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全員集合のその前に

 布団はなんとかなりそうなので、晩御飯の食材を俺となつき君で買いに行き、卓也は一度家に帰ることになった。

「いやあ、悪いね。買い物まで付き合ってもらって」

「いえいえ。おじゃまさせてもらっているわけですし、僕以外はみんな勉強しないといけないですし」

 まあ、姪たちが勉強しているとは思えないけど。

「それにしても、すごい偶然ですよね。姫…じゃなくてメイさんが話していなかったとはいえ止まる日が被るなんて」

「まあ、たしかにね。まさか同窓会の日とテスト勉強の日が重なるとは思ってなかったな。というか、教えてもらってないし」

「今日のテスト勉強会の日はいつ聞いたんですか?」

「今日の朝だけど」

 本当にあれはびっくりした。朝ご飯を食べているときに聞いてみんなが来るまで三十分もなかったのだから。

「それは、なんかすいません」

「大丈夫大丈夫、あとで姪をとっちめるだけだから」

「お手柔らかにお願いします」

「まあ、母親に連絡するぐらいだから」

 こういうときは自分がいうよりも姉に頼んだほうがいい。結果的に母娘のコミュニケーションにつながるわけだし。

「メイさん、すごい嫌みたいですよ。それ」

「まあ、自業自得だから気にしなくていいよ」

「……、そっ、そういえば今日の同窓会で来る人たちって大学のサークルの人なんですよね」

「ん?」

 おれ、人数は話したけど大学のサークルなんといってないんだけど。

 「あっ」と自分のミスに気付いたなつきくんの顔がみるみるうちに青くなっていく。

「いや、その…大学のサークルだと思ったのは何となくで、卓也さんはずっと一緒だけど、生駒さんとは大学からの知り合いで、喫茶店の女の人もそうだったはず…」

 ご丁寧にすべて話してくれた。

「俺、生駒先輩が大学の先輩って話はしたし、今日会ったからわかるよね。でも、俺は田里が女で喫茶店やってるなんて一言も言ってないんだけど…」

「あっ……」

「さすが、調べただけはあるね」

 「えっ…」というとなつきくんはハトが豆鉄砲を食らったような顔をしている。

「もしかして知ってたんですか」

「そりゃあ、卓也のところに行けば俺に伝わってくるだろ。駄目だよ、いくら隠密行動が得意だからって卓也の後をつけさせちゃ。あいつの察知スキルは達人級だから、あんなことやこんなことをするかもしれない」

「あんなことやこんなこと…」

 なにを想像しているかは知らないけど、どんどん顔が赤くなっていく。

「お前、変なことを吹き込むなよ」

 「うわぁっ」と驚いたなつきくんがしりもちをついた。

「ほらでた」

「人を幽霊かなんかみたいにいうな」

「でも、似たようなもんだろ」

「少なくとも暗殺集団に入った記憶はない」

 でも否定はしないのね。

「そういえば、下村が着いたって」

「何分前?」

「二十分前だけど」

 それが?と聞きたげな顔をしている。

「たぶん今頃、向こうはパニックだ」

「うわあ、性格悪」

「なつきくん、早く帰ろう。面白いことが向こうで起こってる」

 俺たちは駆け足で家に帰ることにした。

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