プレイ2 朝霧VS神楽坂翔子
「ちょっとあんた!そこ、ゲーム部の部室よ。部外者は勝手に
入ったらダメよ」
朝霧は声のする方を向いた。そこには完全にギャルの
格好をした女の子がいた。
「えっと、僕、一応部員なんですけど」
「部員?もしかして新入部員?」
「はい。朝霧楓です」
「ふーん。あんたも物好きね。こんな最弱部に入るなんて」
「僕は強いとか弱いとかは関係ないんです。ただ
誰かと楽しくゲームができればなって」
「なるほど。あんたぼっちだね。それでゲーム部にか
よっし!じゃぁあーしが遊んでやんよ。今日は暇で
金もないからな。ほら入るぞ」
「は、はい」
二人は部室に入った。すでに部長達が先に来ていた。
「朝霧くん来て、神楽坂!珍しいわねあんたが来る
なんて、しかも朝霧くんと一緒なんて」
「こいつとは今そこで会ったばかりだよ。そんで暇だった
から来ただけだ。それで今からこいつと遊ぶからこれ
借りるぜ部長」
「いいわよ。でも、勝ちたいなら本気でやる事ね!
彼、強いわよ」
「へぇそれは楽しみ。じゃかけをしよう。あーしが
勝ったらあんたに罰ゲームを与える。あんたは
どうする?」
「僕はそんな事はしたくないけど。でもせっかくだから
僕が勝ったら先輩、ちゃんと部活に来てください!
大会に出る為に人数を集めないと行けないんです!
だから先輩」
「いいぜ。でもそれはあんたが勝ったらの話しだ!
あーしは負けるつもりはないかんな」
「わかってます。だから僕も全力で勝ちます」
二人のかけ勝負が始まる。部長も椎名も承諾し
HTWを起動させる。
ゲームなのでセーブデータを使わず互いに初期の
キャラを選ぶ。
朝霧はスピード重視のスピーダータイプで神楽坂は
魔法重視のファイターだ。
コースを選ぶ。そして、レースがスタートする。
スリーカウントが始まる。これはVRの中だが
本当に現実のような空間になっている。
これはレースなので先にゴールした方が勝ちだが
それ以外でも勝ち方はある。例えば相手のライフを
ゼロにすれば勝ちだったり、コースから場外に
落とせば勝ちだったりできるので、色々なテクニックが
必要だった。
そして、カウントがゼロになりレースがスタートした。
このHTWはレースなので乗り物もある。スピーダーの
朝霧は箒に乗っている。神楽坂は魔法で闘うタイプ
なので、杖を持っている。
朝霧はスタートダッシュをし神楽坂の前を走る。
「なるほど。確かに早い。永遠と一人で遊んでたって
感じだね。さてどうしようか」
レースは十週勝負だ。前半に飛ばすか後半に
勝負をしかけるかは人それぞりだ。
「まだしかけてこない?だったらこのまま逃げ切る」
「そうは行かないよ。魔法発動!ウィンドウカッター」
「攻撃してきたね。なら避ける」
朝霧は神楽坂の魔法を避けるが、少し当たってしまい
ライフが減った。
神楽坂はどんどん攻撃してきた。朝霧は避けながら
走る。レースはラスト一週になった。ついに二人が
並んだ。
「ゆい、あの子あんなに強かったかしら?」
「いいえ。おそらく、ゲーセンとかで遊んでたんだと
思うわ。じゃなければ、朝霧くんと互角なんて
ありえないから」
「そうね。さて、どっちが勝つかしら」
二人が見守る中、朝霧が勝負に出た。
「ここだ!超ハイスピードシステム!!」
「な!?何その技?」
神楽坂はファイターしか使った事がなかったので
知らなかった。朝霧が使ったのはスピーダーに
だけあるシステムで、ライフを削りながら起動
させる技なので、使うのは最後が多い技だった。
そして、そのまま逃げ切り朝霧が勝利した。
「僕の勝ちですね」
「そうだな。負けは負けだ認めるさ」
「じゃあ」
「ああ。しかたないから真面目に参加してやるよ!
今はあをんま金もないからな」
「ありがとうございます先輩」
「まだちゃんと自己紹介してなかったな。神楽坂翔子二年だ!
ま、よろしくな後輩」
「はい。よろしくです」
こうして幽霊部員だった二年の神楽坂翔子が加わり
四人になった。団体戦エントリーまで、あと一人だ。