そのに
世界珠の中に入って辺りを確認してみる。
そこは大地と海のみで構成された生き物の香りのしない世界。
環境的には親父の管理する世界と同じく太陽があったりとわりと近しいものがある。
それを遥か上空から見下ろすような場所に俺はいた。
「とりあえず生物が住めるように環境を整えるか」
とは言ってもやることはかなりの数がある。
それを一人でこなせないこともないのだが、正直面倒臭い。
よって、まずは俺の仕事をサポートしてくれる存在を創ることにする。
「うーん……とりあえずは女性体だな。んで、容姿とかは美咲ちゃんをベースにするか……」
美咲ちゃんとは先程までやっていたギャルゲーで攻略中の生徒会長のことだ。
腰元まであるロングの艶やかな黒髪に理知的な瞳、胸は巨乳というわけではないが形の整ったほどほどの大きさの美乳で、曲がったことの嫌いな真面目な性格。
おまけに眉目秀麗で文武両道な設定。そのくせ肝心なところで抜けているという愛らしさも併せ持っている。
うん、サポート役としては適任だな。
とゆーわけで神力を使用してちゃっちゃと 創る。
その時に俺の力のほんの一部を与えることで、見た目とか人なのに能力はえげつない亜神と呼べる存在が出来上がる。
「生物が住める環境にしろ。やり方は任せる」
「仕方ないわね」
そう言って創り出した美咲ちゃん(仮)は作業に取り掛かる。
頼ってきた後輩の頼みを呆れながらも、その実自分を頼ってきたことに喜びを感じてる風なのは仕様である。
生き物を住める環境にするために必要なことはやっぱり酸素だ。
その他にもオゾン層だなんだとやることはいっぱいあるのだが、そこら辺の細かいことは美咲に任せる。
俺はただ酸素を作るために必要な光合成を行う植物の内でなにを植えるかを考えていればよい。
さて、この場合何を植えるべきか……
すでに色んな神が植物を創りあげたデータがあるためにそっから適当に選んでもいいんだが、自分で新たに創るのもありだ。
とりあえずはデータに残ってる海藻を含めた植物達をランダムにいくつか植えておこう。
新しく創るなら後からでも問題ないしな。
植物をそれぞれの気候条件などに適した場所に植えると、殺風景だった世界に彩りが生まれる。
あー、いい仕事した。
「終わったよ」
「ご苦労」
そうこうしてるうちに美咲も戻ってきた。
「じゃ、酸素濃度がそれなりになるまで待機すっか」
「ええ」
何もない空間から炬燵を取り出して設置する。
その他にも畳やみかんなど必要なものを取り出す。
空は高いところであればあるほど寒い。
まあ、俺は神だからそういうのは普段は感じないのだが、風情を楽しむためにはわざとそういう感覚を持たせることも必要だ。
「どれくらいで生き物が住めるようになる?」
「計算してみると、ざっと数億年かかるわ」
まあ、そんなもんか……
特に驚きはない。
だが、ちょっと長い。
「よし、そこまでスキップ」
たったこれだけであっという間にこの世界では数億年の歳月が流れる。
いちいち何の変わり映えもしない世界を見てんのも退屈なのだから仕方ない。
こんなことをしても神である俺や亜神である美咲、そして親父達の住む神界には何の影響もない。
俺の力で世界の時間が進もうとも俺達にとったら一秒未満の出来事。
親父の言った千年は保たせろとは世界のことではなく、俺達の時間の話だ。
もちろん、時間を進めずに黙ってボーッと眺めてるだけで千年なんてあっとゆー間に経過するが、それじゃつまらない。
せっかく好き勝手できる玩具を手に入れたのだから楽しみたいのが心情だ。
「環境は整ったみたいだけど、次はどうするの?」
美咲が尋ねて来る。
あんまり考えてなかったけど、どうすんべ……
「美咲は魚とか虫とか動物を適当に作ってくれ。俺は人類を創る」
「わかったわ」
美咲が目を閉じる。
端から見れば寝ているか考え事をしているように見えるが実際は意識下に埋没してこの世界に作り出す動物の取捨選択をしているのだ。
さて、俺は手早く人類でも創るかね。
「でも、普通に人間作っても面白くない。だからといって全身緑色とか奇抜なのを好む趣味はないしな……」
妥当なとこでエルフでも創るか?
お、エルフといえばダークエルフも必要だな。
うん?
ハイエルフとかハイダークエルフとかも必要か?
やっべ、考えるの楽しいな!
とりあえずエルフは金髪、ハイエルフは銀髪で基本的には美形な感じで創るか。
男女比は1:1でいーよな。
そんで、ハイエルフはエルフ千人に対して一人くらいの割合で寿命はエルフが平均千年、ハイエルフが五千年くらい?
ダークエルフは褐色の肌はデフォルトとして、普通のは黒髪、ハイは赤にすっか。
あとはエルフと大体同じだけど、ダークエルフは巨乳が多く生まれるようにしよう。エルフは逆に貧乳が多い感じに。
「よくよく考えたらエルフには魔法だよな」
そのためには世界に魔力が満ちてなければならない。
そこら辺は俺の神力を世界に満たすことで解決するのだが、いちいち世界に魔力がなくなるたびにやらなければならないので鬱陶しい。
だから代わりを創り出す。
創り出したのは、炎を纏う赤熱の獅子と清涼な空気を身に纏う青き乙女、快活な雰囲気の緑の羽根を持つ妖精にどでかいスコップを持ったビキニパンツを履いた筋肉ムキムキのおっさん。
「それぞれをイフリート、ウンディーネ、シルフ、ノームと名付ける。総括して呼ぶならば精霊だな。それぞれ眷属を生産し、世界を魔力で満たせ」
俺の言葉に精霊達が畏まり、散っていく。
奴らの力は美咲には及ばないがそれでも十分な力を持たせた。
失敗はないだろう。
これから人類の人数が増えたとき、もしかしたらもう少し精霊の数は必要になるかもしれないが今はこれで大丈夫なはず。
というわけで、エルフ達を創り出すのだが、特性に関してもう少し付け足そう。
エルフ、ダークエルフの双方共に魔力の扱いに長けるようにはするが、実力はほぼ互角。
しかし、日が出てる間はエルフが魔力効率一割アップ。逆に日が沈んでる間はダークエルフに魔力効率一割アップの効果があらわれるようにしよう。
そうして俺の世界に初めての人類であるエルフ・ダークエルフ族が生まれた。
多分サブタイトルはあとで大幅な変更があると思います