第36話 ギルドカード
お待たせいたしました。作者一同リアルの方が急がしかくて更新できませんでした。すみません。
「き、金貨10枚!?」
祐也はあまりに多額な登録手数料に目が飛び出るくらい驚いていた。冒険者ギルドの20倍だ。確かに高いが勿論それにも理由があるわけで……
「何故登録手数料で金貨10枚もするのかと思います。ですが、ここで発生する登録手数料は、将来経営が困難になって生活が困難になった時、ギルドカードを返却することでここで支払った金貨10枚が戻ってくるようになっています。金貨10枚もあればしばらく生活には困らないでしょう。その間に就職したり、新たな事業を始めたりすることができるというわけです」
ギルド嬢の説明に二人は納得して金貨10枚支払った。
お金に関してはギルドの登録手数料と不動産、あと必要になれば労働者を雇う程度なので特に痛手という訳ではなかった。ただ単に金額に驚愕しただけなのだ。
「ではギルドカードの使い方について説明させていただきますね」
そう言ってギルド嬢はギルドカードの使い方についての説明を始めた。
「まず、ギルドカードとは商業活動するにあたり必ず必要な物になってきます。これを持たずに売買することは商業ギルドの条項に違反したことになり、売上の全てを没収。さらに罰金が科せられます」
売上を全て没収のうえ、さらに罰金とはおっかないと思いながら唾を飲んだ。下手すると自分達は犯罪を犯していたことになるのだ。あの時は頭にきたが、今は素直に断った不動産屋のみなさんにお礼を言いたい。
祐也が心の中で感謝しているとフレイヤがギルド嬢に質問をした。
「そのギルドの条項?というものはどれほどの権利をお持ちなのでしょうか?」
これは翻訳すると、罰金などの権利をどうしてお前らが持ってるんだ?ってことだ。
聞き方は丁寧だが、内容は攻撃的で相手を見下ろすかのような言い方。これぞ貴族といった感じだ。
ギルド嬢はそのようなこと一切気にせず質問に応じた。
「それは国際連盟によりギルドの条項が認められたからです。つまり、この国、この街に限らず何処でもギルドの条項は国家の法と同じ拘束力を持ちます」
国際連盟という聞きなれたワードが聞こえた気がしたが、これは異世界語を翻訳した結果こうなっているのだろうと予想される。
「勿論例外もあります。祭典の際の屋台や商業ギルドのない田舎ではギルドカードなしでも認められています。ご理解頂けたでしょうか?」
フレイヤは納得したのか、何も言わずに頷いた。
ギルド嬢は二人の様子を見た後、続きを話始めた。
「では説明を続けさせていただきますね。ギルドカードには商会長の名前を記入していただきます。商会での買い物は商会長もしくはその許可をいただいた人でなくてはできません。またギルドカードの情報は商業ギルドの魔法で管理しているため模造品や勝手な書き換えは不可能となっております」
さすがファンタジー世界だ。魔法で管理しているため不正ができないらしい。確かに模造品なんてできてしまったら、ギルドカードの意味がない。それにギルドカードを返すことで金貨10枚が返却されるのだ。その事を考えると当然の管理方法と言えるだろう。
また、勝手な書き換えというのはギルドカードの商会長を勝手に書き換えられるのを防止しているのだろう。商会長になれば自分の好きなように商会のお金を使えるのだ。不正をして会長になれれば、その商会がどうなるかはわかるだろう。
間違いなく商会の金を別のことに使うね。俺だってそうするし。
日本でも政治資金を別の目的で使ったというニュースがよくあったし……やはり考えることは皆同じなのだろう。
「他にはカードを重ねることで、ギルドに預けているお金を移動させることができます」
「ギルドに預けているお金ですか?」
「はい。ギルドの金庫にお金を無料で預けることができます。預けている金額はギルドカードにてご確認頂けます」
「は、はぁ?」
祐也は銀行のシステムを知っているため、ある程度どのようなものか予想がついているのだが、過去の人であるフレイヤはそうはいかないようだ。
ギルド嬢の説明を聞いても何を言っているのかよく分からないという顔をしている。
「フレイヤさん、後で俺が説明します」
「すみません。お願いします……」
祐也は耳打ちすると、恥ずかしそうにしながらフレイヤは頭を下げたのだった。
フレイヤさんは頭が良いので図と一緒にして説明すればわかりやすいだろう。問題はこの機能のことを勘違いしていないかだが、デビットカードとキャッシュカードが合体したものという考えで間違いないだろう。
祐也は日本のカードの種類について考えていると一つ思い浮かんだことがあるのでギルド嬢に聞いた。
「あの、ギルドからお金を借りることってできますか?」
勿論今のところ借りる予定はない。だがクレジットカードのローンサービスのようなものがあるのか一応聞いてみたかっただけだ。もしくは銀行の投資か。
「ありますが、借りるには厳しい条件をクリアしなくてはなりません」
「厳しい条件ですか?」
「はい。年間の平均利益が借りる額を上回っていること。契約にもよりますが大体5年以内に返すこと。これが破られた場合、預けている分のお金は没収、払い残し分を強制労働となります。また強制労働から逃げた場合、犯罪奴隷となりますのでご注意ください」
「は、はい……」
借りるのは辞めようと祐也は心に誓った。
強制労働など考えたくもないし、犯罪奴隷なんて論外だ。
“創造”を使えば返せないなんて事態に陥ることはまずないだろうが、それでは金貨の枚数を増やしてしまうことになり、市場が混乱してしまう。
それだけは避けなくてならない。
やはり借りるべきではないな。
○
「主な説明は以上となります」
あの後30分ほど他の説明を聞いて、やっと終わった。かなり疲れたのは言うまでもない。
アリアに癒されたい……
「ではカードに商会長のお名前をお願いします」
祐也が半分放心状態でいると、ギルド嬢からカードが渡された。
「はいどうぞ」
祐也はそれを受けとるとフレイヤに流れるようにパスする。
「え?」
渡されたフレイヤは困惑している。
カードと祐也の顔を何回か交互に見た後、やっと意識が戻ったのかカードを祐也に渡そうとする。
「会長は祐也様でしょう!?」
「いえいえ、俺みたいな無知なやつが会長なんてできませんよ!フレイヤさんこそ会長に相応しい!」
そう言って祐也はカードを受け取ろうとはしなかった。
ちなみに祐也の本当の考えはというと、
(会長なんていかにも面倒そうなことやってられるか!楽に金儲けできればそれでいいんだ!)
ただ単に面倒臭がりなだけだった。
「で、ですが!」
「それに俺みたいなパッとしないやつよりも、フレイヤさんのような美人さんの方が絶対いいですって!」
これは言っててグサッときたが、会長を押し付けるためだ。仕方がない。
「そ、そんな……世界一の美人だなんて……」
フレイヤは頬に手を当てて、お上手ですこと!みたいな感じで上品に恥ずかしがる。
そこまでは言ってないけどそういう事にしておこう。その方がやってくれそうだ。
必殺、おだててやらせる作戦である。それに本人も商会長になることをそこまで嫌がってないのだ。ならいいではないか。
「わかりました!私がやらせていただきます」
今、ここに美人商会長(幽霊)が誕生したのだった。




