最終話 可愛いな、真似できないな
「お疲れ様」
妙子が電車の椅子にどっかりと腰を下ろした日奈を労う。
今日ぐらいは外食しようと、池袋の高層ビルのレストランに皆で向かうところだ。
レストランとは言っても、ゆかりがぐずっても大丈夫なように、気を張らない庶民的なところだ。一応奮発してコース料理は予約してあるが。
「日奈、鹿児島に全然帰ってないけれど、寂しくないか?」
珍しく萱場が優しい言葉をかける。
「えー、寂しいですよ。ばあちゃんの顔も見たいし・・・」
日奈は言葉とは裏腹にケラケラ笑っている。
「でも、合波高校っていい高校ですよね。入れて良かったです」
「うん、確かに・・・俺も高校時代が懐かしくなったよ・・・」
それを聞いてすかさず日奈が土足で上がり込むような質問をしてきた。
「ところで、タイスケさんと妙子さんは同じ高校だったんですか?」
え・・と妙子が恥じらっている。大人の女の人なのに可愛いな、真似できないな、と日奈はちょっとだけ羨ましく思う。
「どっちだっていいじゃないか」
萱場は返答を拒否する。
よくないですよ、と言う日奈に、その内教えるよ、と萱場は返す。
「ほら、着いたぞ」
4人は東口から外に出て、きらきらと光る街で一番高いビルに向かって歩いて行った。




