侯爵家令嬢ブリジットの婚約解消
異世界に転生した。私は侯爵令嬢ブリジットとして育ち、第一王子の婚約者になった。第一王子と私が成人したら、結婚する予定だった。
でも、ある日社交パーティ中に、第一王子が変な行動をした。第一王子がとある少女を見て、食い入るように見ていたんだ。その少女はまだ結構幼かった。
「第一王子様、どうなさったのですか」
不安になって聞いてみる。あの少女が第一王子に何かしたのだろうか。
第一王子は真剣な顔をして、こちらを見てきた。なんだか雰囲気が怖いのだけど。
「俺は他に好きな人ができました。ですので、俺はブリジット様との婚約を破棄いたします」
第一王子の発言が意味不明だ。家同士の政略結婚なので、第一王子の意思だけで婚約破棄を宣言することは、かなり不自然だと思うのだけれど。
「第一王子様が惚れたのは、先ほどの少女ですか。ずいぶんと幼いようですが」
一応聞いてみる。すると、第一王子が思いっきりうなずいた。
「はい、そうですっ。先ほどの少女は純粋無垢なあどけなさが残っていて、最高に素敵でしたっ。もちろん、ブリジット様も美しいのですが、最近大人っぽい美人になられたので、俺の好みから外れてしまいました」
第一王子の発言がやばい。いや、第一王子もまだギリギリ未成年だから、一応セーフな歳の差だろうか。
でも、第一王子の雰囲気がなんか危なっかしいんだよな。こんな不気味な第一王子と、私は結婚したくない。
「かしこまりました。しかし、私だけでは婚約解消を決定できかねますので、私の両親にも相談いたします」
そのように伝えてみた。すると、第一王子は大層満足そうだった。
「ブリジット様は物分かりがよくていい人ですねっ。俺の新しい恋をぜひ応援してくださいっ」
第一王子がそんなことを言っているけれど、止めた方がいいかな。このままだとなんか危険だよね。
「はい。ところで、先ほどの小さなお嬢様が大人に成長するまで、第一王子様は待ち続けますよね。第一王子様は変に焦ったりしない方ですよね」
そのように言って圧をかけてみる。すると、第一王子は困ったような表情を浮かべた。
「まあ。はい。それはそうですが。しかし、俺は次期国王になる立場ですから、法律を作り変えることも可能でして」
第一王子の発言に、周囲の王族貴族達がドン引きし始めた。みんなヒソヒソと会話し始める。
「第一王子様、その流れでその発言はアウトでしょう。あんな第一王子様が次期国王になるだなんて、絶対ダメですって」
人々の小声が聞こえてくる。確かに、こんな第一王子に国は任せたくないよね。
「第一王子様が倫理観のある行動をなさると、私は信じております。どうか道を踏み外されないようお気をつけください」
少し無礼かもしれないが、強めに忠告しておいた。でないと、第一王子があの少女に変なことをしかねない。
「ご忠告感謝いたします」
第一王子はそう言いつつも、どこか浮かれた調子だった。とりあえず、パーティ後の数日間を経て、家族を交えて話し合った結果、私は第一王子との婚約を解消した。
その後、第一王子は法律を無理やり変更しようと企んだらしい。第一王子の暴走を止めるため、王族貴族達は大反対して阻止したという。
「俺は少女と結婚したかっただけなんですっ」
第一王子はそんなことを言っていたらしいが、それがダメということに気がつかないのだろうか。現国王は呆れ果てて、第一王子の王位継承権を剥奪したらしい。
そのため、第二王子が次期国王になる予定だ。その第二王子は、なぜか私に婚約を申し出てきた。
「ブリジット様は第一王子様の異常にいち早く気づき、忠告していらっしゃいましたね。あのブリジット様の発言の勇敢さに、僕は惚れたのです」
第二王子はそんなことを言ってきた。第一王子と違って、第二王子は道を踏み外さない性格のように見えた。
「ありがとうございます。私でよろしければ、ぜひとも結婚していただけると嬉しく思います」
私はそのように返事をして、第二王子と婚約した。月日が流れて結婚したあとも、第二王子はしっかりしていて優しくて素敵だった。




