プレイ4 ついに五人そろったゲーム部!
「君朝霧くんだよね」
「!?えっとキミは確か同じクラスの」
「佐藤貴士だよ。よろしく」
「あ、うんよろしく。それで」
「うん。朝霧くん今からそれやるの?」
「そうだよ。えっとゲーム部の皆と」
「ゲーム部」
佐藤が横を見ると天宮達がいた。天宮も佐藤に
気づき話しかける。
「あなた、朝霧くんの知り合いですか」
「はい。クラスメイトの佐藤貴士です。あの僕も一緒に
プレイしてもいいですか?」
「あなたはできるのHTW」
「はい。好きですから」
「そう。いいわよ。二人もいいわよね」
「もちろん」
「じゃあ始めましょうか」
「ありがとうございます」
佐藤も加わり五人での勝負になった。HTWは大勢で
できるゲームなので装置は十個ある。
全員スタンバイし、いよいよ始まる。HTWが始まる時は
他の客達もそれに注目する。モニターを見て観戦で
きるからだ。スリーカウントが始まると、朝霧達は
コントローラを強く握った。そして、レースがスタート
した。
ゲーセンにあるHTWは装置が少し違い、足元に
四角い足場があり、足にもHTW様の靴を履くように
なっていて、それを履くと少しだが宙に浮く事が
できる。なので、そのコントロールもしながらの操作に
なるので、難しくなっている。
朝霧達はそれをうまく操り、激しい競争を見せた。それを
見てる客達も盛り上がっていた。
レースは後半になり、それぞれが何かをしかける
場面になる。
朝霧達ゲーム部は大体相手が何をしてくるかわかって
いるが、初対戦の佐藤の動きはわからなかった。
その佐藤はスピーダーで、徐々に加速してきた。
「ここでしかけさせてもらいます」
「!?」
佐藤が動いた。残り後三週もあるのに。それに気づいた
朝霧も行動を起こす。
「行かせないよ」
「こっちも抜かせない」
二人が先頭に出てトップを争う。天宮達はそれを
見ようと一歩後退する。
そして、ファイナルラップに突入した。
ラストストレートで、二人は最高速度になり横に
並んだ。そして、そのレースの決着がついた。
モニターに順位が表示される。トップは朝霧だった。
「すごいよ朝霧君。こんなに競ったのは初めてだよ」
「う、うん。僕もだよ」
「!?朝霧くん!」
朝霧が座り込んだ。HTWはコントローラの手だけじゃなく
体全体も、特にゲーセン版では使うので体力も
いる。引きこもりの朝霧に体力があるわけもなく
力尽きたのだ。
天宮達は朝霧を運び、ゲーセンを出て近くの公園で
休んだ。
「大丈夫?朝霧君」
「うん、なんとか」
「はい。ジュース」
「ありがとうございます椎名先輩」
「それにしてもあなた、うまいわね。やっぱりゲーム好きなの?」
「ハイ!でも、今の学校には友達がいないのであまり
誰かと遊んだ事がなかったんですけど」
「今のって君転校してきたの?」
「正確には上京ですかね。中学は愛知に居ましたから。高校は
東京の学校に入りたいと思って来たんです」
「なるほど。それならうちのゲーム部に入らない?
今人数がたりなくて、大会に出れないの」
「大会って、ハイウィンドのですよね?」
「そうよ。過去の栄光を取り戻す為にどうしても
出たいの。お願いできるかな佐藤くん」
「僕でよかったらよろこんで。また朝霧君とも勝負したいし」
「ありがとう。さ、佐藤くん」
「うん。これからよろしく」
こうして、いよいよ五人目のメンバーが入り団体戦に
エントリーする事ができるようになった。