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不思議ライフは突然に  作者: みーこ
3/4

波流人、到着する

セミナー会場は複合ビルの会議室で行われた。

会場に着くと、受付のお姉さんがにこやかに対応してくれた。


俺は、姉の友達の代わりなので、名簿の友達の名前が二重線で取り消されていて、そこに俺の名前が書かれていた。どうやら事前に連絡していたらしいが、後で聞けば、出席者が不参加の場合は料金の返還は出来ないし、代理出席も断られるらしい。じゃ何故俺が出席出来たかといえば、友達が出席出来なり、俺を連れて行こうとした姉は、当然セミナー側から拒否される事を想定して、ダメ元で連絡した。やはり相手は断ってきたらしい。想定していた姉は、粘りに粘っていたが、相手も慣れたもので、のらりくらりとかわしていた。そこへ突然、今回の主催者がやってきて、一緒に居たスタッフから説明を受けた。するとその主催者の鶴の一声で俺の参加は了承されたという訳だ。



「あら、あなたが波流人君ね。随分と若いけど高校生かしら?」



「はい。橘波流人といいます。高校生です。本日はお世話になります」



「うふふ。礼儀正しいのね。分からない事があったら何でも聞いてね。席は自由だから好きな席に座って下さい。あとこれに名前を英語で書いてね。そして首から下げて下さい。帰りには返却を。明日、また受付時に渡す事になりますから」


「ありがとうございます」



おれはHARUTOと名前を書き、首からストラップを下げる。

先に受付を済ませて居た姉が俺を待っていた。



「席は自由だけど、あんたどうする?」


「この際だから別に座るよ。今回、俺一人で頑張ってみるよ」


「そっかー。うん、わかった。だったら一人でやってみなさいね。途中で休憩があるし、お昼は一緒にたべよう。じゃ、健闘を祈る」



何やら一人で納得して姉は会場の前の方へ行ってしまった。


さて、俺はどこに座ろうか。

会場は会議用の机が20ぐらいあり、まばらに人が着席していた。前方にはマイクスタンドが設置されている机があり、そこは本日のセミナー主催の席なんだろう。その横にはホワイトボードもある。説明に使うのかな?


俺は右手の真ん中ぐらいの列に座った。真ん前に座る度胸も無く、程々な位置取りだ。


着席してまだ少し時間があったので、途中で買っておいた緑茶を飲む。そして名札と一緒に渡されたテキストを開いた。

そこには色々な項目が並んでおり、意外と内容はぎっしり詰まっていた。これを今から勉強するのだ。明日が終われば、今の俺と違った俺がいるはずだ。


そう、俺はヒーラーになるのだ。








俺の胸がヤル気に滾っていたその時、緊張感のない声が聞こえてきた。




「ハーイ、マイプリティベイビー。アイラビュー。アイラブマイスチューデント〜」




金髪碧眼、満面の笑顔を振り向きながら、本日の主催者であるマジョリカ・オズボーンが入ってきた。



何人かの英語の出来る人が、マジョリカの元へ集まり、楽しそうに話し込んでいる。きっと俺には分からないが、彼女がとても明るく優しそうな雰囲気を持っているので、自然と人が集まるのだろう。


そしていよいよセミナーが開催された。







「皆さま、本日は様々な所からお集まり下さり、ありがとうございます。本日は、マジョリカ・オズボーン主催の『エンジェルヒーリング・ソウルエナジー』を開催します。司会は私スタッフの伊藤、通訳は山本が勤めさせて頂きます。


まず、このセミナーを受けるに当たっての注意点を説明致します。


このセミナーは録音は不可となっております。また、受講中の写真の撮影も出来ません。くれぐれもご注意下さい。


また、午前と午後に休憩を挟みますので、トイレなどその時に済ませて下さい。また途中で席を立たれる時は、お静かに行動をお願いします。


水分の補給は自由です。休憩中は、後ろにお菓子などがありますので、お召し上がり下さい。


明日のセミナーの終了後に、アンケートをお配りしますので、記入した後、退出となります。


では、今から始めます。本日のティーチャーであり、皆さまとのワークを行なって頂きます、マジョリカ・オズボーンさんです。では、どうぞ」




多分、40人ぐらいの出席者の前に、マジョリカわ座っていた。マイクスタンドからマイクを取り、立ち上がって話し始めた。



「皆さん、はじめまして。私はマジョリカ・オズボーンと言います。イギリスからやってきました。まずは皆さんに私の事をお話ししたいと思います」



通訳を通してマジョリカは、自分のこれまでの体験を話しはじめた。


俺はその話しに引き込まれ、久しくない真剣な態度で臨んだのだった。

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