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第21話 幽霊退治その1


 五人は半分騙されて購入したようなお化け屋敷の中入っていった。

 

「そして数時間後…………やっと怨霊共を退治でき―――」

 

「捏造はやめろ。まだ入って数分も経っていないぞ」

 

 祐也の現実逃避のために呟いた台詞は馬鹿(咲夜)によって否定された。

 いやいいじゃん別に。退治したってことでさ~。封印が解けるといけないから結局宿屋になりました~的な感じにしとけばさ~。

 それくらいホラーがダメだった。

 

「それにしても寒いな」

 

「お、おう」

 

 恐怖で寒さなんて感じない。というか常に寒い。魂が抜けていく気さえする。

 実際のところ屋敷は周りより気温が下がっていた。

 

「本当に帰りましょう。ね?」

 

 サーシアはいつものように自信たっぷりの表情ではない。顔を真っ青にして、アリアとは逆の祐也の腕に抱きついている。

 それで震えているのだから相当苦手なのだろう。

 祐也も両手に華なんて喜んでいる暇はない。自分も必死に震えるのを我慢していた。

 

「何を言うんだ!ここはもう私たちの家なのだぞ。除霊してギルドマスターの悔しがる顔を見るのだ!」

 

 確かにギルドマスターの悔しがる顔は見たい。だがそれよりも一刻も早くこの家から出たい。

 

「安心してくださいサーシア様。幽霊(ゴースト)なんてこの世にはいません。あれはただのエネルギー体です」

 

 マリーが励ましてくれる。

 なんだエネルギー体か~って納得できるか!エネルギー体でも怖いものは怖いんだよ!

 祐也たちのことを放置して二人は先々進む。門は既に遠く幽霊大丈夫組なしで帰れる距離ではなかったため渋々ついていった。

 

「なかなか出ないな」

 

「で、出ないに越したことはないと思うな!」

 

 雰囲気は出ているのだが肝心の幽霊は一向に出てくる気配がなかった。そもそも幽霊は出る瞬間まで気配が無いものなのだが。

 ただ色んな所から変な音がするためその度に悲鳴をあげる。

 

「「きゃぁぁあああ!!!」」

 

 祐也は男のプライドで悲鳴が出るのを必死に我慢していた。その代わり悲鳴ではなく魂が出そうになるのだが。

 二人が悲鳴をあげる度に腕を抱き締める強さを強くするためかなり痛い。そのおかげで気を失わないのだった。

 いっそのこと気を失ったら楽なんだが。

 

「いつまで経っても出ない!そろそろ浴衣美少女幽霊とか機兵の生け贄になった美少女がでてもいいだろ!というか出てこい!」

 

「もう黙れよ………」

 

 頼むから黙ってくださいお願いします。幽霊を呼ぶとか本当に何してくれるんですかね。

 

 

 

 しばらく家の中を進んだ。家は外から見たときからわかっていがかなり広い。

 建物は三階建てになっており一階はリビングになっていた。家の中は明かりはついておらず薄暗い。

 結局雰囲気だけで幽霊が出ることはなく三人の顔色は少し直っていた。

 そう油断していたのだ。そしてその時がきた。

 

『この家から今すぐ出ていけ!』

 

「で、でたぁぁぁああああ!!!」

「「い、いやぁぁぁああああ!!!」」

 

 幽霊苦手組の三人は叫んだ。

 出てきたのは20代中頃くらいの女性で血で赤黒く染まった真っ赤なドレスを着ている。

 ジャパニーズ幽霊みたいに足がないわけではなく、足はあるのだが変な曲がり方をしていて余計に怖さを増していた。

 

「出たな!この私が成敗してくれる!」

 

 咲夜は剣を持って飛びかかった。

 

「何っ!」

 

 だが、剣は幽霊の体をすり抜けた。当たり前だ幽霊だから実体はないのだ。

 あの馬鹿は使えない!マリーはどうだ?

 

「なるほど……エネルギー体だから物理攻撃はやはり効きませんか。となると魔法とかが有効でしょうか。いや………」

 

 なんかぶつぶつ言ってる。

 なんか頭のおかしい人みたいになってる。頼りにしていたマリーもダメとは俺たちで解決するしかないか!

 

「お、おに、おにぃ」

「ひ、ひっ、」

 

 両腕に抱きついている二人は無理そうだ。戦えるのは馬鹿と俺だけ!

 俺も早くガクブルしたいのにこの状況では出来ない。


 なんだろうか。よく見るとあまり怖くない。この状況に慣れてきたのかも。それにあの幽霊美人な気がする。

 いける気がしてきた!

 

「咲夜、攻撃をやめろ!」

 

「何か策はあるのか」

 

「任せろ!」

 

 祐也は抱きついている二人に離れてもらい幽霊に近づいた。

 近くで見ればやはり美人だな。むしろ足が変な方向に曲がっていて可哀想に思える。

 

『こっちに来ないで!』

 

 美人幽霊は後退る。立場が逆転していた。

 祐也はその言葉を無視して進んむ。そして幽霊の前まできて、

 

「失礼しました!ですが貴女のその綺麗な顔が見たかったのです」

 

 なんとナンパをはじめたのだった。祐也もこの状況に頭を狂わせたらしい。

 四人は勿論のこと美人幽霊でさえも唖然としている。

 

『なななな何を!?』

「あんた何を言ってるのよ!?」

「そ、そのような女が好みなのか!?」

 

 美人幽霊は狼狽える。幽霊がダメな二人もいつも通りの反応をしている。

 祐也の問題発言様々である。

 

「本当だな、この幽霊凄い美人だな!」

 

「だろ!もしかして貴女が男爵の正妻さんですか!」

 

『そ、そうですが………』

 

「「人妻美人幽霊来たぁぁぁああ!!」」

 

 もう幽霊とかそんなのどうでもいい!重要なのは可愛いか可愛くないかだ。

 祐也の精神は異常なことになっていた。苦手な幽霊に興奮できるとか異常だった。

 ふっ、数多のギャルゲーをやり込んだ俺にかかれば人妻美人幽霊の攻略など朝飯前だ!

 

「正気に戻りなさい!」

 

 サーシアに頬を全力で打たれた。

 お父さんにも打たれたことないのに!ってあれ?

 なんか急に肌寒くなってきた。と同時に自己嫌悪に陥る。

 

「さっきまで憑依されていたのよ」

 

「憑依?」

 

「幽霊が使う能力か特技か何かは知らないけど、相手の体を乗っ取るのよ。憑依されかけている人は急にテンションがおかしくなるの。強い衝撃を頭に与えたら治るけど………」

 

 サーシアは咲夜の方を見た。殴ったらしいがさっきからテンションが変わらないそうだ。

 

「あいつは放置でいい」

 

 馬鹿に構っている暇はない。俺の醜態も憑依だからノーカウントでいいですよね!

 それよりもこの館に詳しい者が目の前にいるのだ。いろいろ聞かなくては。

 憑依された時の名残か幽霊に耐性ができていた。

 

「すみませんが話を伺ってもいいですか?」

 

『え、私?』

 

 そうそう、そこの貴女。

 祐也は人妻幽霊に声をかけた。何故かこの人は大丈夫な気がするのだ。

 

「この屋敷がこのような状態になっている理由を教えてもらえますか?」

 

『貴方は私が怖くないのですか?』

 

 怖いに決まってるだろ!

 その変な方向に曲がった綺麗な足が怖い。血だらけのドレスが怖い。

 だが、

 

「それよりもこの状況をなんとかしたいです」

 

 サーシアは何とかいつも通りには程遠いが俺の腕に抱きつかなくてもいいくらいにはなっている。だがアリアはもう離れてくれそうにないくらい腕を抱き締めている。正直超痛い。折れる折れる。

 アリアが可哀想なのでゴーストをバスターしたいと思う。

 兄が妹の前で情けない姿を見せるわけにはいかない。本人は番になると言っていますが。

 

『わかりました。それに貴方なら私の望みを叶えて貰えそうです』

 

「それはいったい?」

 

『私を成仏させてもらえませんか?』

 

「………へ?」

 

 祐也は情けない声を出した。

 成仏したいなら勝手にすればいいと思うのだが、どういうことだ?あ、あれか!生前に叶えられなかった望みをというやつですか!

 確か男爵家夫婦は子供がいなかったらしい。さらに政略結婚だと聞いた。え、それってつまり。

 ふふふ、いいでしょう!はじめての相手が幽霊でも別に俺は気にしない!その人が美人なら10歳差くらいなんてことない!

 

「わかりました!人肌でも服でも脱ぎ……痛っ!何するんだ!」

 

 祐也が言い切る前にサーシアに頭を殴られた。

 

「また憑依されてたわよ」

 

 え、マジで?あ、本当だ。急に肌寒く………

 ってこの短時間で二回も憑依されるって。俺憑依されやすすぎだろ!

 とりあえず御守りでも創っておこう。神の加護があるかは別として。

 祐也は咲夜以外に創って渡した。あいつは大丈夫だろう。

 

「で、話を戻します。俺たちが何をすれば貴女は成仏できますか?」

 

『この家の地下にいるあの女を倒してください。そうすれば貴方たちの目的も達成されるでしょう』

 

 なるほど。あの女というのが元凶な訳か。女のせいで魂が縛られて成仏できないということか。わかってきたぞ。

 

「わかりました。あの女というのは?」

 

『この家について外ではどう伝わっていますか?』

 

 祐也は自分が聞いた通りのこの家の伝説について話した。それを聞いて美人幽霊は憤慨する。

 

『あの雌豚が………』

 

「ひっ!」

 

 なんか見てはいけないものを見てしまった気がする。昨日のキャットファイトとは別の女の闇というか。

 祐也が怯えているのに気がつくと美人幽霊は態度を穏やかにする。

 闇を見たせいか、怖いのは変わらないが。

 

『その話に出てくる使用人が元凶です!』

 

 そこは話通りならしい。でも今の発言を聞いてしまったせいでこの家の事実を知りたくなった。

 やぶ蛇なのはわかっているが、祐也は意を決して聞いた。

 

「この話の真実を教えてもらってもいいですか?」

 

 どうしてもこの美人幽霊さんが嫉妬で人を殺すような悪い人だったように見えない。

 

『はい………』

 

 美人幽霊はこの屋敷で起こった真実を語った。

 

『私は商人の家に生まれ互いの家のために政略結婚をすることになりました。別にそれ事態に不満はありません。私の家はそこそこ大きな商会だったので当然だと思っていました。ただ一度でいいから恋をしてみたいとは思いましたが』

 

 美人幽霊は寂しく笑った。

 祐也はそれを聞いて切ない気持ちになった。あと、シナリオを少しいじったら小説にできるのではとか不謹慎なことも考えていた。

 

『それで私と彼は結婚しました。結婚した後にその相手のことを好きになるということもあるらしいので私も必死に好きになろうと努力しました。結局はなれませんでしたが、仲は良かったです』

 

 今度は結婚相手に同情して切ない気持ちになった。努力しても好きになってもらえないって………祐也は涙ぐんだ。元の世界で告白すらされたことのない自分のことを棚にあげて。

 

『そのまま数年が経ちました。私と彼の関係は変わりませんでした。その時にあの女が家に来たのです』

 

「すみません。少し聞いてもいいですか?」

 

『はい、何でしょうか?』

 

 ここまで聞いて思った。

 

「別に男爵とその女の人が両思いでも良かったのでは?」

 

 だって好きでもない男の人と使用人の恋とか普通興味ないだろ。確かに家の中でイチャコラされたらぶっ殺したくなる、いや何処でやられてもぶっ殺したくなるけども………リア充爆散しろ!

 

『はい、それに関してはどうでもよかったのです』

 

 本当にどうでもよかったんだ。

 なんか男爵が不憫に思えてきた。

 

『ただその女の真の目的が男爵を操り魔王を支援することだったので………』

 

「「ま、魔王!?」」

 

 この世界にも魔王いるのか、魔王!なにそれ嬉しいけど嬉しくない。

 何が言いたいのかわからないかもしれないが、実在するということに喜び、この世界で今後敵対するかもしれないというところに悲しんだ。

 だって今までの難易度ヘルモードを考えると明日魔王と戦っていてもおかしくないからな。

 いや、フリじゃないからねこれ。

 

『魔王は我々人間、いやこの世界の敵です。ですから魔王を支援しようとしていたあの女を私は殺したのです』

 

「へ、へー」

 

 これもう少しレベルとか上げてから挑むイベントですよね?

 ま、まあ魔王がいることがわかっただけでもよしとしよう。何がよしなのかはわからないけど。

 

「じゃあ何故その女のことを恨んでいるんですか?」

 

 雌豚呼ばわりだからな。相当恨んでいるのだろう。

 

『私を殺した相手ですよ?恨むのは当然です』

 

「そ、それだけ?」

 

『はい。殺したと思ったらそれがトリガーで発動する呪いで自分自身も殺されるとは思いませんでした』

 

「お、おう」

 

 女の闇は思ったより深いようだ。深淵をのぞく時深淵もまたこちらをのぞくとはよく言ったものだ。

 背中がぞわぞわする。女性って怖いですね。

 

「あ、幽霊って何が有効なんですか?そこにいる馬鹿の物理攻撃が効かなかったんですけど」

 

 幽霊を倒すのに倒し方を知らないとかどうしようもない。

 ミイラ取りがミイラになる。

 

『聖なる武器や聖属性の魔法で倒すことができます』

 

「サーシア使える?」

 

「私は無理ね。使えたら今頃………」

 

 あ、そうか。使えたら美人幽霊さんは今頃存在していないもんな。

 となると聖なる武器か。聖剣と言えばエクスカリバーとか?でもエクスカリバーに魔を祓うとか聞いたことないしな。ホラーゲームやってなかったのが悔やまれる。

 

 とりあえず聖剣とか創ったらいいか。なんなら能力に幽霊特効があるってことにしたらいいし。

 という事で聖剣エクスカリバーと、悪魔ではないが、そっち系の敵なら有効かと倶利伽羅を創った。

 武器が二つなのは今回戦うのが俺と咲夜だからだ。サーシアも顔色が悪いからな。

 

「おいそこの馬鹿」

 

「馬鹿となんだ!私は……ってこれは?」

 

「降魔剣と言えばわかるだろ?」

 

「これが!」

 

 咲夜に倶利伽羅を渡した。ちなみに青い炎はでない。あれは剣の能力じゃないからな。

 エクスカリバーは俺が使いたいので咲夜には渡さない。武器には幽霊に効くようにした。あと、エクスカリバーには回復力強化もつけといた。

 この辺ならイメージしやすいため可能だった。

 

「案内お願いしてもいいですか?」

 

『はい。ただあの女はかなり強いです。戦うときは気をつけてください』

 

 マジか、強いのかよ。

 今回戦うのは俺と咲夜だけなんだぞ!それで強いとはこの世界の難易度と言ったら……

 女神が過酷って言ってたのも頷けるな。

 

 五人は美人幽霊の案内で地下を目指した。

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