第十幕 まどろみの中
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トオルは、移動中の最中、不思議な夢を見る。
トオルは移動最中、スチールフォース・カタクラフトの座席で眠ってしまう。
目的地の王都ベルンまで、一時間の距離だ。
その僅かな間だけ、奇妙な夢を見る。
そこは、宇宙空間だった。
頭から足下まで、全てが星々に包まれた宇宙で、どうしてか分からないが、足が付いている感覚がある。
ここは…どこだ?
トオルは、宇宙空間の如きその場を歩いていると、目の前に光を放っている波紋が見える。
大きさとして人の三倍くらいの光の波紋へ、トオルは吸い寄せられるように近付く。
トオルが目の前に来ると、光の波紋が言葉を紡ぐ。
”いや…待っていたよ。ここにアクセスしてくれる事を…”
トオルは、大きな光の波紋を見つめて
「お前は…一体…」
大きな光の波紋が告げる。
”私は、デウス エクス マキナ『全てを司るシステム』だ”
トオルの脳裏に、デウス エクス マキナに、意味の言葉が被さる二重音声で響いた。
「システムだと…」
光の波紋、デウス エクス マキナは光の波紋の波長を変えながら
”そうだ…。君の中にある知識で現せば…。近いモノとして、ゼノギアスというゲームがあるな。そのゲームの設定を参考にすれば、私は…ギアでいうなら、ゼノギアスだろう”
トオルは意味を察し
「神に近い存在…」
デウス エクス マキナの波紋が、笑うように波紋を明滅させ
”はははは、神か…神格より、まあ、近いという事にして置いてやろう”
トオルは真剣な顔で
「その神様が、オレに何の用だ?」
デウス エクス マキナの波紋が淡々とした波紋を出して
”君には、将来…ある場所にいって、ある存在を継承してもらいたい。それは、この世界でドラゴンを作り出している一因でもある”
「ドラゴンを作り出している一因?」
”まあ、それが全て、ではないが…。とにかく、一因だ”
トオルが嫌そうな顔で
「なんだよ。その継承する存在って…」
”それの名称…現象名は、エルドラクゼオン(神威龍機鎧座)だ”
「はぁ? なんだ。それ?」
”間接的には、君に関係がある事だ。そして、この世界に君を顕界させたのも、その適正があるからだ”
「ちょっとまて、顕界、呼び寄せたって事は…帰れるのか? 地球に、日本に!」
”そうだなぁ。厳密に言えば不可能だが…。地球という幾つもある近い並列世界に行くとなれば、可能だが。君が産まれた時空へは帰還できない。君は、この世界の存在として組み替えた。君が存続可能な、同階位の時空なら行ける”
トオルは考える。
元の場所、時空とか言っていた。つまり、ここは別のパラレルワールドで、存続可能な同階位の時空とも言っていた。パラレル世界には階級があるのか?
デウス エクス マキナの波紋が
”君が頭がいい。理解が早くて助かる”
トオルは渋い顔をする。
頭の中を覗かれている。
デウス エクス マキナの波紋が
”ここは、この世界の全てが繋がっている深層領域。普通なら、自我を維持して来る事は不可能だが…。君は、それを維持して来られる。それが、私が君をこの世界に呼び寄せた理由だ。つまり、適正があるという証だ”
トオルは鋭い顔で
「で、それを、エルドラクゼオンだったか? それを手に入れさせてどうするつもりだ?」
”君と、エルドラクゼオンが融合すれば、自ずと分かる”
「なんか、誘導されているようで癪だな」
”はは…手に入れるまでの間だけだ。後は、好きにさせる。それまでの道順は…お、彼女達が介入してきたな”
「おい、道順って、どういう」
”ザザザ、心配する、ザザザ、手配は、ザザザ、君なら見つけ、ザザザ、では…、ザザザ、始まりのデウスマギウスで、ザザザ、会おう”
トオルは、眼が突然に覚める。
「おい、大丈夫か?」
アルバートが目の前にいた。
トオルは額を抱えながら
「ここは?」
アルバートが後ろ指さし
「到着したぞ。目的地に」
トオルは座席から立ち上がると、窓の外に夜景が見えた。
王都ベルンの街中である。
「そうか…」とトオルは席から立ち上がるとアルバートが
「なんか、うなされていたが…」
トオルは頭を振り
「慣れない移動で、変な夢を見た」
アルバートが首を傾げ
「どんな夢だ?」
「本当に変な夢さ。大して意味なんてないさ」
と、トオルは淡々と答えた。
「ふ…ん」とアルバートは唸り「夢ってさあ、お告げみたいなモンでもあるって聞いた事がある。良い夢だったら、幸先が良かったのになぁ…」
トオルはスチールフォース・カタクラフトから降りながら
「変な夢はどっちなんだろうなぁ…」
と、告げて、スチールフォース・カタクラフトの荷台にある自分の荷物を手にして、宿泊所へ向かった。
宿泊所に来ると、ロビー兼食堂のそこで、明日、一団が来た事を報告する集会があるらしい。それに出席する為のロビーへの集合時間を決めて、各々の自由時間となった。
部屋は三人一部屋の相部屋で、トオルとアルバートにゴランドの三人が同じ部屋になった。
三人は部屋に荷物を置くと、アルバートが
「外で夕食にしようぜ。色々と近くにおいしい店を知っているんだよ」
ゴランドとトオルは視線を合わせ
「任せる」
と、ゴランドが告げ、トオルも同意して頷いた。
アルバートの案内で王都の街中を進む。
トオルは、この世界が自分のいた地球とは違う事を街中で知る。街頭がクリスタルで作られて光っている。街中の人々も、所々、魔法のような術を使っている。
エルフの田舎では、そう感じる事は少なかったが…。
人が多い町に来ると、違いが目に付く。
違いを見ながら、アルバートを先頭にとある食堂に来る。
沢山のテーブル席で賑わっていると…「アルバートーーー」と呼ぶテーブルがあった。
アルバートはそのテーブル席へ向かい
「フェリア、ノリア!」
と、テーブル席にいる金髪の美人の二人へ駆け寄る。
ゴランドが
「誰だ? あの二人?」
トオルは眉間を寄せる。憶えがあった。
「確か、アルバートには、許婚の姉妹がいて、名前をフェリアとノリアってね」
「ああ…」とゴランドは納得した。
トオルとゴランドは、アルバートの向かったテーブルに来ると、アルバートは親しげに二人の美人を抱き締めて、額や頬にキスしている。
トオルは、フッと笑み、アツアツですなぁ…と自嘲気味だ。
アルバートが来てくれたゴランドとトオルに手を向けて
「同じギアナ町から来た人で」
ゴランドがお辞儀して
「アルバートと同じマキナ・マイスターのゴランド・ラファエル」
トオルもお辞儀して
「同じく、トオル・マギです」
二人の姉妹、姉のフェリアと妹のノリアは顔を合わせ
「初めまして。アルバートの婚約者のフェリア・フィリート・ノディリア」
「同じく、アルバートの婚約者のノリア・レフィリート・ノディリアです」
「どうも…」とトオルは再度お辞儀をするとフェリアが
「話は、アルバートから聞いています。トオルさん…その髪…」
トオルは自分の黒髪を触る。
この世界に黒髪はいない。黒髪はとある存在の証である。マキナ・マイスターの実験体という。
トオルはポリポリと黒髪を掻いて
「ええ…まあ、元実験体ですよ」
フェリアとノリアは少し悲しげな顔をする。
ちょっと空気が重くなったそこへアルバートが
「さあ、何か食べようぜ。ここはボーンステーキが美味いんだぞ!」
と、重い空気を追い払った。
そして、五人は談笑しながら、夕食を共にした。
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