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中仁の創作事情

 書けぬ。

 一行も書けぬ。


 俺はパソコンに向かいながら鼻下にペンを挟んで天井を仰ぐ。

 PC眼鏡を書けているから、たぶん誰かが見たらのび太にしか見えないだろう。でも、思い浮かばないのだからしょうがない。


 当然、アイデアノートがあるからそれを見ているわけだがどれもこれもありきたりな気がするし、あらすじがあるだけで別に一文があるわけじゃない。だから、進まない。


 そうだ、とりあえず何か一文字でも入力してみよう。


〈ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ〉


 俺は静かにモニターの電源を落とした。


「どうすんだーーーー!!」


 とりあえず、叫んでみた。


 いやだって書くことあるはずですよ。なんせ俺の周りにはあんなにキャラが濃いやつがいっぱいいるんですから。姪が甘酸っぱい恋をしている?のだから。

 ああ、そういえばそれ前に書いたな。だからか、だからネタが見つからないのか?いやいや、あんなに変な奴が集まっているのに何もないってことはないだろ。


 うーん……ダメだな。


 仕方ない。誰かの小説を読んでやる気を出すか。

 いつも使っている投稿型小説サイトを開く。


 〈コメントが一件ついています〉


 おお、これはこれはいいタイミングじゃないか。やる気がでそうなコメントがあるかもしれない。見よう。


 まあ、もしかしたら誹謗中傷かもしれないから期待半分でいこう。どちらにしろ、やる気が出ることは間違いない。


〈中二くちいwww〉


 再び、モニターの電源を落とした。


「ネットスラングつかってんじゃねえー!」


 とりあえず、ツッコんでみた。たぶん違うけど、マンガだった気がするけどツッコんでみた。


「というか、なんなんだよ。『中二臭い』ってそんなゴリゴリのファンタジーじゃないし必殺技もないし。はあ…もういいよ、現実を受け入れるから」


 うだうだ考えてもしょうがない。せっかくついたコメントだ、重宝しよう。


「なになに」


〈中二くちいwww 属性の相関が痛いの一言に尽きる。また、完成された世界と現実界が両方ある意味が分からない。しかも、完成された世界が地水火風だけでできているうえに行ったり来たりできるのに現実界から見えない理由がなおわからない。だから中二臭い。もう一度大切なことなので中二臭い〉


 ふむふむ、たしかに真相をあとで語ろうとしてとっておいたまま結構な話数を稼いだことは否めない。あと、なぜ地水火風でできているかは話した気がするがもしかしたらちゃんと伝わっていなかったのかもしれない。そこは反省しなければ。


 ただ一言言わせてほしい。


「プラトンを中二臭いで片付けてんじゃねえ!ふざけんな!てめえが高校の倫理の授業さぼってただけじゃねえか。プラトンを中二病で片付けたらあとから出てくる哲学者全員中二病じゃねーか!」


 いや待て、落ち着こう。そうだ、こういう時は知識をひけらかすだけじゃだめじゃないか。それに、俺はこれが中二病でないことを知っている。つまり「無中二病の知」、私は中二病でないことを知っている。それでいいじゃないか。


 よし決めた。

 今日は書かずに本を読もう。


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