プレイ1 VRMMOゲームHighwaytoWindow
「ええ。ここはゲーム部よ。もしかして、入部希望者?」
「は、はい。あの、やっぱり僕なんかじゃダメですよね?」
「そんな事ないわよ!大歓迎よ。私は部長の天宮めぐみよ!
こっちは私の友達でもある部員の椎名ゆいよ」
「よろしく」
「はいよろしくお願いします」
あいさつをすませると、朝霧は部屋の中を見渡した。
「すごいトロフィーの数ですね。やっぱり最強なんだ」
「それは、数年前までの話よ。今はもう、最弱で
人数すら集まらない状態なの。だからあなたが来てくれて
よかったわ」
「部長。あの、ゲームしていいですか?」
「もちろん。じゃああなたの実力を見せてもらおうかしら!
下手でも全然大丈夫だからね」
「ありがとうございます」
朝霧はゲームをプレイした。そして、二人は驚いた!朝霧の
実力に。
ゲームテクニックは天宮以上だったのだ。
どのジャンルでも朝霧が勝ち天宮は歓喜した。
「すごいわ朝霧くん!私も実力はあるほうだけれど
あなたはそれ以上よ」
「私も驚いた」
「ねぇ、どうやってそこまで強くなったの?」
「えっとですね」
朝霧はこれまでの自分の事を話した。本当は話したく
なかったが、この人達なら大丈夫かもと思い
話し続けた。
「ごめんなさい。嫌な事話させてしまって」
「いえ。大丈夫です」
「朝霧くん。ようこそゲーム部へ」
歓迎された朝霧。こんな風に言われたのは初めてだった。
家に帰り部屋に閉じこもる朝霧。彼は家の中でもぼっちで
先に食事や風呂を済ませ部屋でずっとゲームをする。
現代ではゲームで稼ぐ事もできる。朝霧は親にも言ってないが
実は金持ちだった。ネットでもオンラインゲームで
大会があり朝霧はほぼ優勝し、それで稼いでいた。
そんな引きこもりをしているので、朝霧は最強になっていた。
翌日の昼休み。部長に呼ばれ部室に来た朝霧。中に入ると
部長と椎名が戦っていた。
「これ、今一番人気のVRゲーム、マジックバトルレース
HighwaytoWindow通称、HTW。やっぱり部長達も
やってるんだ」
今世界中で流行っているゲームHTW。それはVRMMOの
中でするレースゲームだ。
それもただのレースゲームではなく、魔法を使って
相手を邪魔したり、魔法でスピードを上げたりと
シューティング要素もあったりして、さらにそれを
自分がゲームの中で本当に魔法を使っている感じを
体験できるので、今では世界大会があるほどまでに
人気になっていた。
朝霧は二人のレースを見ていた。ゲームの中は
プロジェクターでモニターに写し出されいる。
「部長がスピーダーのキャラで、椎名先輩がファイター
タイプだ」
レースは後半戦に入っていた。十週設定で、今七週目
に入った。天宮が逃げ切る体制になるが、椎名は
すぐに攻撃を仕掛ける。
激しい攻防が続き、いよいよラストラップになった。
「このまま逃げ切るわよ」
「させないわ!闇の罠にかかりなさい!」
「!?この!」
天宮が走る先に罠、魔法が発動していたが、天宮は
それを避けてゴールした。
「私の勝ちね?」
「しかたないわね。今回は負けにしてあげる」
二人はゴーグルを外した。VR専用のゴーグルと両手に
コントローラを持って遊ぶので、レースが終わり
その装置を外すとそこに朝霧がいた。
「朝霧くん?来てたんだ」
「はい。すいません勝手に入って来て」
「大丈夫よ。あなたは部員なんだからいつでも
入って来なさい」
「ありがとうございます。あのこれ、HTWですよね」
「そうよ!当然あなたもやってるでしょ?」
「はい。やってます」
「今、これが世界一のゲームと言っても過言じゃ
ないわ。大会も多く。日本でも全国大会があるわ!
もちろん予選もね。私達、その大会に出るために
練習してるのよ」
「そうなんですか。でも、この部人数が」
「ええ。それが問題なのよね。あと二人は欲しい
んだけどね」
「そういえば、もう一人いるんですよね?」
「まぁいるけど、あの子は幽霊部員だからね」
「そうなんですか。それならあと二人ですね!
団体戦は五人ですからね」
「だから、大会予選までに集めないと」
これが今の秋葉原学園ゲーム部の現状だった。放課後
も朝霧は部室に入ろうとした。
するとそこに誰かがやって来た。