゃあ、明日も頼むよ」


「はーい!」




さて、帰り道。

俺は全ての新聞を運び終え、自転車を返しに新聞社へと戻る。

まだ、6時過ぎなのでこれから学校でも十分間に合うのだ。

もっとも今日は土曜なので休みだが。

すると通りかかった公園で声が、


「いいじゃんか。ちょっとぐらい付き合ってよ」


「いや、あの、その……」


なんて分かりやすいチンピラなんだ!

今の時代、逆に珍しいぞ……。

あと、朝っぱらからそんなことすんじゃないよ。

早起きしてるの? 真面目か!!


さて、こういった時前までの俺なら誰か大人を呼んでいただろう。

しかし、今はもう違うのだ。


「おい、嫌がってるだろ。やめてやれよ」


「ああぁん!?」


……本当に分かりやすいと言うか、テンプレと言うか。

まあ、オンネンや薫と激闘を繰り広げた俺にとってチンピラの相手など、それこそ朝飯前……。



「ちくしょう! 覚えとけよ!!」


去り際の捨て台詞も分かりやすい。

しかし、意外と苦戦したな……。

俺の想像だと腕をグッ!!っと掴んで

『やめろって言ってるだろ?』

とかするつもりだったんだけど、意外と相手が強かった。

うん、多分アイツはオンネンや薫ともやっていける強さのチンピラだったんだろう。

俺がそんなに強くないわけじゃないんだ。


「大丈夫?」


チンピラとボカスカやって結構傷だらけのくせに、それでも俺は女の子にそう聞いた。

お前に言われたくねぇよ、と思われるのは分かってはいるが、ここでこのセリフは言わないと。


「私は大丈夫ですけど……、貴方は大丈夫なのですか?」


「え? あ、まあ……」


薫に左腕バラバラにされたときに比べれば、全然なんてことないが痛いものは痛い。

しかし、それを抑え込んで笑顔を作りー


「全然? こんなのどうってことないですよ」


そう言った。

かっこよさげに出ていった以上、『痛いです』だのカッコ悪いことは言えないのだ。

俺にだって男としてのプライドはある。


「そうですか……。とにかくとても助かったのですよ」


外国人……なんだろうな。

サラッサラの金髪を後ろでまとめ、カラコンとは思えない澄んだ青い目。

外国人らしく背は高く、俺よりも少し高い。

180センチぐらいあるんじゃないか?

日本語は上手だが、なんだか舌足らずな喋り方なのも外国人だからなのかもしれない。


「貴方はここの近くに住んでいるのですか?」


「え? ああ、まあそうですけど」


「なら、一つ頼まれて欲しいのですよ!」


「えっと、何をですか?」


「実は道に迷ってしまって、私を案内して欲しいのですよ……」


「ああ、それぐらいなら全然」


「ホントですか!?」


道案内ならシナトスで慣れている。

ホントにあの人、ちょっと目を放すとすぐいなくなるもんだから……。

おまけに一人じゃ学校からも帰れないし……。


「で? どこに行きたいんですか?」


「八雲神社というところなのですが……」


……え?

あそこ行くの?




「おお! アリサ、よく来たの」


「お爺様! ご無沙汰なのですよ」


お爺様……。

つまり神主さんのお孫さんなのか?

……知らなかった。

神主さんに孫が、しかも外人の孫がいたなんて!!


「おや? 光君じゃないか? どうしたんじゃ?」


「いや、道に迷っていたので案内を……」


「おお! そうだったのか、どうもありがとう。紹介しよう、儂の孫のアリサじゃよ」


「よろしくなのですよ」


「あ、城内 光です。えっと、一応神主さんとは顔見知りです」


いやはや、人は見た目だけじゃ分からないものだ。

こんなお爺さんに外人の孫娘がいるなんて、次元眼でも分かりはしない。




「実はの、アリサは生まれも育ちもイギリスなんじゃがの。今回は留学……かなんかで日本に来るとこになってな」


なるほど。

通りで知らないはずだ。

そりゃ、昔からイギリスにいたのなら俺は会えるはずもない。


「……あれ? この神社ネコいませんでしたっけ?」


いつもならシャーシャー威嚇してくるネコが今日はいない。


「ああ、ドドンパなら先月死んでしまったよ……。まあ、寿命じゃったしな」


……そうだったのか。

2か月くらい来ていなかったがまさか死んでしまっていたとは。


「ドドンパはよく婆さんに懐いとった……。まあ、儂には全然懐かなかったがの」


儂にはって言うか、お婆さん以外全員威嚇してたような気がするんですが。


「今頃どうしてるかの……」


……。

俺はそれを知ることは出来るが、それを言うわけにも行かないのがなんとも歯がゆい気分だ。

と、その時!


「!? なっ、何なのですかコレはー!?」


「どうした!?」


アリサさんの声が!!




ー獣臭い場所ー


「ボス。ボス、ボス!!」


「……何~? まだ6時じゃん、もうちょい寝かしてぇ……」


「ボス! よく見てください!! 聖域に見慣れぬ人間が!!」


「え? ……あ、ホントだ。ジジイに金髪の女に……なんか弱そうな男がいる」


「どうしますか?」


「フフフ……。飛んで火にいる夏の鼠とはまさにこのこと」


「『虫』では?」


「いいの! 細かいこと言わない!! ただちに恐怖の緑作戦を行え!」


「はッ!」


「あの方の聖域はおいら達が守り抜くのだ!」


次回 39話「Super Fantastic Girl ー2nd-」

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