4.見渡せばぁ
やっと 奈良に着いてから、4時間です。
階段や飛び石が身体の都合で苦手です。
で、中門でしょうか、仁王門でしょうか、仁王様のおいでになる門に登るのは、少し大変です。
仁王様を正面下から眺めるには、どうしても石段を登らざるを得ません。
どうだい? 元気だったかい? あ、うん。
なんて声をかけたいので、やっこらさっと登ります。
バリアフリーにして貰っては、困ります。
やっこらせ!
見上げます。
いつも思うんですが、ほこりで頭や肩のあたりが白くなってお気の毒です。
お寺の方も大変ですね。広い境内、季節で落ち葉、鹿の糞。この頃、煙草の吸い殻は落ちてない。
毎年年末に、「御身拭」の映像が流れます。
仁王様も「御身拭」されるんでしょうか? 年に一度では、少ないかも知れませんね。
○江戸の時代。
泥棒さんが、仁王様の肩まで登ったそうです。頭まで登って、天井裏にでも忍び込むつもりだったのかも知れなません。
その時、仁王様が ぶううっと漏らしました。大柄な仁王様です。こもって臭くて、思わず「くせえ(臭い)」と鼻をつまんだところ
「 におうか? 」
とおっしゃった。 うん と力んで漏らしたのかな?
落とし話・・・。
大仏様(盧舎那仏)にお目にかかるのも、3度に1度くらいです。
あんまり大きすぎて、腑に落ちない・・・。お腹いっぱいになっちゃう感があります。
右手に逸れて、石の坂道をえっさえっさと登ります。
ゆっくりゆっくり上り詰め・・・
この途中の左手に、茶店があります。
15年ほど前に、思いがけず、美味しいコーヒーをいただいたことがあります。で、うれしいことに灰皿もテーブルに出ておりました。
10年ほど前に、その茶店の前でそれを想いだし、一休みしたいなと入りました。
灰皿がでていないので、おそるおそる
「煙草吸ってもいいですか? 確か以前ここで吸わせて貰ったんですが。」
と問うたところ、
「 今は厳しくなりまして・・・・。そうだ、おじいさんが店番をしているところに、おじいさん用の灰皿があります。よろしければ、そちらにコーヒーもお持ちします。」
なんとうれしい・・・。
おじいさんは、鹿せんべいの売り子さんでした。
11月の半ば過ぎ、紅葉の時期。眺めながら、コーヒーと煙草。
「いい時期に来ました。見事ですねぇ。」
なんて言ったら
「そうなんですよ。
紅葉は京都だって皆さん言うけど、あれは人の手が入った人工のものです。
奈良は、自然のままで見事なんですよ。」
ををっ、奈良県民のプライド! って思いました。言ってることはその通りです。
おじいさんがトイレに立った隙に、修学旅行の中学生らしきお客さんのグループが
「 鹿せんべい 3つください。」
来てくれたので、
「 3つで 450円いただきます。 」
売り子さんをしたのです。
( ○年前は、少し不確かです。おじいさん、元気かな? )
登る、登る。
大鐘楼の下を過ぎて、平らな場所にたどり着く。
まだまだ道はとおいのです。
二月堂の回廊に登りたい、急な石段、やっこらさ、えいえい、やっこらさって、また登る。
残念ながら、お水取りの火の乱舞を目の当たりにしたことは無いのですが。
行事の前は、精進修行、五感が研ぎ澄まされて、回廊に近付く女性もかぎわけ排除すると聞いたことがありますが、今も女人禁制でしょうか?
かなり苦情が出そうです。
晴れた日は、うれしいですね。
回廊から見渡せば、近くから大仏殿の屋根、奈良市街、眼をやれば、生駒の山、ずっと右には奈良ドリームランドの観覧車も見えます。(ドリームランド、閉鎖?)
ここでも・・・・、
しばし、たたずむ・・・。
しばし、たたずむ・・・。
しばし、・・・。
カメラやスマホのシャッターを押す人の邪魔になりそうです。
腰掛けから、立ちましょう。
右に回って、比較的緩やかな石段回廊を降りて・・・。
あ、思い出した。
45年前当時、高い回廊の終わりの先に、茶店がありました。
「 名物 わらびもち 」
幟が立っていました。
山国育ちなのに、「蕨餅」がなんたるか知らなかったのです。
で、おばあさんにお願いして、お茶と一緒にいただいて、その味がうれしかった・・・。
今は、ぴったりと閉じられて、その名残もありません。
若い頃のことは、覚えています。今朝の朝飯は、パン? ご飯? 危ない・・・。
まだ続きます。