邂逅
地の文を登場人物の誰か1人の考えていることにするという作風ですが、
今回は最初にちょっとだけ誰の視点でもない地の文があります……!
途中で小豆さんの視点に切り替わりますのでご注意を!
2年A組の教室。
「お……遅い! 遅すぎる!!」
そこには明らかに苛立ちを隠せない様子の眼鏡をかけた緑髪の男子、
右目に眼帯をしてその右目を通る縫い目のようなものがある白髪の男子、
ハイビスカスの髪飾りをした金髪の女子の3人。
「今日善が日直だから来ねーと何もできねーべこらぁ!」
「翼くん怒ってる……」
「まぁまぁ」
緑髪の男子の所為か、教室には何とも言えぬ緊張感のようなものが漂っていた。
善くんに案内され、私は2年A組の教室にたどり着く。
「おはよー!」
「あっ……ちょっと善っ……」
ところが、善くんは教室に入って開口一番とんでもない言葉を口にした。
「彼女連れてきたっちゃー!!」
か……彼女!? まだ私たち出会って数分しか経ってないよ!?
いや確かに善くんはかっこいいよ? でもまだ付き合いすら……ってそうじゃない!
「わっ……私……彼女とかじゃ……」
このままじゃ善くんと付き合ってると思われてしまう! それだけは回避しないと!
「……ちょっ……顔!」
……と思っていたが、教室にいた3人は明らかに懐疑的な表情をしていた。
大丈夫だ……幸いにもこの3人は信じてない様子だ。
よかった……ひとまず私は安堵する。
「知っちょるよ……コイツに彼女なんかできるわけないじゃろ……」
眼帯をした白髪の人が言う。
その一言が善くんにダイレクトアタックしたらしく、善くんはわかりやすくへこんでいた。
「うう……」
「なんくるないさー……」
「なんか色々ゴメンね……」
「いえ……」
眼鏡をした緑髪の人に謝られる。
後ろで善くんが大きな花の髪飾りをした金髪の人に枝のようなものでつつかれながら慰められていた。
「あっそだ!僕は齋藤翼! 秋田県出身だよ! 一応学級委員長です! よろしくね!」
「私は友野でいご! 沖縄さぁ~!」
「影山一夜じゃけぇ、広島から来た」
3人が自己紹介を始める。でいごちゃんは沖縄出身……じゃあその花はハイビスカス!
「俺川田善! 富山!」
「善くんは聞いた……」
善くんは私を何だと思っているの……1回聞けば分かるよ……
っていうか立ち直りが早い……
「私は横川小豆……青森から来ました……」
「青森かー! ご近所さんだね! あ! 時間あるから学校案内するね!」
……とここまでは普通の転校生が現れたクラスの風景のはずだった。
――教室にいた"もう1人"の存在に気がつかなかったことを除けば。
もう1本書いてる連載小説があるんですが、そっちで使ってる手法を使ってみました……!
これだけでちょっと怖いですね!