第十二幕 デウスマギウス
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ドラゴンを発生させる海底火山の封印に、トオルを始め招集されたマキナ・マイスター達がマキナで出撃する。そして…
トオル達は、海岸線に並んでいた。
この王都ベルンに集結したマキナ・マイスター達全員がマキナを展開し壮観なマキナの軍団を形成している。
百近く並ぶマキナの軍団に中に、大型サイズ30メートルのマキナ達の軍団の中にトオルのデウス・オーが抜きん出ていた。
トオルは、デウス・オーの操縦室のコアで、これから向かう海を見詰める。
マキナの軍団は、海上を進み、海上から出てくるリヴァイアサン級のドラゴンの討伐をしつつ、ドライバーオベリスクを担いだ大型の三十メートル級のマキナ達が、ドラゴンを発生させる火山口へ、このドライバーを打ち込み爆発させ、発生源を塞ぐ。
何とも分かり易い作戦だが、リヴァイアサン級のドラゴンはバハムート級と同等の大きさがある巨大な海竜だ。
この百近くのマキナでどこまで押さえられるか…未知数。
だが、やらないと…王都ベルンの被害が加速する。
マキナの軍団の先頭に、国王ルイートが乗るネオデウスが立っている。
ルイートのネオデウスが拳を掲げ
「行くぞ! 皆の者よーーー 我らの勝利をもぎ取るぞ!」
『おおおおおおおお!』
集結したマキナ達から雄叫びが放たれる。
「ゆくぞーーーー」とルイートのネオデウスが先陣を切って、海を進む。
ルイートのネオデウスは脚部から火炎のフレアを放ち、海上を滑空する。
それと同じように、マキナ達も脚部からフレアを放ち海上滑空して、ルイートのネオデウスに続く。
国王の先陣により、否応なしに士気がうなぎ登りで進軍を行う。
トオルのネオデウス、デウス・オーも海上滑空で続く。
何となく巻き込まれたとはいえ、誰かを助ける為に動く事に後悔はない。
一キロ程度進んだ所で、海原に無数の海竜の背が見える。リヴァイアサン級のドラゴン達だ。
リヴァイアサン級のドラゴンが、海上を進むマキナの軍団に向かって襲撃する。
マキナの軍団は五つに割れて翼のような陣形になる。
リヴァイアサン級のドラゴン達が顔を海上に出して顎門を上げてブレスを放つ。
ルイートのネオデウスが両手に巨大な光剣を握り、ブレスを放つリヴァイアサン級のドラゴン達を纏めて両断する。
それにマキナ達の攻撃が加わる。
強烈な撃鉄の拳を浴びせて貫通、同じく光剣を持ち斬撃、両手からガトリングの如きエネルギーの弾丸を放つ。
本格的に、リヴァイアサン級のドラゴン達との衝突が始まった。
トオルのデウス・オーもリヴァイアサン級のドラゴンと接触する。
「おおおおおお!」
トオルは激しく操縦スティックを動かすと、ネオデウスのデウス・オーの両拳から放たれる暴威が、リヴァイアサン級のドラゴン達を貫く。
一撃で五体も粉砕される様に、組みを共にするアルバートが乗っている大型マキナから見て
「堪んねぇなぁ!」
興奮する。
アルバートも血気盛んになり、リヴァイアサン級のドラゴンを掴み、絡め取られるもマキナの力を込めて引き裂いた。
リヴァイアサン級のドラゴンは、タイヤのゴムが避ける如く千切れ、体内にある金属的生体部品をバラ撒く。
トオルはそれを見て
本当にドラゴンは、生き物なのだろうか?
そんな事を考えつつも
「突破口を開く!」
両手のスティックを最大限に引き、思いっきり前に押し出す。
デウス・オーの両拳が激しいエネルギーの竜巻を伴って前方に発射。
それは巨大な光線だった。
その光線の進路にあったリヴァイアサン級のドラゴン達が粉々に消滅して、海上に割れた断崖を形成した。
ルイートはそれを見ていた。
同じネオデウスなのに、トオルのネオデウスが圧倒的に強い。
ルイートは笑む
「良い味方を得たわ!」
◇◆◇◆◇◆◇
王都ベルンの港では、取りこぼしたリヴァイアサン級のドラゴンが流れる事を予測して、マキナ達が並んでいる。そのマキナを操縦しているのは、マキナ・マイスターを父とする娘達、マキナ・レディー団だ。
彼女達は歯痒い、同じマキナ持ちだから、リヴァイアサン級のドラゴンの退治に参加したい者もいるが、父や兄弟達に止められてここにいる。
攻めて、街を守るという覚悟と、出撃した父や兄弟達の無事を祈っている。
その中にアルバートと姉妹許婚しているフェリアとノリアが乗るマキナもある。
二人は、アルバートの無事をマキナの中で祈る。
◇◆◇◆◇◆◇
海上の戦いが激しさを増して、リヴァイアサン級のドラゴン達の勢いが弱くなった。
そこへルイードが号令をする。
「今だ! ドライバーオベリスク部隊! 出撃」
ドライバーオベリスクを担ぐ大型マキナ達が海上を進み、目的の海底火山がある海へ潜る。
それに護衛として数十体のマキナも続く。
リヴァイアサン級のドラゴン達は、この戦場を対処するに必死で、それを追えない。
このまま作戦が成功するだろうと…思われたが。
海底を進む部隊が飛んでも無い事態を目にする。
海底火山が浮上して来る。
部隊を指揮する隊長が「撤退ーーー」と告げて、急いで浮上する部隊。
その異変は海上で戦う者達にも伝わる。
海上滑空している海の水が一気に一箇所へ集中する。それは津波の前兆と同じだ。
何かが浮上する勢いで海水が集められているのだ。
ルイートはそれで最悪を察する。
「まさか…海底火山ではなく…巨大な大陸級のドラゴン。ゴッドジオ級か!」
その推測は正解だった。
リヴァイアサン級のドラゴン達とマキナ軍団の戦場を止める程の巨大な存在が出現する。
全長700メートル。東京スカイツリーより巨大な存在が浮上する。
黒光りする巨山、背面にリヴァイアサン級のドラゴン達を発生させる火山を持ち、山々の如き尻尾、脚部はその巨体を支える程に威圧が放たれ遙か上のドラゴンの顎門が吼える。
ゴオオオオオオオオオオ
その姿は、数キロ先にある王都ベルン全域でも確認出来る程だ。
その浮上に巻き込まれたマキナ軍団は無事だったが、陣形は完全に崩壊していた。
トオルのデウス・オーは、アルバートのマキナを支え
「大丈夫か?」
アルバートはマキナの操縦コアからゴッドジオ級を見上げて絶望する。
「そんな…ゴッドジオ級だったなんて…」
トオルが
「何とか出来ないか!」
アルバートが
「ない。今までに、この北西のデウスマギウスに、ゴッドジオ級なんて一度も現れた事がなかったんだ! 伝説級のドラゴンなんだよ!」
トオルは、デウス・オーの拳全力でゴッドジオ級の前足の一箇所を攻撃するも、歯が立たない。
陣形がバラバラでもマキナ達は攻撃を続けるも、それは蟻に象が噛み付いている事に等しかった。
ゴッドジオ級が、王都ベルンに標的を定め動き出す。
アルバートが止めようと足に付き
「止めろーーーーー」
止められる訳がない。
トオルはどうすれば…と考えていると脳裏に、いや背中から声が聞こえる。
”我を使え…”
トオルの体にあるマキナ・スティグマの中で一番に大きい背中のスティグマが疼く
”我を使え…”
「お前は…何のマキナだ?」
”我はデウスマギウス、ヴェルトール”
トオルは、感じる。
このデウスマギウス・ヴェルトールは…飛んでもない力があると…。
迷う、だが…
「止めてくれーーーー」
アルバートの叫びが聞こえた瞬間、脳裏にアルバートやゴランドを一緒に食事した、アルバートの姉妹許婚のフェリアとノリアが過ぎった。二人は甲斐甲斐しくアルバートの世話をして、とても幸せそうだった。
このままゴッドジオ級の侵攻を許せば、その幸せな憧憬が終わる。
トオルは息を吸い
「デウスマギウス・ヴェルトール!」
コールした。
トオルの背中にあるデウスマギウスのスティグマが激しく輝く。
それと同時にトオル達の頭上にある空に巨大な空間の穴が出現する。
そこから、ゴッドジオ級と同じ大きさの黒光りする鋼の巨城が出現する。
「なんだ…アレは?」
戦場にいたマキナ・マイスター達や、王都の人々が注目する。
その鋼の巨城が変形する。
両手足が伸びて巨腕と巨脚を広げ、機神になる。
黒き700メートル級の機神ではないデウスマギウス(大陸巨神)がそこに着地する。
戦車のキャタピラの如き脚、それと同じ大きさの腕、体はその巨腕より小ぶりだが、しっかりとした菱形で、背中に巨大な砲身を背負っている。
デウスマギウス・ヴェルトールは、トオルをデウス・オーごと回収して胸部の操縦コアに入れた。その操縦コアの大きさだけで、50メートルのデウス・オーを軽く包み込む程に大きかった。
ゴッドジオ級は、同等の巨神を目の前に怯むも、直ぐに攻撃を始める。
顎門を開き、太陽の閃光の如きブレスを放つ。
デウスマギウス・ヴェルトールに直撃するも、全く傷を付けるどころか、反射してブレスが空へ逸れる。
「行くぞ!」
と、トオルはデウスマギウス・ヴェルトールを動かす。
巨大な300メートルサイズの拳がゴッドジオ級を襲撃する。
数百万トン以上はあろうかというゴッドジオ級が空へ舞う。
ゴッドジオ級が、人が住めるサイズの島と同等の巨大が空へ飛んだ姿をマキナの操縦者、マキナ・マイスター達は驚愕で見詰める。
ゴッドジオ級の巨体は悠然と空を飛び、着水、小津波が起こる。
デウスマギウス・ヴェルトールが両腕を構えて曲げる。
それはここから通さないという、守護の体勢だ。
ゴッドジオ級は、四つの脚を使い立ち上がり、背面、胸部、腕から無数の棘を伸ばす。
それがミサイルの如く発射され、ヴェルトールへ迫る。
ヴェルトールの胸部、肩、背面が開き、そこには無数の水晶が埋まっている。
その水晶から、光の筋が発射される。
ゴッドジオ級が放ったミサイルの全てをその光が打ち抜き破壊した。
ゴオオオオオオオオ
ゴッドジオ級は怒りの雄叫びを放ち、ヴェルトールへ突進する。
軽い津波を起こす突撃に、ヴェルトールにいるトオルは吼える。
「ファイナル・インパクトーーーー」
両手にある操縦桿を一斉に引くトオル。
ヴェルトールの背面、腕部、肩、脚部が開き、膨大な閃光を放出する。
ヴェルトールは、左手を前に右手を下げて、右手に力を集中させる。
右手を開き掴む形にすると、そこへ放出した閃光達が集中、太陽が生まれた。
「おおおおーーーーー」
トオルは気合いの雄叫びを放ち、ヴェルトールの右手に生み出した破壊太陽を発射した。
ゴッドジオ級の突撃と、ヴェルトールの放った右手、サン・ディストラクトが衝突。
ゴッドジオ級の胸部にヴェルトールの右手が突貫、ゴッドジオ級の胸部で右手にあったサン・ディストラクトが爆発する。
ゴッドジオ級が、サン・ディストラクトの大爆発により粉砕、空高く火柱が昇った。
倒されたゴッドジオ級の破片が海に降り注ぎ、ゴッドジオ級が破壊されて生じた火柱をデウスマギウス・ヴェルトールが背にする。
戦いに向かったマキナ・マイスター達がマキナの中で呆然としているが、国王ルイードが叫ぶ
「皆の者よーーーー 我らは勝ったぞーーーーー」
同時に、デウスマギウス・ヴェルトールの胸部コアから、トオルのデウス・オーが外れて降り立ったのを見て、マキナ・マイスター達はそれが味方だったと理解して
オオオオオオオオオオオ!
勝利の雄叫びを放った。
トオルのデウス・オーが降りた次に、デウスマギウス・ヴェルトールは、現れた巨城の形態に戻り、その上部に空間廻廊を形成して消えた。
トオルは、何とか終わってホッと安堵していると、デウス・オーの周りに多くの30メートル級のマキナ達が集まり、デウス・オーを担ぎ上げ神輿にする。
「えええ!」
と、トオルは困惑するが、皆の勝利した歓喜が止まる事はなかった。
その後、全員が無事に帰還すると、王都ベルンは、ゴッドジオ級を倒した事によるお祭り騒ぎになっていた。
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