第31話 魔力適性
何事も起きぬまま、祐也たちは朝を迎えた。と言っても祐也の起きた時間は朝と言えるような時間ではなかったのだが。
「おはよう」
「何が「おはよう」よ!今何時だと思っているのよ!」
今日は朝からサーシアの機嫌が悪い。それもそのはず昨日は夜遅くまでフレイヤと言い争っていたので寝不足なのだ。
「まあまあ」
祐也はサーシアを宥めながら、軽くご飯を食べて服を着替えた。今日はギルドに予定があるのだ。
ちなみに祐也以外の面々は全員準備を終わらせていたようで、準備を待っているようだった。
皆さん朝強いですね。
ちなみにフレイヤさんは留守番だ。何かいろいろしないといけないことがあるらしい。
「この時間なだけあってかなり空いてるわね」
ギルドの中はご飯を食べてる人くらいで、はっきり言ってガラガラだった。
サーシアの話では朝は依頼が更新されるので人で溢れかえっているらしい。通勤ラッシュみたいなものだ。
その事を知っていたらからわざと寝坊したのだ。何て冗談です。サーシアさん睨むのやめて。
「私はあのジジイに話があるから、あんた達は適性を調べてもらってきなさい」
ギルドマスターに話(一発殴る付き)があるらしいので一度ここでお別れだ。適性に関しては後で報告するということになっている。
「ほどほどにな」
サーシアは返事をしないまま、アポなしにギルドマスターの部屋に直行した。
「じゃあ俺らも行くか」
「どこで確認するのだ?」
「……あ」
ヤバい聞くの忘れてた。サーシアは既に部屋の中に入ってるしな。
祐也が頭を抱えて悩んでいると、マリーが事前に聞いてくれていたようで教えてくれた。
「受付で申請するらしいですよ」
できた子だ!と言っても中身は20歳を越える大人年上なんですけどね。
祐也たちはいつもの受付嬢のところに向かった。
「えっと、魔法適性?を調べたいんですけど」
「魔法適性ですね?少々お待ちいただいてもよろしいですか?」
受付嬢は奥の方に何かを取りに行った。
待つことしばらく、受付嬢は手のひらサイズの水晶のような物を持ってきた。多分調べるのに必要な物なのだろう。
「魔法適性を調べるのに一人銀貨20枚かかりますがよろしいですか?」
「はい」
銀貨20枚って結構な値段だけど、先行投資と思えば払えないこともない。家を購入したせいで手持ちが心もとないが仕方ない。ちなみに魔力適性を調べるのも冒険者学校でできるらしい。
祐也は軽くなってきた財布から銀貨60枚を出して渡した。今日調べるのは祐也、咲夜、マリーの三人だ。アリアは必要ないと断られた。
「本当にいいのか?」
「うむ、我々は六属性魔法を使えないからな!調べても意味がないのだ」
六属性というのは、光、闇、土、風、火、水の主属性のことだ。アリアの台詞から察するに龍人種全体がこの六属性の魔法を使えないのだろう。
認識阻害とかは補助魔法に分類される。生活魔法も大きな括りで言えば補助魔法だ。龍人種の使える魔法は補助魔法のみということになるのかもしれない。その分肉体や特技が強力なのだけど。
「では順番に、この水晶に血を垂らしてもらってもよろしいですか?」
やっぱり血が必要なのか。その辺はアニメも現実も変わらないもんなのかな。
調べる順番は俺、咲夜、マリーと事前に決めていた。血を出す用に針も準備しておいた。
え?そういうのは噛んだり、ナイフとかでやるものって?痛そうだから嫌だよ。
親指に針をぷスッと刺し、出てきた血を水晶に垂らした。すると血が水晶の中に吸収されて、じわりと水晶の色が変化していく。
最初に黒、その次に緑と続き、急に輝きだした後、黄色と紫の二色になった。
「え!?」
その結果を見て受付嬢さんは驚きで呆然としている。何かやらかしてしまったのだろうか。
いやいや、ただ調べただけだし悪いことはしていない!何も悪くない!ということにした。
受付嬢さんは完全に固まってしまっているようで目を見開いたまま動こうとしない。これでは残り二人を調べるのに支障が出てしまうので、とりあえず声をかける。
「し、失礼しました。あまりにも、その……凄かったもので」
意識を取り戻した受付嬢に結果の紙をもらった。そこには闇、風、聖、固有に適性あり、と書かれている。
なるほど、水晶の変化した色が適性がある属性ということか。あの輝きが聖属性だと思うけど固有とは一体……?
「あの、固有って何ですか?」
わからないことがあれば聞けだ。知らないことを考えても埒があかないし。
「固有とは使える人が少なく研究対象となっている属性です。どんなことが出来るのかは、その人によって変わってきます」
つまり自分だけの魔法ということだろうか?凄い特別感だ。なんかテンション上がってきた!
「次は私だな!」
今度は咲夜が血を垂らした。
水晶の色は赤、緑に変化した。つまり適性は火属性と風属性ということだ。
でも一つだけ気になることがある。
「咲夜の時と俺の時の色の濃さが違ったのですが、何か関係があるんですか?」
明らかに咲夜の方が薄かったのだ。例えるなら絵の具そのものと、使った筆を水で洗うが、その時の水そのものくらい違う。要は透明感が段違いということだ。
「色の濃さは適性とは関係ありません。魔法そのものの才能が色の濃さによって表れます」
「どちらの方が魔法を使えるんですか?」
「濃ければ濃いほど才能があります。薄ければ薄いほど才能がないと言えるでしょう。祐也様は私が今まで見たことのないくらい色が濃かったですが、逆に咲夜様は………」
受付嬢は言いづらそうに下を向いた。
つまり俺は才能があるのか!わかってたけどそれを聞いて安心した。それに受付嬢さんが今までにないくらいって言うってことは、相当なのでは?
まあ、サーシアに才能があるってお墨付きをもらっているからな。
逆に咲夜はと言うと……
「…………」
「えっと、ドンマイ」
予想通り落ち込んでいるようで、これが漫画なら『ズーン』とか効果音がついていたことだろう。
咲夜はしばらくこのままだろう。機嫌が直るのを待っていても仕方がない。
「マリー、こいつは放っておいても大丈夫だから、適性を調べてくれ」
「は、はい」
マリーも水晶に血を垂らす。色は黄、茶、白に変化した。えっと、適性は茶色は土属性、白は光属性だと思うけど黄色ってなんだ?
色の濃さは祐也より少し薄いくらいだった。咲夜よりは才能があるようだ。
「………この子も固有持ちですね」
受付嬢は少し呆けてから言った。ここだけの話、固有魔術持ちは千人に一人いるかいないかと言われている。その固有魔術持ちを1日で二人も目にするのは、冒険者学校でも珍しいことだそうだ。受付嬢が驚くのも無理はないだろう。
「なっ、マリーまで………」
ガックシと肩を落としたのは咲夜だ。
……ドンマイ
次回はギルマスとサーシアの話し合いの結果と祐也からの重大な発表があったりなかったりします




