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刺客

「ゆ・・まく・・ん。ゆう・・・く。遊間君!」

遊間はハッとした。

「え?」

声のする方を見るとふくれっ面の西淨がいた。

「もぅ、遊間君、私の話聞いてる?ずっと上の空のような顔してたよ?」

遊間は混乱した。

今まで遊間は西淨と命がけの契約をしていたのに気がつくと自分は西淨と横に並んで歩いていて怪我もしていなかったからである。

「え?アレ・・・え?」

「こっちに来て。」

遊間が混乱している時、西淨は遊間の手を引っ張り人気ひとけの無い道に入った。

西淨に引っ張られている間、遊間はあれは夢だと思い込み納得した。

ドンッ

遊間はいきなり突き倒された。

「痛っ!」

西淨は遊間の上に乗っかかってきた。

「遊間君。」

西淨はゆっくりと遊間の顔に顔を近づけた。

「は、ハイ。」

遊間はあまりの緊張に声が裏返ってしまった。

「契約完了だね。」

「え?」

「いや、だから契約完了だねって言ったんだよ。」

「えーと・・・あれは夢では無かったんでしょうか?」

また遊間の頭が混乱してきた。

「うん、夢じゃないよ。」

「でも、もし夢じゃないとしたらあの大怪我はどこへ・・・?」

「私はね遊間君のマインドワールドつまり精神の中に入りこみ君の実力を確かめたんだ。だから周りがいきなり暗くなったし、遊間君には傷一つないわけだよ。」

「マインド・・ワールド?」

遊間には西淨の言っていることが理解できなかった。

「まぁ、ようするに遊間君は契約を完了させて力をえたってことだよ。」

「まぁだいたいわかった・・・・がすみませんがそろそろどいてもらえませんか?俺のカメラアングルがやばい所を直視しそうなんで・・・・・」

西淨はキャッという少し高い声を出して遊間から離れた。

いててと言いながら遊間はゆっくりと立ち上がった。

「西淨、一つ聞きたいことがあるんだが・・・・・」

「なあに?」

「俺は今から変な事件に巻き込まれる―なんていうことは無いですよね?」

「どうしてそう思うの?」

「いや・・・漫画とかでよくあるでしょう?特別な能力をもらう代わりに闘え。みたいなこと。」

西淨は微笑み言った。

「うん。その通りだよ。」

西淨の言葉を聞いた途端、遊間はひざまづいた。

「まじかよ。俺が何をしたっていうんだ・・・・・泣ける。」

西淨が落ち込んでいる遊間に近づき話した。

「えーと、落ち込んでるところ悪いんだけど言うね。」

(俺の落ち込みは無視かよ。)

「私を守ってほしいんだよ。」

「え?」

遊間は地面に向けていた視線を西淨に向けた。

「守る?どうやって?」

「それはさっき与えた能力があるよね。」

「重力操作『グラビドン』・・・・・」

遊間は自分の右手を見つめた。

「だけど、どうして西淨は守って欲しいんだ?」

「あのね・・・私は実験のモルモットだったの。」

「モルモット・・・・・・」

「そう、私はモルモットの成功例なんだ。」

「その実験内容は?」

「“能力開発”だよ・・・・開発された能力は『能力転移』。相手の能力を奪いその能力を使ったり誰かにわたすことができる能力なんだ。その他にも色々な能力が開発されたんだよ。そして私の能力はさっき説明した能力転移『   』なんだよ。」

「だから能力を俺に与えることが出来るのか。」

西淨はコクリとうなずいた。

「でも、その能力は強大すぎて色々な人に狙われるんだ。」

「で、俺はその人から西淨を守ればいいんだな?」

「うん。そういうことだよ。簡単でしょ?」

「はぁ・・・・泣ける。」

遊間はまた地面に視線を向けた。

遊間が地面に近いせいかカツカツと誰かがこちらに歩いてくる音が聞こえた。

「お~いたいた。まどかちゃんだね?」

西淨に話しかけてきたのは背が190㎝ぐらいある男だった。

「誰っ?」

「え?俺のこと忘れた?まどかちゃんひどいな~」

西淨は静かにかまえの格好をとった。

「俺は凪原なぎはら 大知だいち。まどかちゃんの実験に協力した科学者だよ。」

凪原は自己紹介を終えると手を前にかざした。

「流風!!(シューティングストーム)」

凪原の手から大量の風が吹き出てきた。

遊間は凪原に危険を感じ伏せた。

「伏せろ!西淨。」

西淨は遊間の言うとおりに地面に伏せた。

凪原から出た風は壁を切り裂き、壁にはいくつもの傷ができた。

「ひゅ~、感がいいねぇ。じゃぁ、こいつはどうかな!?」

凪原が手をかざす瞬間、すかさず遊間は立ち上がり遊間も手をかざした。

「重力操作!!『グラビドン』」

凪原の周りに重力がかかり凪原は手をかざすことはできなかった。

「クッ、体が重い・・・これは重力か!そうか、君、能力者だね。」

「西淨!逃げるぞ。」

「えっ?」

遊間は西淨の手を引っ張り人気のない道を抜けた。

遊間が手をかざすのをやめた瞬間、凪原にかかっていた重力が消えた。

「おっ、重力が消えた。追いかけたいが民間にこの“能力開発”のことを知られてはいけない・・・・・ちっ、今回は逃がしてやるか。」

凪原はポッケに手を差し込み道の闇に消えた。

「はぁはぁ、ここまでくればもういいだろう。でも、あいつは何なんだ?」

「はぁはぁっ、“能力開発”の協力者だよ。多分・・私を追ってきたんだと思う。」

「おいおい、どうするんだ?全然簡単じゃねぇよ。デッドだよデッド!」

「私の部屋はもう襲われてるだろうし・・・・遊間君の家に行ってもいいかな?」

(また無視かよ・・・え?俺の家?)

「えっ俺の家!?」

遊間は急な事あまりに驚きを隠せなかった。

「うん、そうだよ。」

遊間は色々考えたがやめた。

「あーもー、いいぜ。俺の家・・・ていうか寮だけど来いよ。はぁ・・・泣ける。」



第2章完


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