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セブンズセブン  作者: 膝腰歳彦


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1/1

eps.1 金田作という男

処女作、遅筆につきご容赦ください。都合のいいフィクションです。パチンコ、パチスロはほどほどに

パチパチ…カランカラン…ガラガラ


広く清潔な店内に銀玉の弾ける音が聞こえる。


これはとある星のとある国のとある青年の物語。


ヨーロッパで生まれ、日本独自の進化を遂げたパチンコ、パチスロ。

日本のアニメブームをきっかけに世界中に広まり、今や世界大会が開かれるほどの人気を博している日本の一大産業である。


近年では小学生のなりたい職業ランキングでサッカー選手、ユーチューバー、ゲームクリエイターなどを抑え、パチンコリーガーが堂々の1位に君臨しているほどの人気ぶりである。


そこで俺は今、とんでもなく熱い戦いをしている。


「ここだ、ここで50%を引ければ全てが変わるんだ、、、頼むぞ!!」


そして俺はタイミングを調整、アタッカーが開いたのを確認し、1テンポおいて


「今だ!!」


渾身の一撃を叩き込む。

弾かれた銀玉は美しい弧を描きアタッカーに吸い込まれ、結果は、、、




役物が落下し、確変に突入。


『っっっっっっし!!』


現在投資は8万円ジャスト、持ち玉残り30発、財布はもちろんすっからかんの極限状態から発せられた魂の咆哮。

ここで勝ち取ったこのRUSH、今まで下振れてきた分をここで全て取り返す。そんな熱い戦いが今から始まる。


まずは今日のこの投資を捲り、プラス域に展示させるために気合を込めて、しかし込めすぎずに適度に肩の力を抜きながら周りの台と同じように2万発、3万発が出ればいいなと淡い希望を胸に抱き、右打ちを開始する。



『このRUSHは135回転、まずは100回転切る前に、、、』



着々と、残りの回転数が減っていく。



『いや、まだ100回転切っただけだ、50回転切らなければいい、、、』



不穏な空気が辺りに漂う。



『頼むぞまじで、冗談やめてくれよな、、いや、大丈夫だ、俺なら引ける、、、』



ただ、残りの回転数は減るばかり、現実は無情にも過ぎ去っていく。




『頼む、頼む、頼む、頼む、、!』



残り3回転、2、、1、、、LAST







そこには1人の大学生の魂の抜けた亡骸だけが佇むだけだった。








俺は何度目とも知れぬこの結果に半分は怒りと悔しさ、もう半分はどうせこうなるだろうと納得してしまった自分に悲しくなりながら、なけなしの1500発を手に景品交換へ向かう。


その途中にふと目に入る。あの背中が、あの背中は、あの背中こそ、仕上がっている。いや、仕上がりすぎている。


「背中に鬼神が宿ってる。」


俺はとてつもない凄みを感じ、そっと近づき出玉を確認し、


「ろ、ろくまんよんせんごひゃく、、、」


なんなんだこの人、打ってる台甘デジだよな?甘デジで6万発?どんなヒキしてるんだ?

その数字に圧倒され、つい口から飛び出してしまったその言葉は、


「てめぇ、なにコソコソしてやがんだ!」


圧倒的筋肉漢の地獄耳に届いてしまった。


「す、すいません、ちょっと気になっちゃって、、悪気があったわけじゃないんですけど、、、」


「あーあ、お前のせいでRUSH終わっちまったじゃねえか、ちょっと表出ろや」


漢は俺の顔をまじまじと睨め付け、その迫力に圧倒された俺はおとなしくついていく以外の選択肢はなかった。


「で、てめぇは俺に対してなんかいうことないんか?」


「っ!、、ぁっ、、、ぇ、ぉ」


「学校は?」


「こっ、国立派珍呼大学の、2年生です」


漢の顔色を窺いながらなるべく端的に答える。背中の鬼神を刺激しないように


「名前は?」


「金田(はじめ)です。」


「お前、見えてるよな?」


「見えてるっていうと、、?」


「とぼけるんじゃねえよ、俺の後ろのこいつだよ」


漢はそう言いながら背中の鬼神を指差す。


「こいつは普通の人間には見えないんだわ、普通は、な?

それが見えるってことはお前もこの力、遊戯幽体(パチンコエレメント)が使えるってわけだ」


遊戯幽体(パチンコエレメント)⁉︎」


俺はその馬鹿げた名前に開いた口が塞がらない。


何を言っているんだこの人は、頭がおかしいのか?それとも俺の頭がおかしくなったのか?とりあえず危なそうな人だから離れよう。よし!


「すみません、ちょっと何言ってるのかわからなくて、それに何も見えないのでもう行ってもいいですか?大学のレポートをやらないといけなくて」


そう言って立ち去ろうと背を向けた時


「お前、今のままでいいのか?見た感じ負け続きっぽいじゃねえか。

いいか?パチンコっていうのはただ打ってて勝てるわけじゃねえんだ、ただ波を読むだけでもだめなんだ。おめぇのその力を磨け。俺と同じ遊戯幽体を持て余してるから勝てないんだ、俺ならその力の使い方教えてやれるぜ。見てみたいだろ、甘デジで9万5千発、コンプリートという頂をよぉ!THE SEVENの優勝をよぉ!」


「THE SEVEN、、、!」


それは世界最高峰のパチンコリーグ、並みの強運では太刀打ちできない、圧倒的豪運と実績を兼ね備えた者のみが挑める、誰もが一度は憧れ、目指し、しかし圧倒的な壁に自分の才能を恨み、そして大人になり、観客として楽しむ、そういうものだ。


例に漏れず俺も小さな頃は憧れ、目指したものだが、周りの友達と同じように自分の才能に打ちひしがれ、諦めきれずにこうしてパチンコを打っているわけだが、


「俺だって一度は目指しましたよ!でも!なれるわけないでしょ、あなたもわかってるんですよね、ずっと負け続きで、そんな俺が何したって無理なんですよ!」


「言っただろ、お前には力がある。パチンコリーガーと同じ、遊戯幽体(パチンコエレメント)という力が!俺がお前をTHE SEVENのてっぺんまで連れてってやるよ」


「っ!」


「いきなりこんなこと言われて理解できないだろ、ちょっと見せてやるよ」


そうすると漢はいきなり筋トレを始めた。腕立て、腹筋、自重スクワット、流石の筋肉か、見事に美しいフォームで続ける漢を眺めて15分ほど経っただろうか。パンプアップし、先ほどよりも一回りほどデカく見える漢に、言われるがまま黙ってついていく。男が座ったのは399分の1で大当たりの、マックスタイプと呼ばれる当たりにくいがリターンが大きい台に座り打ち始める。


これが当たるまで待たないといけないのか、と物憂げな表情を浮かべようとしたところでヘソに銀玉が入った瞬間


ドギャーーーーン!!!!!


心臓が飛び出るかと思うほどの予告音が鳴り、役物が落下した。


「こ、これって、、、」



俺は漢にただ、問う。



きっとたまたまだろう。そんな気持ちを押さえつけ、忘れるほどに期待が膨らむ。ずっと落ち込んでいた気持ちが、桃源郷に迷い込んだかのような感覚だ。

理性だけでは争い難い、脳内で大量のなドーパミンが溢れ出す。


「ああ、みたか?これが俺の遊戯幽体の力、筋繊維の(ミューズ・オブ)女神(マッスル)だ。己の肉体を鍛えれば鍛えるほど、運気があがる。シンプルな能力だが、それゆえに強い。」


その後、あれよあれよと連チャンし、気づいた頃には3万発も出ていた。漢はハンドルを捻りながら熱く静かに語る。


「これでわかったか?お前にもあるんだ、この力が。人それぞれ能力は違うが、使い方次第でどんな能力も最強になれる。俺も最初はお前みたいな感じだったさ、ただ血の滲むような鍛錬をして、ここまでデカくなってようやくこn」


「お客様ー?遊戯意志のない着席はご遠慮いただけますか?観戦とかもなしで、すいませんね、出禁です。」


「いえっ、あのー、ただみてただけなんですk」


「出禁です。」









俺は公園のベンチに座りながらひとりごちる。

あっという間の1日だった、8万負けて、筋骨隆々の人に絡まれて、不思議な能力を見せられて自分にも同じような力があるなんてな、

おまけにずっと通っていたパチンコ屋の出禁、出禁、、、できん、、で、きん?


「ちょっと!何してくれてるんですか!あと1回で来店ポイント1000貯まってスロットで設定6と引き換えしてくれるところだったのに!あなたのせいですよ!」


「まあまあ、いいじゃねえか、これから鍛えて能力伸ばせばどんな店で何に座ろうと設定6以上出るようになるんだからよ」


「それはそうかも知れないですけど、、、」


「今更だが、剛運、轟剛運だ、よろしくな。

とりあえず明日から腕立て伏せ、上体起こし、スクワットをそれぞれ100回、ランニング10km毎日だ」


「なんですかその禿げそうなメニューは?ていうか俺の能力を伸ばすトレーニングはしてくれないんですか?教えてくれるって言ったのに?」


「俺はあいにく多忙なんでな、あんま付き合ってられないんだわ、また時間できた時連絡するからそん時付き合ってやるよ」


そんな無神経な、、、しかしこの豪快な漢をみているとみているこっちも気持ちがいい、気がする?

とりあえず明日から筋トレするか

今日の豆知識

甘デジ:99分の1くらいで当たる遊びやすいパチンコのこと

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