本気の遊び
「ねぇ、おじさん。ゲームしよ」
いつも通り、唐突に姪が提案する。
「今は、読書にいそしんでるから無理」
「えーっ、本なんて毎日読んでるから今日ぐらいいいでしょ。サイコロのゲームしようよ」
サイコロのゲームとは、簡単にいってしまえばちっちゃい妖精みたいなキャラクターを操りサイコロを転がしてフィールドに自動発生するサイコロを消していくゲームだ。サイコロの目の数にあわせてサイコロを並べるとサイコロが消える。ゲームとしては地味な部類だが対戦になると駆け引きがあって面白い。
「やりたいけど今はいいところなの。ナ○トならペイ○戦ぐらい熱いところなのZガン○ムならZ・○戦ぐらい熱いところなの。perfectdivideなら金剛爆砕拳のところぐらい熱いところなの。わかる?」
「いや、全体的に古くてわかんないし、最後にいたってはネット小説だから」
やっぱり、わかんないか。
「いいでしょやろうよやろうよ」
「ちょっとお前揺らすなって」
猛烈な揺れに本なんて読めたもんではないがここでおれるわけにはいかない。
「姪よ。いいか、毎日本を読んでるからって読書を今日はしなくていいって理由はない。むしろ、出版会にいい景気をもたらすためにひいては将来自分がいい本に巡り会うために先行投資してるの。お分かり?」
「わかりません。どうせ、勝負の結果がでるのが怖いんでしょ」
姪よ、甘いなそんな安い挑発に乗るだろうか。いや、断じてない。
「なるほど、それでもやりませんか。じゃあ、仕方ない。この前買っておいた鎖を不戦勝ということでおじさんの本棚にかけて開かないようにしておくことにしましょう。どうやらこの前買った新刊もあの中に入っているようですし」
ほうほうほう、そう来ましたか。そこまで強行手段に出てきましたか……さてさてどうしたものか…まぁ答えは決まっているんだけど。
俺は、静かに本を閉じて机の上に置いた。
「上等だゴラァ!!読書中読者《活字ジャンキー》なめんなよ!」
そのあと、大人げなくも姪がすねるまでぼこぼこに勝った。




