生駒先生の教育的指導
「うーん。あなたセンスはいいんだけど、もう一歩なのよねえ」
「そういわれても、こまりマス」
先輩は「そうよねえ」と言って考え事をしている。
「ねえ、一つ聞いてもいいかしら」
「はい、なんでもダイジョーウブです」
「家族は英語を話すのよね」
「ハイ、たまにヒソヒソ話するとき英語使われマス」
先輩は「なるほどねえ」と言ってさらに考えこんでしまった。
というか、ひそひそ話をする時に英語って確信犯だよなあ。さらに言うと、それを聞き取ろうとするマチちゃんもマチちゃんなわけで。
「ねえ、中仁隣の部屋借りていい?」
「はっ、はい。どうぞ」
先輩は「ありがと」といって隣の部屋に行く。マチちゃんを抱えて《・・・》。
「へっ?」
「ささ、マチちゃんこっちの部屋でお姉さんとみっちり英語の勉強をしましょう」
「いーやああああ。ヘルプ!ヘルプミー」
マチちゃんが入り口をつかんで必死の抵抗をみせる。
そこに、姪が歩いてきてマチちゃんの手をつかむ。
「マチちゃん」
「メイちゃん助けてください」
「ごめんなさい」
姪はマチちゃんの手をはなす。
「そんなあー」
バタンッ
「・・・」
えーーっ
「ふうーっ」といって額の汗を腕で拭う動作をする。
「ふうーっじゃねーよ。大事な友達になにしてんんだ!」
「そうですよ」と一さんも続く。
「おじさん、わかってないわ。テスト勉強で平均点から10点以上低い点数を取らないためにも多少の犠牲は必要なのよ」
「それでも、助けを求めている人の手を放しちゃいけないだろ」
「うぐっ。さすがおじさん、とても正論ね」
正論って言われてもなあ。お前が外道すぎるだけだから。
「でも、おじさん。考えてみて」
「なにを」
「おそらく、生駒先生に指導されたマチちゃんはおそらくとてつもない英語力をつけて帰ってくるはず」
「まあ、とてつもなくかどうかは知らんが人並みに英語ができるようになるだろうな」
マチちゃんのためだからといって姪のやったことが許されるわけではない。
「その通り。人並みということは少しは話せるようになる可能性があるということだと思うの」
「まあ、その可能性はあるよな」
だから、それが何だというのだろう。
「マチちゃんが英語を喋れたなら当初のキャラが崩壊する。だけど日に平均50人ほどしか見ていない底辺よりの作品のキャラ崩壊なんてたかが知れているし、見た目通りになるだけだから問題ないわ」
メイさんそこまで言わなくてもよろしいのでは…
「でも、この場にいる私たちが英語をしゃべれるようになればどうなると思う。おバカキャラ二人に国語苦手キャラよ。おバカキャラが英語をしゃべれるようになればキャラ崩壊どころか世界が崩壊するわ」
「・・・」
そりゃまあ、そうかもしれないけど。
全員がそう思った。




