テストの後に
キーンコーンカーンコーン
いつものように授業の終了を告げるチャイムは今日に限っては祝福の鐘の音に思えた。
「はーいそこまで。後ろから自分の答案用紙を上にして前に回してこい」
試験監督である下村先生のかけ声とともに紙を持ちあげる音が一斉にし始める。
答案用紙を回し終えた生徒の中にはすでに雑談を始めている人もいるし、やりきったのか答えきれなかったのかはわからないけど、うなだれている人もいる。
先生は「静かにしろ」と言いながらも、そこまでしつこく注意する気はないようだ。
とりあえず、今までのテストの中では手ごたえを感じている。しかも、全教科で。
こんなことは初めてだ。
「生駒先生、少し前に[課題怪獣生駒]なんて言ってごめんなさい。」と心の中で過去の過ちについて謝罪してみた。
ただ、こればっかりは、うちに来てくれたみんなに感謝しないといけない。
そう思っているうちに、
「よし、OK。ほら、し・ず・か・に。じゃあ、そのままホームルーム始めるぞ」
と言い、ホームルームを始めた。
「えーっと、とりあえずテストお疲れ様。テストの結果はいつも通り二週間後ぐらいになると思う。でっ、今日はテスト明けで羽目を外したいとは思うしそんなことはないと思うが、暴力沙汰とか学校帰りに直接ゲーセンやカラオケに行くのはもちろんなしだからな」
下村先生が教師らしいことをしていると三日前の大人の宴会でのはしゃぎようが嘘みたいに思える。あまり気にしたことはなかったけど、やっぱり先生モードとわけていてみんなの前では模範であろうとしてくれているんだ。
そう思うと、感銘を受けた。
さらに先生の注意は続く。
「あと、運動部のやつらは今日から部活動再開だろうから一つ言わせてもらう。もし、徹夜したやつがいるならちゃんと顧問に言って休め。いいな」
突然の休め宣言に運動部だけじゃなく、そのほかの生徒も動揺を隠せない。
「なぜですか?」とすぐに誰かが質問する。
「まあ、運動部の人間が体調管理できてないというのも問題があるとは思うんだけど。徹夜した状態っていうのは体のいたるところが鈍くなる。特に筋肉とかがな。そんな状態で過度な運動とかしてみろ、そりゃあ肉離れとか起こす可能性もあるし熱中症にもなりやすい。プールで心臓麻痺で亡くなったという例もある。せっかく楽しみにしていた部活で命を落とすなんて嫌だろ」
徹夜で命を落とす……なんて考えたこともなかった。まあ、運動部ではないからほぼ関係ないけれど人には注意できるかもしれない。
「まあ、暗い話をしたが何が言いたいかというと体調管理はしっかりしてほしいってことと授業ちゃんと聞いて毎日やってれば楽に終わるぞってこと」
先生は手をパンと叩いて「はい、じゃあ号令」と明るい声が教室に響いた。
ものすごく久しぶりのあとがきです。
まあ、今回の内容は自分が姪たちと同じぐらいの年齢の時にずっと先生に言われた内容ですし、自分は徹夜とか遊びの時じゃないと倒れちゃうタイプなので実感しています。
まあ、人によって個人差もあると思うので気にしなくてもいい人もいるとは思いますが、まあ皆さん健康には十分気をつけてください。
新作も一章分ぐらいはそろそろ公表できそうなんでお楽しみに!
以上、普段あとがきを書かない丸二カタバミからでした。




