表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の勝手でしょ!  作者: ハヤシライス
1/2

そのいち

「パパはリヒャルト君に世界をひとつ任せようと思います」


ある日突然親父にこんなことを言われた。


「ん、あとでね」


俺はそれに適当に返事をしながら、ついこの前に手に入れたギャルゲーを進めるためにマウスをクリックする。

いやー、やっぱ年上キャラ最高だわ。

特にただいま攻略中の気が強い生徒会長タイプとかツボだ。

まあ、お嬢様キャラも好きだけどな。

つーかなんでこの担任教師は非攻略キャラなんだよ。最も攻略したいのがこの人なのに……


「ねえ、聞いてる?」

「聞いてる聞いてる」

「絶対聞いてないでしょ!」

「いいとこなんだから少し黙ってろよ」


数時間かけて、狙ってた生徒会長にやっと告白する場面なんだよ!

お、出たよギャルゲーお得意の告白成功後の即キッス。

そしてそのまま制服をはだけて腰と腰をぶつけ合う運動へと移行。

よくよく考えると男女間の展開はえーよな。


「子供がこんなの見ちゃいかーん!」

「ぬわっ」


親父がパソコンのディスプレイに貫手を放つ。

その字面の通り、親父の指はディスプレイを貫通し、画面が消え失せた。


「何してくれてんのっ?」

「うるさいうるさいっ! パパの話も聞かずにこんなエッチなの見てるリヒャルト君が悪いんだ!」

「エッチって……たかだか平面世界の話じゃねーか。つーか年齢的にそういうの見ても全く問題ねーんだけど?」


なんせ俺の年齢は十万歳を超えてるし。


「ダメなものはダメ。まったく、リヒャルト君はスケベなんだから……。このことはママに言い付けるからね」


そして至極ウザいこの親父は俺の年齢を百倍にしても足元にも及ばないくらいに年寄りだ。

なぜなら俺達は人間でいう『神』と呼ばれる存在だからだ。

その中でも親父は神全員を纏める長的ポジションにいる。

つーか、神に数えられる者の内の半分くらいはこいつの子供。

ぶっちゃけ数が多過ぎて顔と名前が一致しない奴が多い。いや、むしろ顔を見たこともない奴が結構いる。

とゆーかうちの家庭の事情はゲームの世界よりも複雑だ。

親父にはなんかもう数えるのが面倒なくらいの妻―まあ俺から見たら母親なんだけど―がいて、その中には血縁から見れば姉に当たる人物もいたり、その姉の子供、つまり親父の孫(年上)も親父の妻だったり、ましてや妹までもが親父の妻だったり……

つーか節操ってもんがねーのかよ!

こいつにスケベ云々言われたくねーよ。


「とりあえず俺のトキメキタイムとムラムラタイムを妨害したこととプラスしてこれまでゲームに費やした労働力に対する損害を補償しろ」


ディスプレイに手を翳して神力を注ぐとあっという間に直る。

本体が壊れたわけではないのでデータは無事だ。


「う……だ、だからさ、世界をひとつ任せるから好きにやっていーよ」

「さっき言ってた奴じゃねーか」

「だって神力使えば創れない物ってないじゃんか」


神力とはその言葉の通り神の力だ。

大雑把に言えば何でも出来る力。

細かく言えば制限みたいなものもあるのだが、詳細は省く。


「土下座でいいぞ」

「へ?」

「お前の管理する世界のうちのひとつの風習だろ。このギャルゲーもそうだけど、あの国の文化は好きなんだ」


神は世界を創り、管理する。

最初はあれこれと世話を焼くが過度の干渉はしない。

これがルール。

そして親父が管理する世界の数は百以上あるが、俺は現在ゼロである。

なぜなら俺は神の中でも若い方に部類され、なおかつ他神の世界での生き物が作成した物に興味を持ったりとちょっと変わり者扱いされてるからだ。


「これでいいか?」


親父が正座と呼ばれる姿勢になって頭を下げる。

髭面の筋肉達磨が頭を下げてる姿はなんとも滑稽だ。

親父は確かに神の中じゃ一番偉いのだが、身内に甘いところがある。

妻には尻に敷かれ、娘達には激甘、息子達は自身の節操のなさから若干白い目で見られてるためにこれ以上嫌われないようにと媚び気味だ。

だが、神としての力は一番強く、真っ向から喧嘩したら多分勝てない。

そこら辺は尊敬してる。


「ああ、んで世界を任せてくれるんだっけ?」

「そうだ。ついこの間新しい世界を創ったのだが、誰に任せるか議論した時にわしがリヒャルト君を推した」


なんか恩着せがましい言い方だな。

でもまあ、世界を管理するのは神の唯一の仕事みたいなもので任せると言われて断る選択肢なんてない。

ゲームする時間が減るのは惜しいけどな。


「わかった」

「んじゃ、ほら」


親父が拳大の玉を投げて寄越す。

この玉は『世界珠』と名付けらた世界そのものの分身みたいなものだ。一応は世界珠そのものと言ってよい。

本物は星天宮と呼ばれる馬鹿でかい宮殿に配置とか諸々を計算して他の世界珠と共に置かれている。


「この世界の名前は?」

「まだ決めとらん。リヒャルト君が付けるかい?」

「じゃ、地球」

「わしの管理する世界にすでにあるからダメ。別の名前を付けなさい」


やっぱダメか。

つーか名付けって難しいんだよな。


「なら、トルヒャリ」

「……すっごくテキトーに自分の名前を文字って付けちゃうんだ。ま、それで登録しておくよ。少なくとも千年は保つようにね。時々、様子見にいくから」


そう言って親父は部屋から出ていった。

俺はそれを確認してから神力を使って世界珠を置く台座を創る。


世界を管理する方法とはこの世界珠の中に入って色々やるなので、無造作に置いておくと中に入っているときに誤って壊されかねない。

そうすると本物の世界珠の方から出なければならず、外に出るのに大変苦労する。親父の体験談では百年くらいかかったらしい。

故に台座は必須だ。

ついでに世界珠を破壊出来ないように細工しておく。

これで自発的でもない限り世界珠は壊せない。


世界珠に触れる。

そして神力を込めて、世界と俺を繋ぐ。

そのまま俺はトルヒャリと名付けた世界へと入った。



別の連載を優先させますのでこちらはそっちの方が煮詰まった時や気分転換する時に書きます。

よって不定期・亀更新になると思います。

読んでいてタグにこれ付けとけと思うものがありましたらご一報願います。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ