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いい忘れ

マチちゃんが氷を変えてくれたおかげで腫れたぶよぶよの部分が固まってこぶのようになってきた。

姪との話し合いはうまくいったようでなつき君が部屋から連れてきてくれたようだ。

「ほらっ、姫。言うことあるでしょ」

「ううっ、やっぱり言わないとダメ?」

「当然です。暴力はいけないことですから」

なつきくんの言葉に姪はむくれている。

二人のやりとりは「友達」というよりは「先生と生徒」、もしくは「お嬢様と執事」の関係の方が的確な気がする。

「あの…おじさん…」

「なに?」

俺はできるだけ優しく言う。

「殴ってごめんなさい…」

「別にいいよ。ただ、加減は覚えないとな」

「はい」と消え入りそうな声で返事をする。

まあ、わかってくれたならいいか。

「じゃあ、この話は終わり。みんな、どうする?ご飯食べていくかい」

時間も時間だし、みんなも公立中学とはいえ遠いだろうから今から帰って食べてとしていたら遅くなるだろう。

「…」

反応がない。

何かおかしいことでも言っただろうか。

卓也は別に変なことは言ってないよと言いたげだ。

「姫、もしかして言ってないんですか」

「あっ!!」といって手をたたき「忘れてた」といって頭に手をあてて照れて見せた。

なんと古風な。

「えーっ!!ちゃんと、許可をとったから大丈夫って言ってたじゃないですか」

「しょうがないじゃない。忘れてたんだから」

「よくないですよ。もし、今聞いてダメっていわれたらどうするんですか」

なつきくんの声が強くなる。

「あのぅ…」

「なに」といって二人同時に声の主の方を見る。

息ぴったりだ。

声の主は一さんだった。

「とりあえず、痴話喧嘩はやめてちゃんと中仁さんに話をしませんか」

「誰と誰が痴話喧嘩してるのよ」

「それはもちろんねぇ。こことここですよ」

全員が姪となつきくんを指さす。

「ううっ」

姪は恥ずかしいのかうつむいたまま自分の服の裾を引っ張る。

「まぁ、いいや。とりあえず伝え忘れたことを聞いていい?」

「えーっと……今日、みんな我が家に止まります」

「…へ?」

うちに泊まる?全員が?

「ええーっ!!」

「ほら、だから言ったじゃないですか」

「はははっ、これは面白くなっね」

楽しそうに笑う卓弥に「面白くねぇよ」と答えたものの、たしかに面白いことになってしまった。

「だめ?」と姪は心配そうに聞く。

「布団足りるかなぁ」

何人いるかなぁ。姪とおれ、卯月ちゃんに一さん、マチちゃん、なつきくんの六人とあとは…、だから結構な人数だなぁ。

「これぐらいの人数なら足りるでしょ」

「たぶん足りないよ。寝袋ならうちにあるから何個か持ってくるよ」

さすがはアウトドア好きの家族なだけあって寝袋があるのはありがたい。

「そんなのいらないでしょ。6人なんだから」

「それが6人じゃないんだ」

「へっ?」

姪がキョトンとした顔をしている。

それはそうだ。いい忘れていたのはおれも同じなんだから。

「今日止まるのは君たちだけじゃないんだ。卓也も含めてあと三人うちにくるんだ」

「ええーっ」

さて、どうしようか。

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