第0話 プロローグ
初投稿です!
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それはなんでもないような普通の日に起こった。
強いて言えば、担任の先生が急にコンタクトに変えたくらいで、それが起こる原因になり得るほどのことはなかった。
なかったのだが、起こってしまったのだから仕方のない。
それに神凪祐也にとっては好都合であった。
いつも窓際の席で呆けていながらつまらない授業を受けて、ノートに落書きを描いてる日常にうんざりしていた。趣味の話をする友達はいたし、別に運動や勉強ができなかったわけではない。
顔も目を隠したらイケメンと言われるくらいには整っていた。ただ目つきに関してはかなり悪く、刑事モノのドラマで指名手配されてる犯罪者と同じくらい悪かったのだが。
だけど、顔が理由で日常に不満があったわけではない。
何故そう思っていたのか、今考えると全くわからないが、祐也は自分にとってこの世界は小さすぎる。そう思っていた。
自分は特別な人間と勘違いしていたのかもしれない。中二病である。
そのせいもあって、それが起こった時はかなり興奮していた。
ただ周りのクラスメイトは当然のこと担任の先生でさえ混乱していた。
そんな状況の中で、声に出して喜ぶほど図太い精神はしていないため、心の中に留めておいたのたが。
いや、状況の説明ができない程度には冷静ではなかったかもしれない。
本人が望んでいたとはいえ、現実に起こりえない事が起こったのだから冷静でいられる人の方が珍しいと言えるだろう。
つまり何が起こったのか……
祐也は異世界に飛ばされようとしていた。
まだ完全に飛ばされたわけではないのだが、既に住んでいた世界でないのは明らかであった。
今祐也がいるのは、どこに進めばいいのかがわからず、さらに言えばどうやって自分が立っているのかもわからないような場所だった。
確かに立ってはいるのだが、下は自分の前方と同じような雰囲気で自分がそこに立っているからこそ下だとわかるような感じだった。簡単に説明するなら、宇宙空間で透明な足場があるみたいな感覚だ。
そんな意味のわからない空間には教室にいた人、そして謎の女性がいた。気付くとこの状況だった。
いつもの祐也なら激しい光とか、足元に魔方陣とか、次元の裂け目とか、そんな演出が欲しかったと思っていただろうが、今はそんなことを考えている余裕はなかった。興奮のしすぎで。
「これは夢だ。こんなこと起こるわけない」
誰かが言った。
全員が混乱状態で誰が言ったのかわからなかったがこの空間にいる全員が思ったことだろう。
だが、これは現実である。
何故そう言いきれるかというと、この空間に来てから一番最初に頬をつねって確認したからだ。
痛覚のある夢があるなら夢かもしれないがこれは現実だろう。
それに夢だとしたらこれは誰の夢なのだろうか。
世界は神様の見ている夢で、自分達は存在しないかもしれないなんて話がある。
我思う故に我あり、である。
そんなこと言い出したらきりがないと思うが……ってそんなこと今はどうでもいい。
重要なのはこれが夢かそうでないかってことだ。
そんなことを考えていると、この空間で唯一祐也が知らない謎の女が口を開いた。
「こちらの不手際で巻き込んでしまって申し訳ございません。皆様に迷惑をお掛けします」
女はそんなことを言った。きっと女は女神的な何かなんだろう。
言葉から察するに異世界の方で何かがあって、それを止めることか、こちらの世界に干渉するのを止めることかはわからないが、女はミスを犯してしまい、この状況になったのだろう。
失敗したのに誉めるのは変な話だが、祐也からしたらよくやったとしか言いようがない。
行きたかった異世界に行けるのだから万々歳である。ナイスだ女!まぁ、周りがどう思うかは別なんだけど。
すると案の定クラスの短気な男子が怒鳴った。
「ふざけんじゃねぇよ!さっさと元の教室に返せ!」
そいつが声に出したことで周りにいた化粧の濃い女子グループも便乗する。
物静かなグループの人たちはそいつらにビクビクしていた。
異世界モノの小説を読み漁っていた祐也からすればテンプレだなぁ程度だった。
むしろ、テンプレ展開を見れて良かったとさえ言えた。
祐也は異世界に行けることに凄く浮かれているらしく、今なら大抵のことならなんでも許せる聖人になれそうな気分だった。
「本当に申し訳ありませんが、私には皆様を元の世界に戻す権限も力もないのです」
女は深く頭を下げた。
納得できないって顔をしてる人が何人もいる中、クラスの中心人物であるサッカー部次期キャプテンで、とある企業の御曹司で、学園一のイケメンと言われている男、日下部が全員を宥めた。
……こいつのジョブ凄いな。
「みんな一度落ち着こう。確かに今何が起こってるのかわからない。わからないから混乱するのはわかる。だけどこの人はそれを説明しようとしてるのに責めるだけで聞かないのは俺たちにとっても都合が悪いと思わないか?」
日下部にそう言われて、さっき騒いでいた奴らはバツが悪そうに目をそらした。
正論のため言い返すことができなかったっていうのもあるが、日下部に表立って反論することができないってのが目をそらした理由だった。そんなことをすればクラスどころか学年が敵に回るのだから仕方ないと言えた。
女は軽く日下部に頭を下げると話を始めた。
話は長かったため割愛するが、おおよその内容はこのようなものだった。
女の仕事は世界が別の世界と繋がらないようにすることである。
もともと年に一度起きるか起きないか程度のものだったのがここ数年起きてなかった。
そして本日、何が原因かは女もわからないらしいが同時に二ヶ所で融合が起こった。
同時に二ヶ所を止めることはできず、さらにこちらの方が規模が小さかったため犠牲にしてしまったらしい。
つまり、大多数を生かすために少数を犠牲にしたのだ。だが、そんなことは祐也にとってはどうでもいいことだった。
異世界に行けることが確定した。
この事実だけで喜びの舞いを踊れるレベルだった。他にも何か言っていたが祐也は聞いていなかった。浮かれていたのだ。
そして、祐也にとってさらに嬉しい出来事がある。
「その世界はこちらの人類が生きるには過酷過ぎる環境なため“特殊な能力”を与えましょう。もちろんその世界の言語も保証しましょう」
女はそう言った瞬間体の中に、いやさらにその内側に何か得たいの知れないものが入った感覚があった。祐也はこれが“特殊な能力”であることを本能的に理解する。
「誰一人として同じ力は与えておりません。その力をどう活用するかはあなたたち次第です」
つまり、一人にひとつ女神から唯一無二の能力を授かったことになる。
この能力が異世界での生活を左右するだろう。
『チート能力で異世界ライフ』
オタクならば一度は考えたことがあるだろう。
上手くいけばそれができるかもしれない。
問題は自分が外れの能力だったときだが、祐也には大抵の能力なら使いこなせる自信があった。
その自信は今まで漫画やアニメで溜めてきた知識に由来している。
最悪現代の知識でチートをすればいいわけだ。
「それではお行きなさい。あなた達が異世界で不便なく暮らせることを祈っております」
それは無理だろ!と内心ツッコミをいれる。
女の言葉から察するに、現代日本よりも文明が遅れているのだろう。でなければ『過酷過ぎる環境』など言う必要がないのだから。
まぁ異世界でネット使えて、コンビニあって、とかなったら興醒めにもほどがあるのだが。
いや近未来的な異世界もそれはそれでありか?
そんなことを考えていたら意識が遠のいていった。
そして祐也は少しの不安と大きな興奮を胸に異世界に完全に飛ばされたのだった。
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