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鹿のお尻なでほうだいツアー  作者: ペンネームは「匿名」です
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3.ずらり 並ぶ

 入ってきたときとは反対の駐車場の入口から出て、国立博物館の庭を歩きます。


 ぶうら ぶら、ぶうら、ぶら。

「待ってろよ!」の対象をひとつ消化したので、ちょっとだけ余裕。

 ぶうら ぶら、ぶうら、ぶら。 若草山も見え隠れしています。

 

 ぶうら ぶら、ぶうら、ぶら。 鹿もちらほら姿が見えてきます。


 旧館の名称が、数年前に「ならぶつぞう館」となりましたね。

名称が変更になる前から、入れ代わり立ち替わりあちこちのお寺の仏像が展示されていました。

 「博物館は、仏像の孤児院」だと言った方もおいでですが、まとめていろんな仏像を見られるのはありがたいことです。

 もし、それぞれのお寺にそれぞれ安置されて居ると、なかなかお目にかかれないのです。確かに本来おわすべき場所におわす方が良い、趣も増すと思いますが、そこは眼をつぶりましょう。

 

 今は、補修工事のため? 休館中ですので、横目に見ながら通過します。

 

 新館ではいろんな企画展示があって、興味を惹かれたときには入場します。

 秋の「正倉院展」は、旅の目的のひとつになります。今年のメインは、大陸から渡ってきたと伝わる 琵琶 と 笛 でした。笛は、自国製もあったかな?

 昨年は、聖武天皇の つるぎでしたかね。

 当時大陸から渡ってきた貴重な経典や当時の書き物も展示されていますが、全く読めないものの前は、ちらと覗きますが、失礼して通り過ぎます。

 

 我が家のひいひいじいさんの借金の証文も読めない・・・。なかなか捨てられない・・・。


 大仏開眼式のおりに、高僧が身につけた衣とか、当時の敷物とか手の込んだ布製品も、毎年代わる代わる蔵出しをして展示されます。

1300年以上前から保管された 布 ですから、いくら厳重に、大事にしまっておいても縮んだりして、風化するのはやむを得ないことです。良く保存してあるなあと思います。


 けれど、

「 こんな ぼろ(襤褸) だいじにしまっておいて、しょうも無い。」

と口に出してしまう おばちゃんにもちょっと共感。

 周囲に聞こえましたぞっ。

 そういうことは、思っても口に出してはいけません。


 日本中どこへいっても 「おばさん」は、パワフルで、あからさまです。

( 我が家に長く居る女性も、昔は「楚々」とは言えなくても、可愛らしい女性でした。

 今では、人の居る場所で、平気で「ぷぅ」もしますし、笑い声が「がはは」と聞こえる時もあるのです。涙・・・ )

 

 この「おばちゃん」「大阪のおばちゃん」のお話は、また別に書きたいのでこの辺にしておきましょう。 

 

 また 歩き出します。

 「登大路」へと歩きます。そして、ほんの少し若草山の方角に向かって進むと、交叉点です。

 まっすぐ行くと、春日のお社、左に向くと東大寺の参道です。並んで声かけしている人力車のお兄さんを振り切って、参道へと歩みます。


 しか、しか、シカ、鹿・・・、

 日によっては参拝客よりも多く見えるほどたくさん鹿が並んでます。


 10枚150円のせんべい待ってる鹿が、ずらああぁ と並んで、おやつくれるのを待って居る。

 10枚50円だった頃を覚えています。

 当時学生の身にとっては、50円玉が、今の500円玉よりも大事だったような気がします。

   (遠い目・・・)

 

 ○ここで、ちょっと。

 中学生の修学旅行で奈良・京都へ2泊3日の日程で行ったのです。

廻った名所、旧跡は、まったく記憶にありません。春日大社、若草山、東大寺くらいは定番の訪問先だったと思いますが、鹿と遊んだ記憶もありません。

 最初の奈良への旅の記憶は、大学生の夏休みの終わり近く、バイトで得たお金を費用に充てて、ユースホステルを泊まり歩いた旅です。

 暑い暑い奈良の街、転害門の近くの食堂で、生まれてはじめて「冷やしうどん」を食べました。

 えぇ? うどんのどんぶりに氷が浮いてる!

 

 さて。

 優しい眼をして、強引だ。

 鹿の印象です。煎餅買って、手元で紙の帯を破いていると、いつの間にか周りに集まっている。

 驚いて後ろに下がると、前足かけて押し倒す! 後ろを向くと、上着の裾を咥えて引き倒す・・・。

 どの季節に行っても、修学旅行とおぼしき少年や少女達が居て、「きゃあきゃあ」と悲鳴を上げています。

 で、「あ、やっぱり。」って楽しみながら、せんべいを追いかける鹿のお尻というか背中をさらりと撫でるのです。

  それで


「鹿のお尻さわりほうだいツアー」


と自分だけの旅の名前にしております。



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