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第7話 過去と決意

過去編みたいな感じですが、過去の話事態はそこまで長くないです

というか長くかけなかった……orz


「怪物……ってなんだ?」

 

 いきなり聞いたことない単語が出てきた。魔物とどう違うんだ?

 

「怪物は悪意ある魔力によってできた生物。見た目は様々でこの世に存在しない伝説の生物」

 

「伝説の生物……例えばドラゴンとか?」

 

 ドラゴンと言ったことに特に意味はなかった。ただ怪物と言えばドラゴンのようなゲーム脳故の発言だった。

 

「そう……私のいえ、私たちの両親を殺したのはそのドラゴンよ」

 

「おい!何で今言い直した!」

 

「あんたは私の弟でしょ。なら私の両親はあんたの両親でしょ!」

 

 気付いたら両親が増えていた。確かにサーシアとは家族の契約をしたかもしれないけど、サーシアの両親とはしていない。

 それを責めても話が進まないので何も言わないことにした。

 

「そのドラゴンが復讐相手か?」

 

「ええそうよ」

 

「無理だ!無理無理、絶対無理だ!勝てるわけない」

 

「まぁ話だけでも聞きなさいよ。それにもう半分諦めてるわ。復讐よりも新しくできた弟の方が大事だから」

 

 少し照れくさい。

 でもここまで言われて黙ってはいられない。それにお世話になりっぱなしも性に合わない。力になれるなら力になりたい。あとちょっぴりドラゴンスレイヤーとか呼ばれたい。

 祐也はサーシアの話を聞いた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――



 

 二年前

 

「サーシア!そっち行ったぞ!」

 

「分かってるわ」

 

 その日は父と狩りに行っていた。

 父は村の村長で村一番の狩人(ハンター)だったわ。そんな父に憧れていたし、一緒に狩りをしてるといろいろ学べて楽しかった。

 

「仕留めた!」

 

「おう。さすがは俺の娘だな!」

 

 笑いながら頭を撫でられてさすがだって誉められてすごく幸せな時間だった。

 獲物を持って帰ると母が心配しながら駆け寄ってきたわ。

 

「女の子なんだからこんなことしなくていいのよ」

 

 っていつも言ってたわ。

 母は心配性で過保護だけど優しくて魔法がとっても上手くて私の先生役だった。

 私は二人の子供として生まれたことに誇りを持ってたわ。その代わり二人の子供としての期待もされていたわ。プレッシャーは大きかったけど期待に応えたかったから努力したわ。

 

「またサーシアは腕を上げててさ」

 

「あなたがそんなだから……。女の子には魔法が一番魔法が似合うだから」

 

「いやあの子には狩人の才能がある!ならお遊びの魔法よりも狩人として訓練するべきだ!」

 

「お、お遊びですって!」

 

 二人は毎日のように私の未来について喧嘩をしていた。それを止めるのが私の役目。

 

「二人とも落ち着いて」

 

「「サーシアはどうなんだ!」」

 

「あははは」

 

 私にとってはどちらも大切でどちらも捨てることが出来なかった。だからどっちも頑張った。それを知ってるから父も母も応援してくれていた……と思う。はっきりしないって?五月蝿いわね。

 

 この時の私はすごく幸せだったと思うわ。でもこれから何が起こるかを知っていたら……。

 

「大変です、村長!」

 

「何があった?」

 

「む、村の西方にある洞窟からドラゴンが!」

 

「な、何!?」

 

 父は急いで武器の準備をした。母も杖を持って戦う準備をしていた。

 ドラゴンはゆっくりこちらに向かっているようだった。

 

「じゃあドラゴン倒してくるから、サーシアは大人しく待っててくれ」

 

「で、でも……」

 

「心配は要らないわ。私たちが戦うのだから負けるはずない。そうでしょ?」

 

 母は私を説得するように言った。

 私の力では二人の役に立つことはできない。

 自分の無力さを呪った。

 

「うん……」

 

 父と母を筆頭に村の男の人は総出でドラゴン退治に出撃し、魔法を使える女の人も一緒に出ていった。私は私の両親を信じて見送った。

 

 

 結果は惨敗だった。

 出撃した人のうち5割は死に、3割は重傷。壊滅と言える結果だった。

 

「お帰りなさい!どうだ……」

 

 父は満身創痍になりながら帰って来た。母の持っていった杖を持って。

 その杖が意味することを私は悟った。

 

「すまない。本当にすまない……」

 

 父は杖を抱き締めながら泣き崩れた。誰に謝っていたのか今でもわからない。私に謝っていたのか、それとも死んでしまった母に謝っていたのか。それとも両方か。私にはわからなかった。

 それよりもその時の私は父や母が負けたことに衝撃を受けていた。

 

 今まで何度も怪物の襲撃はあった。その中にもちろんドラゴンもいた。それでも被害は殆どなかった。それくらい妖精種の大人たちは強かったし、それ以上に父と母が強かった。

 今回も大丈夫。そう思っていた。

 

 でも大丈夫じゃなかった。ドラゴンはもう目の前にまで迫っていた。

 鱗の色は青色。魔法耐性が異常なほど高いドラゴンだった。私たち妖精種にはもっとも相性が悪いと言われるドラゴンだった。

 父は私に母の形見である杖を渡すと外に出ようとした。

 

「お父さん!その体じゃ無理よ!」

 

「俺は村長だ。この村の住人を守る義務がある。たとえ倒すことが出来なくても時間稼ぎくらいならできる。それに母さんの仇も取らないとだめだしな」

 

 そう言うと私の頭を撫でてから走って出ていった。私は止めれなかった。止めることが出来なかった。村長の役割をいつも聞かされていたから納得してしまった。

 

 父の足止めは失敗に終わった。

 そうして村に入ってきたドラゴンは村を蹂躙した。家を焼き、人を喰い、畑を踏み潰し、全てを奪った。

 私はそれを見てるだけで何もすることが出来なかった。恐怖で体が動かなかった。

 動かない私にドラゴンは近づいて大きな口を開き食べようとした。その時私は見た。

 

 金色の目の片一方に父の剣が刺さっていた。大きな二本の角のうち、一本はへし折られていた。微かに母の魔力を感じた。

 父は足止めは失敗していたが一矢報いることができたようだ。母もただでは死んでいなかった。魔法耐性の高いドラゴンを相手に角を魔法でへし折ったのだ。

 

 それに比べて自分はどうだ。怒りを忘れて恐怖に怯え、何の抵抗もなしにただ食べられる。そんなこと許されるわけがない。誰がなんと言おうと自分が自分を許せない。それでは自慢の娘として胸を張れない。

 

「あああああ!!!」

 

 私はドラゴンの口を避けて、目に刺さった剣を引き抜いた。そして逃げた。

 母に習った魔法を駆使して、錯乱したり視界を奪ったりして逃げ延びた。

 

 私は力を集めることにした。今回逃げたのは次への布石。あのドラゴンを殺すために一度逃げて態勢を立て直し、仲間と装備を集めて、そして必ず殺す。私の復讐はここから始まった。

 

 

 逃げ延びた私が一番始めにしたことは人里に降りることだった。妖精種であることを隠して冒険者ギルドや探索者ギルドに登録した。

 ギルドではドラゴンに関する情報を片っ端から集めたわ。種類や弱点、どんな攻撃をしてくるかまで。

 その結果わかったのは私ではあのドラゴンを倒せないということだった。あのドラゴンは見た目通りブルードラゴンと呼ばれていて魔法が殆ど効かないことで有名な種類だった。

 そんなドラゴンの角を母は折ったのだ。より尊敬するようになった。

 あのドラゴンの討伐は魔法では不可能に近いらしくさらにドラゴンの鱗は固い防御力を誇る。だから討伐難易度はドラゴンの中でもトップクラスらしい。倒す方法は魔法以外の爆発系の攻撃が良いそうだった。

 

 魔法も狩人としての技術も通用しないとなるとどうしようもなかった。

 でも諦めることはできなかった。

 私は迷宮(ダンジョン)産の武器に特攻武器があると聞いてみ迷宮に籠った。

 そこではいろいろ見つけたけど、あんたが知ってるのだと、月の女神の弓ね。でも特効武器は手に入れることが出来なかった。

 

 特効武器を諦めて今度は爆発系の攻撃手段がないか探したわ。あるにはあるらしい。でもこの国では手に入らないと言われた。

 手詰まりだった。でも諦めるに諦めきれなくて自分の力では無駄だとわかっていても強さを求めて魔物や怪物を倒し続けていた。

 足掻いて、足掻いて、足掻き続けたけど結局倒す方法はわかっても手段がない。

 

 気付けば村が襲われてから一年と半年が経っていた。その頃になると私も半分諦めて生活していた。

 魔物や怪物を狩りまくっていたせいか、冒険者としても探索者としても有名になってパーティーを組まないかと誘われることも増えていった。中には興味のあるパーティーもあった。

 このままパーティーを組んで冒険者になるのもありかななんて思い始めていた時、夢で女神様と会った。

 

「これから半年後、貴女たちの住んでいた森の中に漂流者が現れます。その人と協力すれば貴女の目的は達成することができるでしょう」

 

 そう言って女はうっすらと消えていった。

 

「待って……どういうことか説明しなさいよ」

 

 私は最後の希望としてその漂流者にかけることにした。もしも無理そうならもう諦めよう。

 そう思って。

 

 半年後出会った漂流者はダメダメでいきなり死にかけてるし、何も知らないし、かと思えば新しい発見や服を作ってくれたりと、戦闘には役に立たなさそうだけど一緒にいて退屈しないそんな人だった。

 私は両親に守られて育った。自己満足かもしれないけど私も誰かを守れる存在になりたい。そう思った。そして私はその漂流者と家族になった。

 

 守る存在を死にに行かせるわけにはいかないから私は復讐を諦めることにした。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 


  

「ということよ。もう諦めたわ」

 

 語るだけ語ってサーシアは何処かへ行った。多分夜用の食材調達に行ったのだろう。

 

 祐也はどうにかできないものか考えた。

 力になりたい。ドラゴンを殺せるかどうかと聞かれるとはいとは答えれない。祐也は自分の無力さを呪った。自分の持つ能力を呪った。

 

「何で俺は戦えないんだよ!」

 

 祐也には創ることしかできない。サーシアもそれを知って諦めるという選択をしたのだろう。

 いくら剣を創ったところで刃が通らなかったら意味がない。いくら弓を創ったところで矢が刺さらなかったら意味がない。いくら銃を創ったところで……

 

「爆発系の武器……」

 

 祐也は何か思い付いたようだった。

 

「そうだ!何もこの世界の武器に縛られる必要はないんだ!」

 

 もともと自分の能力はそういうものだったはずだ。いつから失念していた。異世界だから異世界の武器しか使ってはいけないなんてことはないはずだ。それに既に銃は創ったんだ。

 つまり現代兵器は創れるんだ。ならば負けるはずがない。自分の能力は装備を創る能力なのだ。

 

 ブルードラゴン討伐、やってやろうじゃないか!異世界に来ていきなりドラゴン退治なんてどこのクソゲーかは知らんがドラゴンスレイヤーの称号戴こうか!

 

「話は聞かせて貰った」

 

 咲夜がテントから出てきた。食べ終わった皿を片手に。

 

「どこから聞いてた?」

 

「全部だ。テントでは丸聞こえだったぞ。そのせいで出づらかったではないか」

 

「それはすまん」

 

 咲夜に気を使ってわざわざテントから出たのにまったく意味がなかったようだ。

 

「それはいい。それよりも殺るのだろう?私も何か協力させてくれ」

 

「いやこれは俺の問題だから」

 

 女神の言っていた漂流者とは十中八九自分のことだろう。それに巻き込むのは気が引けた。それに敵はドラゴンだ。命懸けの戦いになるだろう。余計巻き込めない。

 

「私は二人に一宿一飯の恩がある。それを返さないのは月野瀬家の娘として名折れだ。それに……」

 

「それに?」

 

「ドラゴンスレイヤーだぞ!かっこいいではないか!私は一度ドラゴンと戦ってみたかったのだ!現実では無理だろうと思ってゲームではリオ◯ウスとかディア◯ロスとかティガ◯ックスとか狩りまくってたんだ!」

 

 今出てきた名前はとある狩りゲーのモンスター名だ。ゲームとかやるんだ。意外だな。

 

「ということでドラゴンとリアルで戦えるのなら戦いたいんだ!それで死ぬなら本望だ!」

 

 ほ、本望って……

 でもその気持ちは非常に理解できる。祐也もドラゴン討伐は望むところだろう。

 ただ祐也の殺り片は多分イメージしてるドラゴン退治と少し違う。それを先に言っておかなくてはならない。

 

「多分月野瀬の思っているような戦いじゃないぞ?むしろドラゴンを蹂躙するくらいで考えてるし」

 

「それはわかってる。剣も魔法も通用しないんだろ?なら仕方ないと思う。それに神凪の能力ならどのような戦法をとるのかは理解しているつもりだ」

 

 理解しているならいいか……

 いや、よくない!ドラゴンの方はいいけど能力の方は全然よくない!能力の話してなかったよな?

 何で知ってるんだ!

 

「あーそうか。私の能力のことを言ってなかったな。私の能力は“強奪(リサイブ)”。能力や特技を奪ったり与えることができる能力だ。その過程で相手の持っている能力や特技を見ることができる。それで神凪の能力を知った」

 

 はぁぁぁああああ!!!

 能力や特技を奪ったり与える能力だと!ふざけんな!何そのチート能力。異世界モノアニメやラノベの主人公の持つテンプレ能力じゃねーかよ!

 つまりこの異世界漂流の主人公は月野瀬さんと。なるほどなるほど……って納得できるか~!

 

「私も最初は主人公級の能力だと思って喜んだ。だがこれの弱点にも気付いた」

 

 は?弱点なんてあるわけないだろ。

 何でもかんでも奪って終了。どこの緩ゲーだ!

 あー羨ましい妬ましい。

 

「この能力、奪う相手がいないと意味ないんだ」

 

「そんなの当たり前……あ」

 

「私もこの森に飛ばされた。奪う相手がいなかったんだ」

 

 う、うわ~。確かにそれはきつい。奪う能力で奪う相手がいないとか。何それ笑えない。

 そうか。この能力を持った主人公は街とか城に召喚されてるもんな……いや、森で召喚ってのがまずおかしいんだが。

 祐也は咲夜に同情した。

 

「じ、じゃあ今はなにも奪ってないのか?」

 

「いや、私の先導者だった者が商人だったんだが、その命と言える特技の“鑑定”を奪ってやった」

 

「ざまぁないな」

 

 完全に自業自得だ。女の子を盾にして自分は逃げようとしたんだから当たり前だ。

 商人ということは現代の知識が欲しいってだけで先導者をやっていたんだろう。商人は命あってとかで逃げ出したのだろうが、その命と言える特技を奪われたら元も子もない。

 そいつ終わったな。

 

「そう言えば、漂流者の能力は奪えるのか?」

 

 今後、漂流者と敵対しないとも限らない。奪えるに越したことはないだろう。

 

「それは私も試した。奪えるようだが、1日でもとの人のもとに戻るそうだ」

 

「ん、俺以外に漂流者と会ったのか?」

 

「いや会ってないが?」

 

 おい!ちょっと待て。

 

「俺の能力を勝手に奪うとはどういうことだ」

 

「心配は要らない。私の能力は与えることもできるからな」

 

 そういう問題じゃねぇ!

 何で周りにいるやつらは相談なしに危ないことばっかりするかね。

 これは縛る必要がありそうだ。

 

「今後このようなことがないように契約してもらう!」

 

 祐也は契約魔法を発動して契約文を書いた。内容は『勝手に祐也とサーシアから奪わない。裏切らない』だ。最後の一文は保険だ。

 

「ほう……神凪は魔法が使えるんだな。それでどうしたらいいんだ?」

 

「血をここに着けたらいい。それと月野瀬もそのうち習うと思うぞ」

 

 祐也は血を出すための針を咲夜に渡した。アニメとかで指を噛んで血を出したりするが正直無理だ。

 そうか。と言って期限良さげに針を受け取り親指に刺して血を出し契約をした。

 

「これで俺たちは仲間だ!共にドラゴンを倒そうではないか!」

 

「ふふふ……今から楽しみだ」

 

 咲夜は不敵な笑みで笑う。

 祐也は少し引いていた。戦闘狂(バーサーカー)のような笑い方だったのだ。

 

「お、おう……じ、じゃあ作戦はサーシアが帰って来てから説明する」

 

 咲夜から少し距離を開けて祐也は言った。

この小説の主人公ですがだいたい中の上です。

もちろん能力も中の上です


咲夜さんの能力ですが詳細は設定集に書いております

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