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第9話 ドラゴンさん

まだ戦闘始まりません。はい


 訓練パートは長いため割愛するが結果だけ言うと俺と月野瀬の階位が3になった。

 1から3になるスピードは異常だが年齢の割に低かったことを考えると今までの分が一気に上がったのだろうというのはサーシアの談。

 階位3になっただけで身体能力が格段に上がった。オリンピック選手もびっくりの身体能力になっている。異世界って怖い。

 あと月野瀬の戦闘力がかなり高いことがわかった。弓道部だったからかなのかは知らないが“追跡”を持っていた。つまり、ロケットランチャーを使えばリアルサーキラーの完成というわけだ。

 ちなみに弓以外も祐也より強いのだった。生産以外脳のない雑魚である。

 そんなこんなで基礎値を上げていよいよドラゴン討伐に行くことになった。

 

「じゃあ手順を説明するぞ」

 

 作戦の立案はサーシアの情報をもとに祐也がたてた。しっかり聞かないと死ぬぞ戦闘狂ども。

 

「始めにスタングレネードで敵の目と耳を奪う。その後ひたすら攻撃。以上!」

 

「ってそれだけ!?」

 

「それだけ」

 

 むしろそれ以外何するんだ。相手が動けないうちにひたすら殴る!ゲームの鉄則だろ。え、お前も戦闘狂だろって?そんなことないはず。

 だいたい動くドラゴンを普通の人が殺せるわけない。狩りゲーでも罠にかけて爆弾の流れは定番だろう。なにも間違ってはいないはずだ。

 

「はぁ……まぁいいわ。それでいきましょ」

 

 何か納得していようだ。自分が立ててって言ったくせに。解せぬ。

 

「装備の最終チェックだ。防具はいいか?」

 

「うむ……もっとかっこいい方がよかったが」

 

 はいそこ!文句言わない。

 せっかく元が良い二人が着るからと思ってわざとらしく可愛くしたんです。華のない戦闘なんて誰得なんですか?咲夜のせいでテンション下がった。

 

「あ、少し待ってくれ」

 

「なんだ?」

 

「ゴホン……こんな装備で大丈夫か?あーこの台詞を一度いってみたかったのだ!」

 

「……」

 

 咲夜のことは無視だ。

 気を取り直して。

 

「各種武器は?」

 

「ええ!ばっちり次元倉庫の中に入ってるわ」

 

 だから手ぶらなのね。

 でもせっかくの確認シーンだから手で持っててほしいな。

 

「念のためのスタングレネードは?」

 

「大丈夫だ」

 

 綺麗な返事の分割ご苦労様です。わざわざ練習してた?さいですか。

 

「よし!準備完了だな。じゃあ討伐行くぞ!おー!」

 

「「おー!」」

 

「………………」

 

「どうしたの?」

 

「そもそもドラゴンってどこにいるの?」

 

 サーシアがずっこけた。反応が昭和だ。

 いやでも仕方ないじゃん。こっちに来てまだ数日ですよ。しかもテントからあんまり離れていないんですよ。ドラゴンがどこにいるとか、そういう情報をどうやって手に入れれば良いんですかね。

 二人から呆れたって顔をされる。

 サーシアはわかるけど月野瀬!お前も知らんだろ。

 

「仕方ないわね~」

 

 まじ姐さん頼りにしてます。あ、ヤンキー風の姉御って方の姐さんだから!か、勘違いしないでよね。……男のツンデレはないな。少し反省しよう。

 

「今ドラゴンは……村のあった場所にいるらしいわね……」

 

 サーシアは殺気を出しながら言った。

 凄い怒ってるんですけど。何したんですがドラゴンさん。あ両親殺したんだったな。そら怒るわ。

 

「でも何でわかるんだ?」

 

 感知魔法かなんかですかね。

 

「妖精種の種族特性ね」

 

 妖精種便利どころの話じゃないぞ。狩人もびっくりの性能だ。このままでは狩人の皆さまがリストラされてしまう!

 祐也の心配は咲夜の叫びにより杞憂に終わる。

 

「妖精種にそんなことが出来るって言ってなかったぞ!」

 

「それはそうよ。これは妖精種しか知らないんだから」

 

 隠してるのだろうか?でも違う気がする。

 

「妖精種の種族特性は知ってるわね?」

 

 確か森の中で迷わないとかそんなんだったよな。それに比べて人間は繁殖力って……

 

「もちろん知っている。居場所がわかるなんて聞いてないぞ」

 

 商人が本当のことを言っていない可能性はあるが、妖精種の種族特性を隠して何にも得はないだろう。やはり人間が知らないということか?

 返ってきたのは意外な答えだった。

 

「当たり前よ。これは上位妖精種(ハイピクシー)の種族特性だからね」

 

「上位妖精種ってなんだ?」

 

「その名の通り妖精種の上位種ね」

 

 上位種だから普通とは違う特性があるということか。それはわかった。問題はなんでその種族特性をサーシアが持っているのかということである。

 祐也が聞くとあっさりと答えが返ってきた。

 

「私がその上位妖精種だからよ?それ以外ないに決まってるじゃない」

 

 そりゃそうなるわな。ではドラゴンに殺された村全体が上位妖精種だったのか?

 答えは否だった。

 上位種というものはその種族の純血同士の子供で稀に生まれるらしい。種族は上位種のことを他の種族にばれないように存在を隠すらしい。もしもの時の奥の手として。

 他の種族も上位種の存在を知っているだろうがその特性まではわからない。だからこそ隠しているのだ。ちなみに人間はないらしい。さすが人間。あまりの雑魚っぷりだな。

 

「よ、よくわからないがサーシアは凄いのだな」

 

 咲夜は納得したようだ。よくわかってはいないが。祐也も得に気にしていない。うちの女性陣のチート度合いなど今更だ。

 

「わかるならいいか。サーシア案内頼む」

 

「任せなさい!」

 

 サーシアは村のある方向へ向かって走っていった。追いかけながら思う。この方角って前にサーシアが睨んでたような……

 ドラゴンがいたのか。それは睨むわな。

 

 

 

 しばらく走って休憩を挟みまた走った。気付けば夜になっていた……遠っ!

 今は咲夜が料理の準備をしている。材料は道中の魔物を適当に狩った。階位が上がってから魔物を狩るのも余裕だ。

 

 なんだろ……料理ばかりに目がいって冒険らしい冒険してない気がする。いや、ドラゴン退治という冒険を今からするのだ。

 相変わらずサーシアの食べる量はすごかった。

 

 

「それであとどれくらいなんだ?」

 

 次の日も変わらず走っていた。この質問も何回したかわからない。

 

「もうすぐよ。もうすぐ」

 

 返答は全部これだ。あー楽したい。車とか創れればいいんだけどな~。森の中ではどうせ使えないって?そ、それは魔法でなんとかするだよ!

 それから少ししたところで止まった。

 

「休憩か?」

 

「あと五分もしないうちに着くわ」

 

 何度目の正直だよ。と言っても時刻は昼より前だ。今日は3時間程度しか走ってない。程度じゃないだろって?その辺は慣れだ。

 

「それでどうするんだ。一応作戦の最終確認だけでもしとくか?」

 

 それは名案だ。移動に一日かかったのだ。もう一度くらい確認しといた方がいいだろう。

 

「それもいいけど、今日は一日ここで休みましょう。万全の状態で挑んだ方が討伐の成功率は上がるわ」

 

「そうだな」

 

 やっほーう!休みだ!

 三人は昨日から殆ど走りっぱなしだった。二人は平気だったが祐也はヘロヘロだった。これでは危険だろうと思いサーシアは提案したのだった。だがその優しさと気遣いは本人には届いていないのだった。

 

「あ、でもドラゴンの方は大丈夫なのか……五分の距離ってすぐそこだろ」

 

「大丈夫よ。多分寝てると思うわ。昨日から動いてないもの」

 

「そうか」

 

 これで何の気兼ねもなく休める~。

 大きな音をたてないように各自自由行動となった。

 サーシアは何処かへ行った。多分食料調達だ。ここまで来ておいて一人でドラゴンと戦うとかはしないだろう。

 咲夜は楽しそうに装備を磨いている。かっこいいのが良かったと言っておきながらもそれなりに気に入っているらしい。

 

 祐也はというと寝ていた。討伐戦前日の自由時間に何をする訳でもなくただ寝ていた。それの眠気は余裕から来るのか疲れから来るのか、本人にもわからない。

 ご飯の時間になっても起きなかったため祐也は罰と称して刺激的な起こされ方をしたのだった。

 どう刺激だったか?童貞がこれからしっかり起きようと思える起こしかただったとだけは言っておこう。あまり思い出したくないんだ。

 

 

 

「では作戦を再確認するぞ」

 

「ドラゴンが寝ているとの話ならしいのでその隙に爆弾を設置する。爆弾を起動と同時に一斉攻撃。攻撃されそうになったらスタングレネードで封じる。そのうちにまた攻撃。そして圧倒的な力を見せつけて殺そう」

 

 祐也は言い切った。

 勝つしかないのではない。勝ちしかないのだ。

 

「やっとここまで来た。お父さん、お母さん……絶対に仇はとるから」

 

「そうだな……」

 

 心の中で強く誓った。出来るだけ悲惨な思いをするように殺そうと。

 

 

 

 朝になった。

 

「さぁ作戦開始だ」

 

 三人は村のあった場所に向かった。

 

「なんだ……これは……」

 

 咲夜が声を漏らす。

 そこにあった村は二年前に壊されたとは思えない。まるでここだけ時間の経ちかたが違うようだった。建物はすべて瓦礫のようになり、土地は干からびて畑などは出来ないようになっていた。

 

「怪物に壊された村や町はこのように劣化が早くなるのよ」

 

 それはあまりにも酷い……

 家族を失い、住む場所も帰る故郷もなくしたのだ。村が破壊されてるのは知っていた。でも復興が出来ないほどだとは思わなかった。

 

「見てないでさっさと行くわよ」

 

 サーシアは一人で歩き出した。村がこうなっていることを知っていたのだろう。それでも前を向いて歩ける強さに少し憧れた。

 

 少し歩いたところに洞窟がありそこにドラゴンがいた。

 

「で、でかいな……」

 

「この大きさは私も予想外だ……」

 

 日本組は驚いていた。それも当然だ。ドラゴンの大きさは洞窟では収まりきらないほど大きかったのだ。洞窟から尻尾が丸見え状態だ。

 頭隠して尻隠さずとはこの事か。なんて冗談を言いたいのだが、スケールが違いすぎて笑えない。

 今からこれ倒すの?無理じゃね。

 

 二人が言葉を失っているとドラゴンの体に誰かが攻撃した。二人は驚いていて動けなかったのだ。犯人は一人である。

 二人はサーシアの方を見た。

 

「見たら苛ついちゃった。てへっ」

 

 てへっじゃない!今回に限っては可愛くても許さない。もしドラゴンが起きたらどうするんだ。せっかくの先制攻撃のチャンスが台無しだ。

 

『我の眠りを妨げたのはどこのどいつだ!』

 

 あーあ。目が覚めてるじゃん。

 てか、ドラゴン喋るのかよ!あれですか。知能は人間よりも高い的なドラゴンですか。

 ないわー。装備以外強くない俺達に初回からドラゴンと戦わすってだけでもセンスないのにさらに頭いいとかないわー。

 

 これはこの世界の女神かもとの世界の女神は知らんがこの状況を導いた方に一発ぶちかましてやらないとな。もちろん暴力ではない。辱しめを受けてもらう。あ、コスプレさせていかがわしい台詞を言わせるだけです。

 

『我の眠りを妨げたのはどこのどいつだ……』

 

 考えごとしてドラゴンの台詞を無視してしまったのでドラゴンさんは言い直してくれた。一度目ほど覇気はなかった。なんかごめん。

 

「それは俺だ!」

 

 二回も無視は可哀想なのでしっかりと応えてあげた。ドラゴンさんも若干嬉しそうだ。

 ……こいつが悪いやつに見えないんだが。何かの間違いだろうか。

 

『そ、そうか人間!よ、よし!では我を起こした罰としてお前たちを殺してやろう!』

 

 ドラゴンさんは凄い張り切っていた。鼻息が荒い。こ、これ本当に村を襲ったドラゴンなのか?小物感が凄いのだが。

 サーシアに確認をとってみた。

 

「わ、わからないわ。村を襲ったブルードラゴンは話しをする素振りを見せなかったし」

 

 サーシアもわからないのか。うーん、どうすれば確認できるだろうか。

 

「あ、確か片目を剣で刺したり、角を折ったりしたよな?そこを見てみればどうだ」

 

「あ!そうね」

 

 三人でドラゴンさんの体をまじまじと見つめる。見られてるドラゴンさんはなんか恥ずかしそうに頬を赤く染めている。頬が何処かはわからないが。

 

『ど、どうした人間!は、早く戦うぞ!』

 

 あまりの恥ずかしさに耐えかねたのか戦いを催促してきた。先に襲ってこないあたりいい奴な気がする。もっと問答無用!みたいなイメージだった。

 固定観念はいけないなー。反省せねば。


「な、ないわ。お父さんとお母さんが着けた傷がない!」

 

 な、何だってー!ってだいたい予想してたけどね。これはドラゴンさんに確認しといた方がいいかもしれない。超再生とかの可能性もあるし。

 

「なぁ、ドラゴン!」

 

『な、なんだ人間。やっと戦う気になったか』

 

 さっきから無視され続けて半分いじけていた。本当にドラゴンか?

 

「いや、その前に質問がある」

 

『そうか……何でも聞くがよい。冥土の土産に教えてやろう』

 

 質問があると言った瞬間テンションが下がった。このドラゴンも戦闘狂の可能性があるな。

 まぁ教えてくれるというのだから気にしない。

 

「この先に村があったんだが、そこを襲ったのはお前か?」

 

『弱いやつを蹂躙して何が愉しいのだ。強き者と戦うから愉しいのだろう』

 

 つまり、襲ってはいないと。

 え?無駄足……それどころか無駄にドラゴンと戦わないといけないのか。冥土の土産って言ってたし逃げることはできないだろう。

 

「じゃあここにいたブルードラゴンは知らない?」

 

 サーシアが叫んだ。

 

『そいつなら我が食った』

 

「「「……へ?」」」

 

 三人の声がハモったのだった。

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