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ゲームpart2 回避の時間

 三十分後

「いくら楽しいゲームとはいえ休憩は必要です。限られた時間ではあるものの休むことはとても重要です。気持ちをリセットし、一つ一つに集中することが大切です。そして、できるだけ短時間で最大効果を生むこと、これは社会でもスポーツでも同じです。人類の歴史とは探求と楽をする歴史です。徒歩であれば1日かかるような街道でも自転車なら半日、車なら数時間と移動を楽にするために技術が発展した。もちろん、それまでには長い道のりがあり、産業の発展があるわけですがもし昔の人が怠惰であったなら今頃は木造長屋で学校まで長い時間をかけて歩いて行ったかもしれません。さて、雑談はこれぐらいにして本格的に必殺技の練習をしましょう」

「はい」


 今日はないと思ってたけどするんだね。サツ先生役。


「では、なつき君。このゲームにおいて最も大事なことはなんだと思いますか?」

「ものすごい火力の攻撃をあてる?」

「残念ながら違います。このゲームは最大火力が知れている。どんなに攻撃特化の構成にしても必ず限界が来る。最初はそれでいいかもしれませんが、だんだん苦しくなる。では、メイさんどう思います?」

「うーん、防御力を上げて全力で逃げる」

「それだと、制限時間があるこのゲームはクリアできません。ではどうするか。答えは簡単です。最小限でよけて最大火力で攻撃するが正解です」


 たしかに、それはそうかもしれないけど。いったいどうすれば。


「なにをすればわからないっていう顔をしてますねなつきくん」


 チャット越しに表情を読めるとか逆に怖いんですけど。


「では、まず私を攻撃してみてください」

「えーっと…じゃあ行きますよ」


 ただ攻撃を当てるだけなら簡単だよな。


「えい」 


 あれっ?

 予想外のことが起きた。攻撃したにもかかわらずひるむことも位置がずれることもなく不発に終わったのだ。


「これは当たり判定と言ってダメージが当たる場所のことを挿します。今回は坂によって攻撃が足元で終わったということになります。次はそうならないように攻撃しましょう」

「わかりました。行きますよ。えい、えい、えい……えいええいえええい」


 なぜだ、なぜ当たらない。いや、大丈夫だいけるはずだ。

 5分後

 おかしい、当たらない。フェイクも使ったし爆弾も使ったのになぜだ。


「これも回避テクニックの一つです。回避の無敵時間の利用と当たり判定と攻撃距離の推測です。これを感覚的に行えるようになるとどんなモンスターでも十分戦えるでしょう。これは、人と話すときでも重要です。顔をうかがったりごまをすったりせずとも懐に入ったり出たりを程よくできるようになれば人とのコミュニケーションはもっとうまくいくでしょう」


 ああ、なるほ……いや待てよ。なんでゲームの話で人生論みたいになってんだ。

「ではまず、今回のイベントの下位互換モンスターで練習しましょう。九時まであと少しひたすらによける練習をしてください。いきますよ!!」

「「「おっ、おう」」」

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