ゲームpart2 放て必殺技
「必殺技?」と聞いたメイにサクラが「そうそう」と答える。
サクラはなにを教えるつもりなんだろうか。このゲームは攻略法はあっても必殺技というシステムにはない。会心の一撃が入ることはあってもこれをやれば逆転できるという技がない。盛り上がりや見栄えを基準に派手さをいうなら地味な部類でスポーツのようにこつこつと積み上げていくしかないはずだ。いったいどう教えるのだろう。
「いい、別に特別なことはしなくていいの。一回一回攻撃するために叫ぶだけよ」
「叫ぶだけ?」
「そう。その日あった中で一番腹立ったやつを殴るように攻撃するの」
「ちょっと待てそれはまずいだろ」
「別に、自分の中でやるからいいじゃない」
「うーん、あまりこれっていうのが浮かばないかも」
「そう?すぐに浮かぶと思うけど」
「例えば?」
「おっさん、てめぇ!チラ見して席かわれオーラだしてんじゃねーとか?」
いや、思うけど。優先座席でもないのに自分の前に立ってチラ見して変われ感出してくる人いるけど。
「やっぱり、それは教育上よくないよ」
「えーっ、これ結構ストレス発散になるのに…」
それで攻撃されるモンスターがかわいそうだよ。
「ほかに」
「じゃあ、覚醒シーンを再現するとか?」
なるほど、雰囲気を作ってそれで攻撃するとかか。それなら、いいかもしれない。
「うーん、わたしアニメはよく見るけどそんなに覚醒シーンを覚えてるわけじゃないから」
「そうねぇ…『思い……出した!!』とかは?」
「うん、なんかよさそう!」
「よくないよ!それは原作を知らないアニメ視聴者が二話に一回の戦闘シーンで必ず聞かされてディスられた迷シーンじゃねぇーか!」
「ええーっ、おもしろいと思ったのにー」
おい、選考基準は面白いかどうかなのかよ。
「というか、さっきから文句ばっかりじゃない。代案を出しなさいよ代案を」
「もう、シンプルにアニメの必殺技でいいんじゃないか?それこそ、さっきの『エクスプロージョン』だってそういう系統なわけだし。それなら、単純に剣にも斧にもなる武器を持って瓶ためて、はいボタン二つ同時押し」
「こう?」
「そうそう」
「よいしょっと」
振り下ろされた斧は地面に当たった瞬間に直線上に雷が落ちた。
「あとは、それっぽい名前をつければ完成」
「おおっ、たしかにこれならできそう」
「そうと決まれば…」
「決まれば?」
「三十分休憩!」
「「「ええっ!」」」




