プロローグ
書いては直し、書いては直しの初心者です。投稿もゆっくりしていくので、気になった方はどうぞ見ていってください。皆さんの暇潰しになればいいなと思います。誤字脱字は連絡下さると嬉しいです( ˊᵕˋ ;)
プロローグ
「貴方の何が気に入らないのかですって?」
華奢な手が月の光を映したような銀髪を後ろへと払う。さらりと舞うその髪は日の光に反射してキラキラと輝く。まるで彼女の髪に妖精が住んでいるようだと、何処かでぼんやりと考えた。
何だろうこれ、まるで映画のワンシーン見たいな…それもアクション映画の正に最大の危機に瀕する時の緊張感。そう、あの見守ってる側が思わずゴクリと唾を飲み込む様な場面。
それでも何処か現実味が無いように思えるのはこれが夢だから?
「ふふふ。貴女、一度でもご自分の行いを試みた事があって?……えぇ、勿論無いでしょうね。合ってないような薄っぺらい頭をお持ちだものね貴女。恥ずかしくないのかしら?」
私の目の前にいるのは二人の女性。
一人は先程の銀髪を持つ、気の強そうな毒を持つ女性。そして二人目は、桃色にも見える可愛らしく淡い赤毛に、燃える様な深紅の瞳を持つ可憐な女性。
銀髪の女性は後ろに数人を従えている。
一人の周りを取り囲む様に立つ集団。どちらも真っ直ぐ目を逸らさず、双方譲る気配のない様子を見ると、これは修羅場と言っても過言では無い。いや、訂正する。寧ろ修羅場にしか見えない。
二つのグループの背景には、一面白く高品質な壁に覆われ、何処までも続くような広さを持ち、隅々まで芸術的な模様で覆われた学園があった。
けれどまるで写真の様な凹凸の無い背景に、ふと違和感を覚える。でも、それが何なのか残念ながら私には分からない。
その豪華絢爛な学園の中庭には、すぐ側に噴水が三つ程あり、更に奥には薔薇園のようなもの、また更に奥に大きなサンルームが見える。
そんな風景に感激して喜びたいところだけど、ピリピリとした雰囲気の中、素直に目を爛々とさせはしゃぎまわる訳にはいかない。と言うか絶対無理。
一体なにこれどういうことなの。
「ではその家畜よりも薄い頭にしっかりと刻み付けておきなさい。」
そう言って鋭く目を尖らせる銀髪の女性が前へ進み出る。
それに反して私の方へ足を退ける桃色の髪を持つ女性。
洗練された佇まいは、その場にいる誰もを凌駕する魅力と迫力を放ち、女性はそれに怯む。
美人が怒ると怖いと言うが、その意味が今まさに分かった気がする。実際見ると凄みがやばい。蛇に睨まれた蛙のようだ。
でも、そんな事より私は、睨みを効かせるせいで伏せられた長い睫毛により、美しい澄み切った青空の瞳が隠れた事が、何よりも残念に思えた。
爽やかな空色の中に燃える怒りだけでは無い、複雑な炎が、ユラユラ揺れて陽炎を作るような、そんな瞳を初めて見て、心が揺れる。
とても綺麗だと思ったのだ。
でも待って
「わたくしは…」
私、何だか、この瞬間、この場面
「貴女という人間そのものが…」
この台詞、この人達、この女性を
『心の底から大っ嫌いなのよ!!』
――――――――――見た事がある?
その瞬間、私の視界は暗転した。
ここまで読んで下さりありがとうございます!