ゲームpart2 ゲームが欲しいです
「おじさん」
その一言でいつもと本気度が違うことが伝わってきた。そして、心の底から吐き出すようにこういった。
「おじさん、ゲームが……ゲームがしたいです」
「えっ?やだけど」
「なんで!なんでよー」
「ゲーム機が全くないならまだしもうちにはあるし。全部そろえるなら10万は見ておかないと」
「ゲームってそんなに高いの!?」
「いや、本体だけなら高くて5万、そこにオンラインチケットが1万、机と椅子とヘッドセットサウンドカード付きで合わせて4万で合計10万ちょっと超えるぐらい。ここから、ゲーム機のグレードを1つ下げてスリムを買って2万5千円。オンラインチケットは今キャンペーンで二か月追加だからコスパはそっちの方が上。でも、友だちに合わせるしFPSみたいにオンラインがメインのゲームは今回のハンティングゲームぐらいだからとりあえずは三ヶ月。だから三千円。机は必須だけど本体を置いたりできるようにするにはPCラックタイプのパソコンデスクが必要だからお値段以上に行って6千円。椅子はダイニングのを利用。ヘッドセットは必須だから最低8千円。後は、ああモニターか一応二万五千円。あとカセットは中古でいいか。合計で7万6千円。うん、こんなもんだ。わかったか」
「今のは日本語?」
「おい、ただの足し算だぞ」
まあ、それぐらいなら問題ないんだけどな。問題はうちの般若が許可を出すかどうかだよな。
ああ、電話したくない。
ふと、メイの方を見ると苦虫をつぶしたような顔をしていた。
「ん?どうした」
「まさか、そんなにゲームが高いとは…誰か懸賞で当たったからってくれないかな」
「ねーよ」
「もっと言うと、proにゲーミングチェアにKストンのフラグシップモデルがついたものが欲しい」
「欲深いな。というか、お前思ったよりもしっかり調べてるじゃないか」
うーん、もうここまでくると電話しかないんだよな。さすがに、これでだめならあきらめるよな。
「よし、電話するぞ」
と、メイの顔を見る。メイは黙ってコクッとうなずいた。
〈はい〉
ん?声がいつもよりワントーン低いような。
「あっ、もしもし。今、大丈夫?」
〈ん、いいけど〉
「実話さ……」
一部始終を近況もまじえてすべて話した。
〈ああ、そんなこと。別にいいけど〉
「えっ!いいの?」
〈なに、文句あんの〉
「いっ、いえ!ございません」
〈まあ、成績が下の下が中の下までいったご褒美ということで〉
「はいはい、はーい。じゃあ」
そっと、受話器を置いた。
「どうだった」と不安そうな顔をしてメイがきいてきた。
「明日、買いに行くぞ」
「あいさー!」
こうして、神田メイはゲーム機を手に入れた。




