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第15話 決闘


「逃げずによく来た。」

 

 イケメン野郎はギルドで仁王立ちして待っていた。何様のつもりだ。

 

「サーシアから僕の強さは聞いたと思っていたけどそれでも逃げないのは馬鹿だからかい?」

 

 馬鹿はお前だろ!と内心ツッコミをいれる。

 話が進まないから言わないけど。

 

「それでどこで戦うんだ?」

 

 酒場で戦うことはあるまい。そんなことをしたらギルドが滅茶苦茶になる。

 

「ギルドの訓練所を使う」

 

 訓練所なんかあるのか。さすが異世界だな。

 

「わかった。連れていけ」

 

 

 

 

 

 訓練所はギルドの裏にあった。そこそこでかくコロシアムみたいな造りになっていて客席まである。

 

「さて始めるようか」

 

「待て、その前に互いの報酬と勝利条件を確認しよう」

 

 終わった後で話が違うなんて言われたら堪らないからな。

 

「こちらの報酬はサーシアのパーティー入り」

 

「俺たちの報酬はお前ら全員の有り金と装備全部だ。お前の仲間はそれだけで間違いないか?」

 

「ああ」

 

 女からも装備を奪うなんてグズだった。

 

「勝利条件はどうするつもりだ?」

 

「敗けを認めるか、武器の寸止めでどうだろう?」

 

 殺したらダメなのか。それはダメだろって?イケメンは死刑だ!是非はない。

 こちらの世界に来てから価値観が変わって多分人を普通に殺せる。何故かはわからない。

 

「それでいい」

 

「では、」

 

「待て」

 

「まだ何かあるのか?」

 

 祐也はまた止めた。

 

「勝負後の責任はどうする?」

 

 怪我をしたりして今後の冒険者としての活動が出来なくなった。どうしてくれる。なんて言われたら困るからな。

 

「それは自己責任だ!決闘をするんだから当たり前だ」

 

「そうか」

 

 それはよかった。これで全てのピースは揃ったな。

 祐也はイケメン野郎に近づいて手を差し出した。ジャパニーズ握手だ。

 

「この手はなんだ?」

 

 こちらの世界に握手の文化はないのか?

 

「俺の住んでいた所の挨拶のようなものだ」

 

「何故今挨拶をする必要がある?」

 

「決闘をするんだ。それなりの礼儀があるだろ」

 

「わかった」

 

 イケメン野郎は不信そうにしながらも二人は握手をする。祐也はニヤリと笑った。

 そのあと10メートルほど距離をとり、剣を構えた。

 

「開始の合図はどうするんだ?」

 

「コインを投げる。それが地面に落ちたと同時に開始だ」

 

 定番のやつだな。審判もいないし妥当だと思う。勝利条件的にも審判は必要ないしな。

 

 イケメン野郎がコインを投げた。二人はいつでも動けるように準備をする。

 



 その勝負の決着は一瞬、刹那とも言えるうちに終わる。

 



 コインが地面に落ちた瞬間祐也は地面を蹴り次の瞬間にはイケメン野郎の首元に剣を突き立てていた。

 

 イケメン野郎は目を見開いて呆然とする。当たり前だ。装備は村人の服と普通の剣を装備した冴えない男に敗けたのだ。

 

「なっ――――」

 

 祐也が納刀すると、イケメン野郎は意識を戻した。そして予想通りの言葉を言うのだった。

 

「ひ、卑怯だぞ!いったい何をした!」

 

 格下だと思っていた相手に負けたらプライドの高いやつは一番に相手の不正を疑う。

 

「何言ってるんだ。そんなわけないだいろ……」

 

 ヤレヤレといった感じで祐也は言った。

 ちなみにだが不正はしている。祐也の挑発と真顔でしれっと嘘をつくのは特技の域に達していた。

 

「何よ!あんたが不正したに決まってるじゃない!」

 

「そうよそうよ!」

 

「あんたみたいな冴えない男がアレックスに勝てるわけないじゃない!」

 

 イケメン野郎はアレックスって名前なのか。超どうでもいいな。

 アレックスの取り巻き?の女が野次を飛ばす。

 

「証拠もないのに祐也が不正したと何故言える?」

 

 不正の共犯者(咲夜)が言った。

 

「「「うっ…………」」」

 

 取り巻きーズは黙った。不正の証拠がないのも事実。言い返すことができないのだ。

 まぁ不正してるのだが。

 

「別にもう一度やってもいいぞ。ただしその時に賭けるものは互いの命だ」

 

 アレックスは急に顔を青ざめた。

 一瞬で敗けた相手にもう一度、それも今度は命を賭けて決闘をする。それは自分の死を意味する。

 

「アレックス!その男をぶっ殺して!」

 

「そうよそうよ!」

 

「大丈夫よ!さっきは油断しただけよ!そんな冴えない男にアレックスが負けるわけないわ!」

 

 野次が五月蝿い。そしてさっきから冴えない連呼するな。うちの幼女(ロリ)が殺気だって怖いんだよ!

 咲夜が幸せそうに抑え込んでいるからなんとかなっているが。

 

「で、女たちはああ言ってるがお前はどうする?」

 

 嫌なら逃げてもいいんだぜ。とは言わないであげた。心の隅っこの方にある良心が言わせてくれなかった。

 アレックスはプルプル震えている。プライドと恐怖どちらだろうか。どちらもかな。

 それにしてもいい加減早く決めてほしい。安っぽいプライドとか捨ててしまえよ。

 

「ぼ、僕は………」

 

 こいつ敗けたことないのかもな。サーシアに化物と言わせるほどの才能があった。だからこそこれが初めての敗北なのだろう。

 

「全財産か命だ。どちらを選んだ方がいいかは明白だろ?」

 

 もちろん決闘になったら本当に殺す。別にイケメンが憎いからではない。憎いけど。心の底から憎いがそれが原因ではない。

 命を賭けての決闘をするということは祐也の中では敵対と同意義だ。敵に情けはかけない。祐也の心の中に、殺しは悪というのは存在しなかった。

 

「ぼ、僕は…………」

 

「早く決めろ!」

 

 男がぐだぐだと鬱陶しかった。

 祐也はその悪い目付きで睨んだ。

 

「ぼ、僕の………敗けでいい」

 

 ついにアレックスは敗けを認めたのだった。

 敗けたということは金と装備を失うということである。

 

「おい、聞いたか!お前ら下まで降りてこい!」

 

 お前らというのは取り巻き達のことだ。降りてこさせたのは装備を巻き上げるためだ。

 

「ほら、金と装備を出せ」

 

「私たちそんな男知らないわ!」

 

「そうよそうよ!」

 

「全部その男が勝手に言っただけで私たちは関係ないわ!」

 

 取り巻きーズの手のひら返しに内心引いた。アレックスが不憫に思えた。

 祐也に女たちを見逃すつもりはなかった。

 

「文句があるならお前らが俺と決闘してもいいんだぞ?」

 

「「「ひっ…………」」」

 

 取り巻きの女たちは顔を引きつらせた。自分たちが勝てない相手に勝った男を敵に回すほど馬鹿ではないらしい。

 女たちは金と武器を渡した。

 

「次元倉庫にも入ってるだろ?」

 

 咲夜の言葉を聞いて観念したのかさらに武器を出した。最初から全部だしとけよ……

 

「これで全部よ!」

 

「は、何いってるんだ?」

 

「どういう意味よ!」

 

 取り巻きーズは祐也を睨んだ。全然怖くないな。うちの幼女とか妖精姫さんに睨み方でも習ったらどうだ?

 

「いやいや、服が残ってるじゃん」

 

「「「…………は?」」」

 

 は?って服も装備のひとつだろ?こっちが言いたい。

 

「ほら早くしろ!」

 

 祐也は抵抗できない女たちの服まで巻き上げるのだった。外道である。やってることが盗賊のそれだ。

 女たちは下着姿で顔を真っ赤にして涙目になっている。下着は許してあげた。ドラクエでも下着は脱がせることができなかったしいいかと思った。

 咲夜が下着も奪えと目で訴えたが無視した。

 

 さてここはギルドの訓練所だ。冒険者は荒くれ者ばかりだ。そんなやつらの訓練所に下着姿の女がいたらどうなるか………

 女は訓練していた冒険者に囲まれていた。これから女達は訓練することになるのだろう。どんな訓練かはご想像にお任せする。

 

「さて、お前も有り金と装備を全て寄越せ」

 

 アレックスはただ呆然としていた。プライドと一緒に何かが折れたのかもしれない。

 アレックスは言われるがまま装備と金を渡してパンツのみの状態になった。

 男の下着姿に興味はない。

 

「これを着ろ。せめてもの情けだ。着たら失せろよ」

 

 祐也はみすぼらしい村人の服を渡した。わざとそのように創った。

 腹立たしいが服がみすぼらしくても着こなすのがイケメンだった。やはり下着姿で放置すればよかったと今になって後悔する。

 

 服を着た後アレックスはふらふらと訓練所から出て行った。

 祐也たちも訓練所を後にする。女達の変な声が聞こえたがきっと気のせいだ。アリアの目は咲夜が保護していた。ナイスプレーだ。当の本人はガン見していたが。

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どういうことよ!」

 

 サーシアはテーブルを叩いた。

 四人は今サーシアの知り合いで元冒険者の人が経営する酒場にいた。

 この光景昨日も見た気がする。デジャヴだ。

 

「どういうって何が?」

 

「いやいや、決闘のことに決まってるでしょ!」

 

 さっきからずっとヒステリックを起こしている。店の中では静かにするのがマナーだぞって睨まないで、怖いから。

 

「決闘のことって言われてもな~」

 

 戦って勝ったとしか言い様がないからな。

 

「どうやって勝ったかを知りたいの!」

 

 不正の内容が知りたいのか。最初からそう言ってくれればいいのに。実力で勝ってないって思われてる辺り少し悲しい。

 

「そんなの簡単だ。あいつの特技を奪った。それだけ」

 

 言ってしまえばこれ以上に簡単な話はない。奪ったから特技を使えなかった。そのせいで敗けた。ただそれだけだ。

 

「で、でもそれはあんたの能力じゃないでしょ!」

 

「咲夜の能力だな」

 

 “強奪”は咲夜の能力だ。では何故祐也が使えたのか。

 それは咲夜が“強奪”の人に特技や能力を渡す力を使って“強奪”を祐也に渡したからだ。無論ただではない。契約で勝負が終わったときに能力を返すことと報酬を半分譲ること、そしてアレックスの伝説級の特技を譲るのが条件だった。

 能力を借りることを考えたのは祐也だが、それを昨日のたった一言「協力頼むぞ」で全てを悟る辺りさすが咲夜と言えた。

 

「じ、じゃあいつ特技を奪ったの!?」

 

「握手したときだな」

 

 少し不自然な流れだったからどうなるかと思ったが礼儀と言えば大丈夫だった。まぁ能力の範囲に入った段階で奪いはじめてたから握手したのはカモフラージュみたいなものだけどな。

 

「わざわざ今後の活動の責任を確認したのも?」

 

 無論だ。特技を根こそぎ奪うから冒険者できないようになるだろう。それで養えとか言われたら堪ったもんじゃない。

 

「であとは見た通り、奪った特技と装備のパワーとアリアの“倍速”で瞬殺ってわけですよ」

 

 殺してないけど。アリアは喜んで特技を奪えと言ったがそれでは悪いからと言うと1日一緒に寝ることを条件にした。俺も一緒に寝れて嬉しいから好条件だった。問題は本能との戦いだがそれはその時の自分に任せることにするとしよう。

 

「装備って?」

 

 見た目は全然変わっていない村人のままだった。不思議に思うのも無理はない。

 祐也は服を捲って腕を見せた。

 

「疾風の腕輪って言うんだけど自分の素早さを上げる装備なんだ」

 

 ゲームでは二回行動できるようになる装備だった。それを現実にしたらそれは凄いことになった。それがあのスピードだ。

 

「あの一撃は装備と“倍速”、剣の初級特技“剣術”の合わせ技だ」

 

 “剣術”というのはその名の通り剣を持てば勝手に体が状況と意思に沿って最適に戦ってくれるようになる特技だ。最適化されてあの突きだったらしい。

 

「よ、容赦ないわね………」

 

 サーシアは少し引いていた。解せぬ。誰のためにやったと思っているんだ。俺は涙を飲んでこんな酷いことをしたというのに………嘘です。イケメンを痛い目にあってるとこを見て最高の気分になってました。凄い楽しかったです!あー飯がうまい!

 

「まぁいいわ。その………ありがとね」

 

「ん?あーうん。仲間を助けるのは当たり前だろ。それになぁ咲夜……」

 

「そうだな。あいつは個人的に気に入らなかった。よくもチンピライベントを台無しにしてくれたものだ!」

 

 そうだ!異世界冒険者デビューに欠かせないチンピライベントに水を差してくれたのだ。サーシアさんすげぇーの流れを奪うとは許せん!最後の方空気で可哀想だったし。

 

「へ、へぇ………」

 

 今度は完全にドン引きしている。

 ふっ、現地人には理解できなかったか。

 

「それよりもお兄ちゃん!我はお腹がすいた!」

 

 アレックスの件には微塵も興味がないらしい。機嫌を悪そうに足をバタバタさせながら催促した。年相応に見えて可愛い。あ、咲夜が悶えすぎて机に頭打った。どんまい。

 

「そうだな、ごめんなアリア」

 

 祐也はアリアの頭を撫でながら言った。

 

「すいませーん、お子様ランチってありますか?」

 

「わ、我はお子様ではない!」

 

 お子様扱いに文句があるらしい。頬を膨らませて怒っている。あざとい。

 

「ふっ甘いなアリア。俺の国ではお子様ランチとは大人の憧れだったんだぜ」

 

 多分……確か歴史でそんなことを習った気がする。それに大人のお子様ランチなんてものがある時代だ。大人も食べるものなのだ。

 

「ほ、本当か!」

 

「本当だ!」

 

 それにする!って言って今度は機嫌を良さそうに足をバタバタさせる。あ、咲夜が机(以下略)

 あいつも学ばないな。

 

「今日は勝利祝いで俺の奢りだ!どんどん食え!」

 

「やったー!!!店員さーん!」

 

 喜んだのはサーシアだ。これで財布の中がどうなるかわからなくなったぞ。金貨がいっぱいあるし大丈夫だろうと祐也と咲夜も頼んだ。

 

 

 

「ほれ嬢ちゃん!お子様ランチだ。サービスで唐揚げを一個多めに入れといたよ!」

 

 お子様ランチはあったようだ。酒場なのに。

 それは俺たちの世界で言うハンバーグに唐揚げ、ウインナーにどこの国旗かよくわからない旗のついた炒飯が出てきた。これが元の世界で出てきてもなんら不自然ではない見た目だった。

 

「お、お兄ちゃん!これ我が食べていいのか?」

 

「ちゃんといただきますしたらな」

 

 この世界に食事前に「いただきます」、食事後に「ごちそうさま」を言う文化はなかったのだが、日本組が言ってたことで真似をしはじめて今はマナーとなっている。

 

「いただきます!」

 

 アリアはスプーンを使って口いっぱいに炒飯を放り込んだ。頬がリスのように膨らんでいる。口の周りにご飯がいっぱいついている。

 

「ご飯ついてるぞ?」

 

 祐也が教えると急いで手で取って食べた。そしてまた口いっぱいに放り込んでリスになり、周りのご飯を手で食べる。その繰り返しだった。なんか見てるだけでお腹いっぱいになった。サーシアの時とは別の意味で。あ、咲夜が(以下略)。

 あと何回頭を打つことになるんだろうな。

 

「この旗はどうしたらいい?」

 

 食べ終わって残った旗を手に持って祐也に聞いた。フリフリと振っている。可愛い。

 

「それはアリアのものだからアリアが好きにしたらいいよ」

 

 そう言うとアリアは大切そうに旗をポケットに入れた。俺が奢ったから旗は初めてのプレゼントということだそうだ。

 その光景を見て咲夜は鼻血を噴き出して机に倒れかかった。

 大丈夫か?なんて言わない。大丈夫じゃないと分かってるから。今のは俺も危なかった。アリア恐るべしだな。可愛さ殺人事件だ。なんて恐ろしい事件なんだ!

 

 サーシアは変わらず馬鹿みたいに食べていた。遠慮なんてものは存在しなかった。

 それでも財布の中から金貨数枚で住むあたり金貨すげぇーとしか言い様がない。

 労せずして大金手に入れてみたとはこの事だな。硬貨の価値だが、銅貨、銀貨、金貨、白銀貨となっていてそれぞれ100枚で一つ上の硬貨と同等の価値になるらしい。

 

 

 食べ終わったあと四人は各々自由行動となった。サーシアは知り合いに挨拶、残りの三人は宿で報酬の分けていた。

 宿に帰るとき変な宿に男たちと入っていく取り巻きーズを見たような気がしたがきっと気のせいだ。アリアの教育に悪いからアリアの目は塞いでいたが。咲夜は興味津々に見ていた。

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