いそうろう神様と賢者なおっさん。
2ヶ月前から居候がいる。神様と名乗る変わった少女だ。今は成り行きで一緒に暮らしている。
2ヶ月前から人間界に居候している。家主は賢者と名乗る変わったおっさんだ。今は成り行きで一緒に暮らしている。
日曜の夕方、近所の公園でベンチに座ってぼーっとするのが2人の間に生まれたブームだった。側から見たら親子に見えているだろう。
日曜の夕方、おっさんはこの公園でぼーっとしている。側から見たら不審者に見えているだろう。
私は彼の身を案じて会話を投げかけてあげた。
「なぁ。おっさん友達いないの?あんな小さい子でも友達と遊んでるぞ。」
突然話を切り出した神様は、向こうの遊具にいる子供達を指差していた。
「40近くなると、友達より仕事仲間ばっかりになっちゃうのよ。仕事終わりに酒飲むくらいで、休日に会う人なんていないの。」
そう言っておっさんは遠い目をした。あそこの子供達も、いつかおっさんになってしまうのだろうか。
「人間も大変だな。」
「わかってもらえて嬉しいよ。」
人間の大変さがわかってもらえた所で、神様について尋ねてみる。
「神様って、どんくらい生きんの?」
いきなり失礼な質問をされたが私は怒らない。神様だから。
「さぁ。周りで死んだ人いないし。私も千五百年は生きてるかな。人間は辛いよね。頑張ってもすぐ死んじゃうし。正直七、八十年じゃ何も出来なくない?」
神様らしい疑問だ。確かに人生は長いようで短い。
「何か成し遂げたくて生きてる訳じゃないよ。自分のやってることで誰かが笑顔になればいいかなってくらい。」
夕焼けにドヤ顔が照らされていた。子供達も、また明日ね。と言いながら散っていく。
「なぁ。なんでまた明日ねとか言うの?明日生きてるかわからなくない?」
神様は辛辣な質問をしたが、自分では気付いていないようだった。
「あれはさ、別に会う約束してる訳じゃないんだ。生きてると、ちゃんと別れも言ってないのに2度と会わない人とかたくさんいるわけよ。でもあなたとはまた会いたい。それくらい好きだよ。って伝えてるんじゃない?」
好きなら好きと直接言えばいいのに。回りくどい生物だ。ただ、さすがは賢者というだけあってなかなか良い答えだった。
「ねぇ、おっさん。」
彼女は足で砂に線を描きながら俺に話しかけた。
「ん?」
「また、明日ね。」
「……おう。家一緒だけどな。」
そう言って俺たちは立ち上がる。
今日の夕飯は何かなぁ。
こんにちは。YUmiです。
今回は、なろうラジオ大賞への応募作として超短編を書かせて頂きました。
皆様が、大切な人といつまでも、普通な日常を過ごせますように。