第 4話 - 食事と偶然
謎の展開
いきなり話しかけられて、いきなり爆弾発言を受けて、何がなんだかよく分からない状況に陥ってる彼だったが、なんとか平常心を取り戻した。
2人とも食べ始めると、しばらく無言が続いてしまう。気まずい雰囲気が漂うが、それを気にすることもなく、彼は食べ続けていた。
(こんなにおいしいものを食べるのは何年振りかな)
彼の人生は意外と短い。今年で23へとなった彼は、大人への階段をゆっくりと登っていた。
産まれてすぐに保育園に預けられ、保育園にお世話になっていた。両親とも共働きで家事には手を付けられず、寂しく過ごしてきた彼は自我を持つと自分でいろいろ考えてから過ごすことが増えていた。
月日が経つと「こうすれば上手くいく」とか「こうしたら上手くいかない」とか、そういうのを前提に置いてから物事を考えるようになっていた。いつしか彼は大人顔負けのことを頭で考えてから行動するようになっていた。幼かった彼はそれしかなく、友だちは居らず、勉強へと志すきっかけになったのは確かだろう。あっという間に月日が流れていく。保育園を卒園し、小学校、中学校、高校と順に追って平凡に過ごしてきた。彼は高校時代に、とある授業で才能を発揮。その才能を生かし高校を卒業と共に今の会社へと推薦で内定を貰い入社した、という訳である。
今も恩師 渡辺さんは元気にしているだろうか。また連絡を取ってみようかと決めた彼だった。
昔のことを思い出すとしんみりする彼だった。それを払拭させようと一気食いするものだから息を詰まらせて慌ててコップに注いだ水を口に含んで飲み込んだ。
「ケホッゴホッ。危なかった……」
「そういうところ、変わってないなぁ……」
「え?」
え? それってどういう意味?
「よしっと。じゃあ食べ終わったからまたねー」
彼女がそう言うと立ち上がる。確かにお盆の上に載せられていたご飯やおかずはキレイさっぱり食べられていた。最初から少なめに取っていたのだろうか。そうとも考えられる。でも今それを追い求めてもしょうがないので、そのままにしておく。
「あ、はい。しばらくはこの宿へ泊まる予定なので、いつかはお会い出来るでしょう」
「ほいほい。じゃあねぇー」
手を振りながら去っていった彼女は、嵐のようにやってきて嵐のように去っていった。
さて、またまったりしながら食べることにする。少し話し込んでしまったので冷めていたので、新たに取り分ける。周りを見ると彼だけになっていたので、あまりゆっくりする訳にはいかない。出来るだけ早く食べるようにした。
慌てて食べたせいか、胃が重い。まぁ、遅い時間に行ったのがいけないのだが。
「明日は早めに行くことにしよう」
とぼとぼ歩いていた彼は、いつの間にか自室『繋がりの間』を通り過ぎていたことに気付き、引き返してから部屋へと戻る。
そこには、アップデートの画面を終えたという表示が出ていた。そこで少しテンションを取り戻した彼は、そのゲームへとログインする。そのまま日付が変わってしばらくした頃までプレイし続けた彼だった。
翌日。
いつもの時間帯に布団へと入り就寝した彼は、いつも起きる時間帯に目を覚まし、寛いでいた。今日は木曜日で、本来なら会社へと出勤しなければならないが、休暇を取っているためにゆっくり出来ている訳だ。「普段出来ないことをやろう」ということでノートパソコンを再起動する。そういえば、とスマートフォンを取り出して確認すると、30%を切っていたので充電器を取り出して充電を始める。それと少し気になることがあるのでインターネットブラウザを立ち上げる。メモ用にと持ち込んだメモ帳へとメモする。
「なるほど。ここはそれなりに評判がいいところなのか」
とにかく気分を変えるために旅行をして、気を紛らわせるためにインターネットで検索して予約してしまったものだから、評判については一切視野に入れていなかった。その為に今それを調べている、ということだ。
インターネットサーフィンをしていて偶然見つけた記事があった。
『生崎地域にて謎の正体現る!』
と大きな見出しで書かれていたそれは、ちょうどこの辺りのことを指しているらしい。その記事によると……。
「
先日掲載した記事を覚えているだろうか。
先日掲載した『生崎地域には何かが居る』という物だ。
そのことに関して新たな情報を手に入れたのでここに掲載する。
どうやら生崎地域にはある「特殊な者にしか見えないものと戦っている人たちが居る」らしいという情報だ。
これについては信ぴょう性は薄い。なぜらなば、私がそれを見ることが出来ないからだ。もし見えていたとしても、それをお見せすることも出来ない。しかし、新たな情報を得たということをここに記しておく。
また新たな情報があれば、記事を掲載していくつもりだ。
生崎新聞
ジャーナリスト : 牧野 浩三
」
という記事だ。これは俗に言う「都市伝説」というやつか。これは迷信だ。その時の彼はそう思っていた。
【初版】2016/03/18 00:23