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不思議ライフは突然に  作者: みーこ
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波流人、出発する

新幹線は思ったよりも空いていて、早朝のせいか、とても静かだった。

名古屋から東京までは、のぞみで1時間半で到着する。その間に、昨日聞けなかったセミナーの内容を姉に確認する。


「なぁ、今から行くセミナーって何やんの?」


「そういえば説明してなかったね。今からする話しは、素人にはビックリだけど、マジだからね。こっちは真剣にやってるから、そこん所ヨロシク」


「………」







今回受講するセミナーは、東京のある団体が主催しているもので、その業界ではそれなりに大規模にやっているらしく、結構有名なのだそうだ。

そこにいくつかあるセミナーの中から、今回受講を決めたものがあり、友達と一緒に申し込んだと言い訳だ。


内容は姉曰く「エンジェル系ヒーリング」というもので、それを体得する為の参加との事だ。



「いくつかのアチューメントを行なって、自分の中にある力を覚醒させて、クライアントの抱えているネガティブな所を癒して行くの。今回のものは、その中でもチャクラクリーニングを主体に行なっていくんだけど、それにはチャネリングをバンバン使っていくようだから、セミナーについていけるか不安なんだよね」


ここまで一気に話し終えた姉は、心は既にエンジェルちゃん達とのアレな事に囚われているのか、遠い目をして窓の外を眺めていた。


姉の何かと朝から黄昏ている様子を横目に、俺は姉の話した日本語がサッパリ理解できず、若干苛立ちを隠しもせず、更に追求した。


「あのさ、その説明で俺が分かると思う?俺初めて聞いた用語ばかりで、全然分かんないよ。何?アチューメントで覚醒?先ずはそこから説明してもらおうか」


「折角お姉様が説明したのに理解出来ないとは、頭の悪いダメな弟を持つ私は世界一不幸よ。だけど安心しなさい。誰よりも寛容な私は、ダメ人間に対しても、菩薩のような慈悲であなたを導きましょう」


「……どんくらい彼氏いないの」



「!!(ドカ)」



どうやら確信を突いてしまったようだ。姉の容赦ない頭頂へのゲンコツが炸裂した後、説明が始まった。



「アチューメントというのは、その力を引き出す為に行われる行為で、大体は瞑想しながらとか、身体に触りながら行われるの。簡単に言えば封印解除だと思えばいいわ。その時々で、何に対して行われれのかは様々だけど、自分に備わっている力を解放すれば、その内使えるようになるの。それを行うのがアチューメントなの」


「じゃ、俺も参加するんだから、俺もそのアチューメントとやらを受けて、目覚めていない力を解放するって事か?」


「ま、そういう事ね」


「すんげーじゃん。まじ俺TUEEEEEになるのかよ!」


「ちょっと待ちなさいよ。あのね、別に強くなる訳じゃないのよ。今回のセミナーはヒーリングを身に付ける事だから、強くなったりしないから。今回のアチューメントは、多分だけど、天使のヒーリングエネルギーを沢山扱えるようにするものだよ。光のエネルギー回路を広げて自分に取り込むエネルギーを沢山クライアントへ送るのよ」


「光のエネルギーって何だよ」


「うーん、一言で言うと愛のエネルギーかな?私もイマイチ説明が出来ないけど、例えば優しい気持ちって自分に向けられると、自然にリラックスして暖かい感じがするでしょ。そういう暖かい気持ちが愛なのです。それをもっと強くしたものをエネルギーとしてるのよ」


「?」


「だから、あんたがうちのチビが居ると癒されるってよく言ってるでしょ!それを人に行えるようにするテクニックを学ぶのよ」


大体、姉が何を言いたいのか漠然としているが分かった。


我が家にはチビという12年になる猫がいるんだが、コイツが兎に角可愛くて仕方ないんだよ。本当に、俺はメロメロになっている。何故なら、チビはどんな時でも俺を見つけると、喜んで走ってきてメチャクチャ甘えるんだ。その表情や仕草を毎日見てれば、真っ直ぐに俺を好きって伝わってくるんだ。人間みたいに駆け引きだとか、立場だとか関係ない。唯只管に好きって気持ちが届くんだ。こんな気持ちを毎日毎日伝えられれば特別な存在になるだろ?無条件で愛情を示されるんだ。そばにいるだけで安心するし、リラックスもする。当然それまで抱えていたアレやコレもどうでも良くなる。そしてこれは俺に絶大な癒しを齎してくれるんだ。




「あー、何となく分かったよ。成る程ねー。チビの癒しのような事を人に出来るようになる勉強をする訳か。ま、方法はおいといて、やっとセミナーに興味が出てきたよ」


「わかれば良し。まだ着くまで時間があるから他の用語の説明もするわよ」




こうして新幹線の中でも最低限の説明を受けて、俺たちは秋葉原のセミナー会場に到着した。

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