佐々木大剛・神社
鞄に宿題を入れる。
今日から夏休みだ。
「松島!、帰ろうぜ〜」
佐々木大剛が僕の肩を叩く、こいつは大の女好きで、女の話ばっかしているが、悔しいことにモテるのも事実だ。
何かとうっとおしい奴だが、勉強もスポーツも何でも出来るという万能型の人間だ。
「わかった、てかお前今日部活は?」
佐々木は剣道部に入っている。
「夏の剣道とかくっさいくっさい、やってらんねーぜ!」
サボってばっかいるくせに県大会優勝の記録を持っている。こいつを見てると世の中才能が全てだな。と思ってしまう。
下駄箱で靴に履き替える。佐々木の生徒手帳が地面に落ちた。
しょうがねぇな拾ってやるか。と思い、手帳に手を伸ばす。
手帳は別の手に取られた。
「佐々木君、落としたよ」柄本が佐々木に手帳を渡す。柄本と佐々木は元々、同じ幼稚園、小学校といわば幼馴染みなのだ。
「わりぃな柄本。松島、行こーぜ」
「…あぁ」
僕は前だけを向いて、下駄箱から出た。
「しっかしな〜。わくわくするな」
「何でだよ…」
「だって夏ったら夏祭り、プール、海、ナンパの季節だろ。
エンジョイしなきゃな!」
「…くだらねー」
こいつの頭は女の事しかないのか?
「僕はテストが悪くて、夏も補習だからそんなにわくわくしない」
「まあ、頑張れよ〜」
別れ道の神社の前に来た。
「じゃあな松島!ここの神にでもテストの点上がるように頼んだら〜?」
佐々木はそう言い残し、走っていった。
元気な奴だ……。
しかしあいつのいう事も一里あるかも知れない。
僕は意思が弱いからな…。
僕は神社の賽銭箱に財布に入ってた15円を投げ入れた。
柏手を三回、お辞儀を一回する。
願いを心の中で叫ぶ。
“神様!僕に強い意思が出来ますように!”
僕の足元の5センチぐらいの石が緑色に輝いた気がした。




