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ショートショート2
「おい、聞いたか。なつき」
「なにが?」
「ついに、秘密結社に女性幹部が登場するらしいぜ」
「ふーん」
「なんだよ、反応薄いなあ」
いまさら会員が増えようがどうなろうが知ったことではない。それに、あんなしょうもない会議を毎週やり続けている秘密結社に乗り気なほうがおかしい。
「なんでも、その新幹部が神田だって噂があるんだ」
「神田ってあの神田メイ?」
「らしい」
「まじで!!」
「ちっ、近いよ」
気がつけば、目と鼻の先に顔があった。比喩じゃなくて本当にその距離だった。
僕らの後ろで女子たちの黄色い悲鳴が聞こえてきた。
「また、お前のせいで変な噂が立つじゃねえか」
「ごめん」
「とりあえず、昼に集まるらしいから。行こう」
「ああ、行くよ」
おれは、すぐに席を立った。




