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「ううっ」

「どうしたの」

「いや、急に悪寒が」

「えっ!風邪?お願いだからうつさないでよ」

「いや、たぶん大丈夫」

 たぶん、今のは風邪とはまた別の寒気だよな。くしゃみで噂かどうかわかるみたいな感じで。

 どうせあいつのことだ、「私を置いて逃げたな」とか「急遽予定を作った」とか言ってんだろ。

「そういえば、梓さん帰って来たんだっけ?」

「そうだよ、昨日帰ってきて早速怒られた」

「なるほどね。だから、今週のどこか《・・・》でって言っていたのを今日にしたわけか。完全な敵前逃亡だね。家帰ったら銃殺刑かもよ」

「不吉なこというなよ。あいつらならやりかねないから」

「まあ、自業自得だね」

 そりゃそうだけど。

「そういえば、この前新作読んだよ」

「どうだった?」

「序盤が長い、しかも世界観を伝えるだけであの量は酷い。その割に対立関係があっさりしすぎ。私なら41点だね」

「そこまでひどいか」

「赤点をつけなかっただけでも感謝してほしいぐらい」

 はいはい、そうですか。

 ちょっと決め顔なのが腹立つけどまっとうな意見すぎて悔しい。

 いや、書きながら思ってたよ。「もうちょっと簡潔にしなきゃいけないかなあ」とか「もう少し説明をあとに持ってこよう」とかそういうのはあるけど。

 少しだけ、「これでいいや」と思ってしまった。

「あとは……」

 まだ続くのか。

「シスコン度合いが倍増したね」

 ふぐっ。

 なにか何かわからないけど矢印みたいなのが突き刺さった気がする。図星だ。

「いやいや、そんな話じゃなかったよな。普通の剣と魔法のファンタジーだったよな」

「そうだよ。でも、サブキャラの妹に対する愛が強すぎて鬱陶しかった。いくら体験したことを混ぜたほうがいいって言ってもあそこまでダイレクトだと引くわ」

「引くなよ。というかその前に俺、妹いないし」

「いるじゃん」

「誰?さすがに妄想で妹を持つほどのシスコン患者じゃない」

「いやいや、愛しき姪っ子のメイちゃんでしょ。どうせ、最近はなつき君にべったりだったから寂しかったんでしょ」

 べっ、別に寂しくなんかないし。

「まあ、しょうがないわね。ほんの数年前まで『お兄ちゃん』って呼んでべったりだったのにそれが『おじさん』に変わり気がつけば年頃の女の子らしく恋しているんだもんね。まあ、よかったじゃない経験できて」

「なにを?」

「娘が結婚する前のお父さんの気持ち」

「知りたくもねえわ!」

 

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