【プロローグ】どうしてこうなった
【注意】
この小説は作者が夢で見たものを文章に起こしただけの物になります。ところどころおかしい点もあるかと思いますが、それでもよければご覧になってください。描写する際には細心の注意を払いますが、R18要素が出てくるかもしれません。その要素が出てきた場合、ご指摘を頂ければ発見次第修正します。
ここは繁華街のど真ん中にある横断歩道。その周辺には高層ビルが建ち並び、人の往来の激しい地域だった。設備が整っており、主要な鉄道、その線路。高架に敷かれている線路。幹線道路。そこら中にある道路、線路、踏切、歩道橋。とある一角の歩道橋の中央部分に、肘をついて項垂れている青年が居た。その青年は、何か悩んでいるようだった。
「どうしてこうなってしまったのだろうか……」
その青年は悩んでいた。これからどうすべきなのかを……。
その青年は、将来を有望視されていた若き青年だった。やることなすこと全てにおいて結果を残し、まさに天才と呼ばれる存在だった。その青年は極々普通な少年だった。まぁ、それでも進学校へと進める程の学力はあったのだが。
その才の頭角を現すきっかけになったのは、その青年が当時高校生の頃だったか。とある授業の実習で兆候が見られたからだ。それを見逃さなかった教師は、その専門の教材を購入申請し、その生徒に渡した。それが今の青年の恩師である、渡辺 御三郎氏である。渡辺氏は幅広い分野に精通している、云わばエリート教師だった。その渡辺氏の推薦によって、とある有名な超大手企業から内定をもらい、その会社に就職することが確定した。
その会社の名は『日本情報取扱株式会社』。
その青年の未来は渡辺氏の推薦によって、確立されたものになった。
日はまた過ぎていく。内定をもらい就職してから3年が経った。その青年は就職してもなお、多大なる利益を会社にもたらし、どんどんと出世していった。しかしその青年はとあるミスを1つ犯してしまう。そのミスは、納入先を間違えてしまうという、普段の彼からは想像も付かないミスだったのだ。それに気付いた青年はすぐさまに上司へ報告、なんとか事なきを得たが、すぐさま顛末書を提出し、しばらく自宅謹慎を言い渡された。重度のミスとはいえ、彼は有能な社員だったために自宅謹慎で済んでいたのだが、それは気付いていないだろう。なぜなら彼自身、初めてのミスだったからだ。
それで今青年は歩道橋のど真ん中で項垂れていた。
「気分転換でも旅館に泊まるか……」
何か落ち込んだ時は、気分転換をするのが1番。そう思い至った青年は、自宅に帰り背広を着て辞表を提出するために会社へ出社する。辞表を提出しようと上司に掛け合ったところ、なんとそれは否定された。なぜなら、その上司はその青年に席を譲るつもりで居たからだ。
「こいつなら、この会社を任せられる」
そう評価されていたのだ。それもあってか、会社はそれを認めず「せめて有給にしてくれ」と頼まれたからだ。渋々青年は「それでいいなら」と有給を提出した。その有給は二つ返事で受理され、青年は帰っていく。なぜ簡単に受理されたか。この業界には必ず1度はこういうことがあるからだ。今まで成功を収めていた者が1度は躓くものである。かの上司もその経験があったからだ。
ある意味では救われた青年は、良くも悪くも、これをきっかけに変わっていく。何故なら、今までの日常が、非日時に変わっていくとは、この時誰も思わなかったのだから。