眠れないその夜に
眠れない。
明日も朝から生駒さんが組んだ地獄のような勉強プランがあるというのに…。気になって眠れない。
みんなは眠ってしまっていてこの気持ちを話すこともできない。
おじさんには、ぜひとも室内の吸音性能を考えて話してほしかった。
「わははははっ」
また、隣の部屋から笑い声が聞こえてくる。まあ、これもうるさいのだけれど、私は爆睡するタイプなので一度寝てしまえば笑い声程度は気にならない。
それよりも気になるのは…
「そうそう。あの、この前にアニメ化してたやつ…えーっと…タイトルは…うーんと、もう少しで出そうなんだけど。あの異能でバトルで…主人公が身体強化系で…」
気になる。
すでにタイトルが頭に浮かんでいる。外れてもいいように候補もいくつか浮かんでいる。
答えたい。
でも、盗み聞きしていたと思われたくないし、答えだけ言いに行くのも何か変な気がする。
「えーっと…『ラストシン』」
なんで、そっち!
いや、たしかに条件としては間違ってないけど…もっとビッグタイトルがあるでしょ。もっと最近アニメやっていた作品が。
ああ、もやもやする。
答えたい答えたい答えたい。
「違うでしょ。もっと最近やっていたやつじゃない?」
そうそうですよ。さすがはサクラさん、そうです。私の安眠のためにどうか、どうかお願いします。
「そうなの。私もここまで出てきているの」
生駒さんが喉に手を当てているようすが想像できる。
「あれですよ。『白神』ですよ」
そう、それ!さすが、サクラさん。私もそう言いたかったんです。さあ、生駒さん答えをお願いします。
「違うわ」
えっ…違うの。あと思いつくタイトルはないはずだけど…。
「あっ、わかった」
えっ、おじさん分かったの。なになに、気になる。
「先輩、たぶんそれ主人公の能力じゃないですよ」
「あれそうだっけ」
「だって、『ワールド・エルフィンプラネット』でしょ」
「そうそれっ!」
『ワールド・エルフィンプラネット』って身体強化能力じゃなくて強化スーツを着て戦う話じゃなかったっけ。
ふっ、腑に落ちねえー。




