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魂のレッドライン  作者: ギン次郎
1章 夢を見た天使
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10話 嘘と誤解と、それから恋

 理解が追いつかない。

 昨日の夜、それなりに壮大な別れをしたはずのシナトスが転校生として学校にやってきた。

 しかも、俺のクラスの俺の隣の席に。


「ちょっと、シナトス!」


 廊下を歩くシナトスを呼び止める。

 理解できないなら、直接本人に聞くまで!


「ヒカル。一応私ここでは『白井 サキ』ってことになってるから、そっちの名前で呼んでもらえる?」


「あ、ごめん……ってそうじゃない!!」


「え?」


 まさかの素の『え?』が出てきた。

 なんで、俺がこんなになってるのが分からないんだ。


「どうして君がここにいるんだ!?」


「あ、それね。アナタとこっちの方が連絡が取りやすいと思ったからよ」


 至極当然のように言うシナトス、もとい白井さん。


「えっと、それは何? 魔法かなんか使ったの?」


「ううん、ちゃんと試験受けて入ってきたけど?」


 いつ受けたんだよ!!

 っとツッコミを入れたかったが、まあ死神だしそこはどうにかしたんだろう。

 しかし、昨日から少し思ってはいたが、シナトスってもしかして天然なんだろうか?


「リームは?」


「リームも来るわよ。新任教師としてね、今日はまだいないけど」


「そうですか……」


 逃げる余地など俺にはなかった。

 そりゃあ、『朝にもう一度会いたいな』とか思っていたけど学校で会いたいとは思ってない。


「なんでそんなに驚いてるの?」


「いや、普通驚くだろ」


「ふうん、やっぱり人間の普通はよくわからないわ」


 人間の普通なのだろうか。

 なんかそれ以前の問題の気がするんですが。

 と、シナトスは何か思い出したのか、くるっと回転し振り返り笑顔で語りかけてきた。


「あ、そうそう。今日は3月8日じゃない?」


「そうだけど、それが?」


「私の誕生日は来月の7日なの。誕生日プレゼント楽しみにしてるからね」


「……はい?」


「人間は誕生日にお祝いをするのが普通なんでしょう? 昨日本で読んだわ」


「え、ちょ待って!」


「よろしくね、クラスメートさん♪」


 そう言い残し、何か用があるのかどこかへ行ってしまったシナトス。

 なぜ彼女は人間の普通を学ぶにあたって誕生日を最初に学んだのだろうか。



 ―その頃少し離れたところ―

「はわわ、光くんが昨日会ってた子ってあの子なんだ」


 顔を赤くし、ドギマギしながら様子をうかがう茉子。

 そしてその上には――


「誰かと思ったら、まさか転校生の白井さんだったなんて。ちょっと盲点だったわ」


 怒ってんだが、なんなんだがよくわからない険しい顔で、これまた様子をうかがう日菜子さんがいた。


「でも、ヒナちゃんホント? 白井さんが、その……光くんを誘惑したって」


 勘違いが、勘違いを呼びもの凄い思い違いに至っている二人。

 しかし、その間違いを訂正する者はいない。


「そうとしか考えられないわ! そうでもなきゃあの臆病で、間抜けで、怖がりな光があんなことするわけないじゃない!!」


「ヒナちゃん、それ凄い悪口……」


 それは個人的な怒りなのか、風紀を乱されたというあくまで生徒会長としての怒りなのか。


「茉子、協力して」


「ふえ?」


「今日の放課後の説教で光から全部聞き出すのよ!」


「何を?」


「決まってるでしょ! 昨日の夜、何があったのかをよ!!」


 うわあ、ヒナちゃん怖いよぉ。

 そう思ったところでどうしようもない。

 こういう時、選択肢は二つあるようで一つしかないのだ。


「分かったよぉ。で、私は何をすればいいの?」


「白井さんをキープしといて、話の内容によっては彼女も粛清対象だわ」


 茉子はまだ日菜子の話に半信半疑だったが、日菜子の要求は断らなかった。

 いや、断ると後が怖いのもあるが。

 なんだかんだで茉子も気にはなっていたのだ。

 最悪、それなりに長いこと想い続けていた人を、たった一晩で奪われたことになるのだから。


「分かった、ようするに帰さなければいいんだね?」


「ええ、見てなさい! 光……じゃなくてこの学校の風紀を乱したらどうなるか見せてあげる!!」


 ひぃぃ。

 やっぱり、光くんのことも気になるが、それ以上に。

 今は隣の幼馴染が怖い。



 ―放課後 反省室―

「来ました……」


「ん、まあそこに座りなさい」


 今まさに、光にとって最大の恐怖と日菜子にとって最大の勝負が始まろうとしていた。



 ―同時刻 教室―

「あれ? 白井さん?」


 その頃茉子は白井さんを見失っていたりするが、それはまた別のお話。


次回 11話「そして誤解は厄介へ」

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